種族特性
「正直思うんだけどさ、ルナちゃんのかわいいの基準ってどのあたり何だろうね」
「イミアさん達、ルーモ種の方々をかわいいとは仰っていましたけど、錬さんを見た時のような関心のある様子ではありませんでしたよね」
「俺の子供をかなり夢中になってかわいいってあやしてたよ」
「あの子たちは赤ん坊ですからね。加減をしていたのかもしれないですね」
ルナちゃんの精神状態を思うと胸が張り裂けそうになりますな。
キールを抱き上げているか、ひな鳥モードでキールの頭に乗っているかのどちらかのルナちゃんですぞ。
「それと元康さんが奇妙な声を上げてましたよね」
「一見すると病んでいるように見えたんじゃないか? あの剣幕はそうとしか感じなかった」
「あー……元康くんの弱点だもんね」
「ヒィイイ……ですぞ」
「今の元康くんをルナちゃんに見せたら喜んで抱き上げそう」
ヒィイイイ……ですぞ。
「出来れば元康を生贄に差し出して逃げたい」
「そうなるとユキちゃんとの壮絶な元康くんを掛けた奪い合いになりそうだね。ユキちゃんも病みそう」
「ユ、ユキちゃんは、そんな事にはならないのですぞ」
「まあユキさんはどっちかというとスポーツ系貴族女子って感じですし、さわやかさと優雅さをモットーにしているようですけどね」
「ユキちゃん、レースの人気者だからね。元康くんへの忠誠心は人一倍かな」
「そういえば元康さんって病んだ方が苦手だそうですけどフィーロさん以外に病んだフィロリアルはいなかったんでしょうかね」
ふとここでクーちゃんが昔、それっぽい目を俺に向けて背筋が凍り付いた記憶が掘り起こされましたが気のせいですぞ。
みどりやマリンちゃんと一緒に楽しくしておりましたからな。
ああ……ルナちゃん。早くその瞳から解き放ってあげたいのですぞ。
錬、お前はルナちゃんをもっと癒すのですぞ! 絶対に癒し役にしてやりますからな。
と、決意を胸に進んでいくと何やら開けた所に出ましたな。
先には階段がありそうな気配ですぞ。
「なんだろうね? この露骨にボスが居ますって感じの空間は」
「そのまんまじゃないですか?」
という所でスタッとどこからともなくカルマードッグが現れましたぞ。
「バウ!」
「ボスの登場って感じだな」
「先制攻撃と行きますか」
ターン! っと樹が加減の無い銃撃をカルマードッグにぶちかますとあっさりとカルマードッグは倒れましたぞ。
「キャウン!?」
「取り巻きが来る前にせん滅完了ですね」
「しっかりと強化した俺たちの前じゃカルマードッグも雑魚って事で良いか」
「楽だから良いんだけどさ、これで良いのかなー」
「次は俺が速攻でやりますぞ」
倒れたカルマードッグが霧のように消え去り、煙が俺たちの武器に吸い込まれましたぞ。
お? ドロップ品が確認できますな。
「元康くんもなんか間違ったことを言ってるような……というかここって本当、一体何なんだろうね」
「ゲーム時代でも特定階層でボスと戦うコンテンツだったな。経験値なんかのうまみは無いし、ドロップも無いが」
「しっかりと確認できましたね。今回のは単純にカルマードッグ系の武具ドロップのようですが」
「既に持っているのが大半だねーなんか歯ごたえが無いけど、潜れば潜るほど強い敵が出てくる感じなのかなー」
「その可能性は高いですね。とにかく次へ行きましょうか」
と言った形で1階を攻略して次の階へと俺達は進んで行きますぞ。
「……ん?」
と、進んでいると錬が鼻をヒクヒクさせましたぞ。
「どうしたの?」
「ん? ああ……なんか薬臭いと思ってな」
「薬?」
お義父さんが尋ねると錬は洞窟の壁に近づいて確認しますぞ。
すると壁の隙間から薬草を見つけたようですぞ。
「薬草の匂いだったのか」
「錬、イヌルト姿になって鼻がよくなったみたいだね」
「みたいだな……なんか複雑な気分だ」
「そうそう、俺たちがこんな姿に成ってしまった理由とかだけどさ、もしかしてこのダンジョンだとみんなそれぞれの種族としての特性を発揮しないといけない仕掛けがあったりしてね」
お義父さんの言葉に錬と樹が渋い顔をしましたぞ。
「ゲーム時代にはありませんでしたが、無いと言い切れないのが嫌な所ですね。錬さんも薬草を見つけてきましたし」
「そうだな。そう考えるとありそうなギミックってなんだ? 俺の場合は嗅覚だとして……」
「うーん、樹はリスーカだから木登りとかじゃない?」
「確かにこの姿だと壁登りとか人の姿より簡単ですが……」
ちなみに俺達はそれぞれ元の姿のコスプレ姿状態ですぞ。
「滑空をするのですな」
「それはモモンガであってリスではありません!」
「元康のボケはともかく、何処かの階層で木登りをする必要があったら樹に頼るか」
「出来ればあってほしくないですね。そもそも元康さんがフライングモードで飛べば必要ないでしょう」
「当たり前のように飛ぶ扱いの元康くんに関して」
「お任せあれですぞ」
この元康、研究と研鑽を常にしておりますからな。
空を飛んでの移動など容易いですぞ。
「まあ、空を飛ぶって事に関しちゃ実は樹も出来ると思うから木登りは必須じゃないのかもね」
「なんで僕が空を飛べると思っているんですか!」
「え? だって樹の武器って銃も完備でしょ? 武器強化をしっかり施した火炎放射器とかを二丁拳銃で地面に向けて放射したら浮きそうじゃない?」
「え?」
樹が少し離れて徐に二丁拳銃になり、火炎放射が出来る銃で地面に向けて放ちますぞ。
ボォオオオ……と、樹は浮き上がって行きましたな。
やがてスタッと着地して俺達の方を見つめますぞ。
「こっち見るな」
錬がツッコミを入れましたぞ。
ふむ……樹の方が飛びやすそうですな。
「尚文さん! なんてことを言うんですか!」
「試しちゃった樹もどうなんだろうね」
「それを言ったら尚文さんも錬さんも飛べる何かがあるはずでしょ! 尚文さんの場合は板関連で出来そうですからホバーボードみたいなものが出来る感じで! そもそもその盾で波乗りとか出来るんじゃないですか?」
海を見て常々思っていたんですよ! と、樹が混乱した口調で言いますぞ。
「盾をサーフボードにするってのは俺も考えちゃったことあるけどさ、ホバーボードって、どこぞのアニメじゃないんだから……」
「錬さんの場合は……」
樹がそこで考えが思い浮かばないと言った様子で黙り込みますぞ。
やがて閃いたように言いましたな。
「浮遊剣を足場にすれば飛べるんじゃないですか!」
「俺は浮遊剣はそこまで得意じゃないが乗ろうとしても飛べないぞ」
「錬の場合は……あれじゃない? 空飛ぶ逸話のある剣とかあればいけそうだよね。俺の知る古い漫画だと竜神を宿す剣とか雷神を宿す剣で飛んだ主人公とか見たことあるし」
「やめろ! なんでも飛べば良いってわけじゃないだろ」
「空飛ぶ勇者のオンパレードですよ。むしろ聖武器の勇者なんですからそれくらい出来て当然じゃないですか」
樹が開き直ったとばかりに言い放ちますぞ。
問題はリスーカ姿なのでシュールですがな。
「確かに最初の世界のお義父さんは空を飛ぶことが出来るようになっておりましたが」
「今の俺は飛べないペンギン、ペックルだぺん」
お義父さんも開き直ったように胸を張って答えましたぞ。
ペンギンは確かに飛べませんがお義父さんなら出来ると俺は信じてますぞ。
「ボケて逃げても無駄ですよ尚文さん」
「冗談はこれくらいにして俺が飛ぶってどんな感じに?」
「文字通りですぞ? 何やら力の使い方で飛べるようになるんだとかですな」
赤豚本体とは系統が異なる力を習得してお義父さんは帰ってきたのでしたぞ。
そういえば……あの戦いの後にしばらくしてお義父さん達に力の使い方を教えた方々がやってきた様な覚えがありますな。




