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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1014/1278

二度ある事は三度ある


「ラーサさんもサディナさんと同じ動きしてません?」

「そうですな」


 先ほどと同じなのでわかりますな。


「ちょっとラーサさん? 話聞いてる?」

「……ああ、きいてるよ。聞いてる聞いてる」

「だから、何か心当たりがある所に連れてってくれるの? あっちに元康くんと樹がいるんだけど」

「はいはい」

「ラーサさん? 俺を連れて何処へ行く気? まずそれを教えてくれない?」

「……」

「おーい! ラーサさん! 聞いてるー? おーい!」


 そのままお義父さんはまたも連れていかれてしまいましたぞ。


「え、えっと……行ってきます」


 お姉さんがラフ種を抱えてパンダとお義父さんの後を追いかけて行ったのですぞ。


「えー……何と言いますか、尚文さんってもしかして人間やめると盾の勇者としての魅力が噴出でもするんですかね。ガエリオンさんと会わせたらどうなるか不安になりますね」

「会わせませんぞ。お義父さんは俺が守りますからな」

「ラーサズサさんとサディナさんからは守ってないじゃないですか」

「あのお二人はお義父さんの大事な方ですからな。ライバルが血迷ったら消し去るのみですぞ」


 お姉さんのお姉さんとパンダはお義父さんが望んで親しくなった方ですからな。

 ですがライバルは論外なのですぞ。

 しばらくしてモコモコと地面が盛り上がって俺たちが隠れている樹の家の前に穴が出来ました。

 そこからお義父さんと錬、そしてモグラとお姉さんが出てきました。

 お義父さんと錬はなぜかリボンで着飾られていますぞ。

 ついでに俺たちの服を模した衣装を持ってきたご様子ですな。


「ありがとう、ラフタリアちゃん、イミアちゃん」

「助かった。まさかフィロ子まで手伝ってくれるとはな」

「そうだね」


 お義父さん達は急いで家の中に入って行きますぞ。


「尚文さんに錬さん、よく逃げ切れましたね」

「大変だった……」


 錬がここで深くため息をしましたぞ。


「ルナに捕まって羽毛の中で抑え込まれて全身を揉まれていた所をイミア達ルーモ種の連中が着飾ろうと助言して衣装制作をしている作業場に連れてかれた時は裏切られたと思ったぞ」

「す、すいません」


 モグラが錬に謝っていましたぞ。ですが錬が逃げ切ったと言う事は……飢えたルナちゃんが辺りを探し回っているのではないですかな?


「俺も驚いたよ。ラーサさんに着せ替え人形にされていた所に錬がルナちゃんと一緒にやってきたからさ。捕まっているってのは聞いてたけど」

「尚文こそサディナに捕まっていたはずなのになんでラーサズサに捕まっていたんだよ」

「サディナさんから逃げた所でラーサさんに協力をお願いしたら捕まって着せ替えさせられたんだよ『ふふふ……アタイを着せ替え人形にした仕返しだよ。結果がわかるまでじっとしてな』って妙に呼吸を荒げてさ」

「あー……その辺り恨まれてそうですよね。尚文さんは」

「いやー……仕返しって言うより、ラーサさんの好みに関して認識が甘かったってのが正しいんじゃないかな……部下には俺の状態を解決する手段を探させようとしてたしね」


 パンダは隠れかわいい物好きだったとお義父さんは仰っているようですぞ。


「つまりオープン可愛い好きのルナさんと隠れ可愛い好きのラーサズサさんは目的を同じくして尚文さんと錬さんを揃って着せ替えしていたと」

「そうなるね。本当、こんな姿になった途端、散々だよ」


 お義父さんたちが大変苦労したようですぞ。

 く……この元康、ルナちゃんの気配を恐れて動けずにいた事が非常に口惜しいですぞ。


「本当、よく逃げ切れましたね」

「ああ、そこにラフタリアちゃんとイミアちゃんがラフちゃんやフレオンちゃんとフィロ子ちゃんを連れて色々と動いてくれてね」

「フレオンちゃんがですかな?」

「まあ……フレオンちゃんはよくわかってない感じだったけど衣装チェンジに関する熱意を二人に向けて話をして注意を引き付けてくれた感じかな。フィロ子ちゃんは脱出経路を確保しているイミアちゃんたちの物音を曲を流して消してくれた感じ」


 フレオンちゃんとフィロ子ちゃんがそこに顔を出してパンダとルナちゃんの注意を引き付けつつモグラとお姉さんのお義父さんたちを逃がす手はずの手伝いをしたそうですぞ。


「で、決定打とばかりにラフちゃんが幻覚魔法を使って俺に化けて、錬に命令されて渋々応対したラフミちゃんがすり替わって逃げて来た感じだよ」

「まったく……ラフミの奴は……そんなにも俺はボッチに見えるのか」


 あはは……とお義父さんは錬に向けて苦笑しますぞ。


「まったく……なんか事件が起こってると聞いたが何が起こってるんだ? おーい!」


 虎男がブツブツと言いながら村の広場を歩いていますぞ。


「あ、フォウルくんだ。声を掛けて手伝ってもらおう」

「尚文さん!」


 お義父さんがまたも走り出して虎男に声を掛けました。


「こ、これは――」

「フォウルくん、騒ぎを聞いて駆けつけてきてくれたんだね。なんかこんな姿になっちゃったけど俺は尚文で……フォウルくん? 話聞いてる?」


 虎男はキョロキョロと周囲を見渡したかと思うとお義父さんを抱え上げてそのまま駆け出してしまいますぞ。


「二度ある事は三度あるぅうううう――」

「尚文さん、あなた不用心にもほどがありますよーーーー!」

「お義父さん待ってくださいですぞぉおお!」

「しっ! 騒ぐな! ルナに見つかるぞ」

「ヒィイイイ……」


 俺がおびえている隙にお義父さんは虎男に連れて行かれてしまいました。


「え、えっと……」

「お、追いかけてきますね」


 お姉さんとモグラがそんな虎男の後を追いかけて行きました。

 しばらくすると虎娘に抱えられたお義父さんがお姉さんとモグラと一緒に帰ってきました。

 珍しい組み合わせですな。


「アトラちゃん、ありがとう」

「どうってことないですわ」

「尚文さん、あなたって人は……ロリ達に助けられまくって満足ですか?」

「いやぁ……男であるフォウルくんなら大丈夫かと思ったんだよ」

「お兄様が『良い感じの生き物を見つけた!』と尚文様を持ってきたので、事情を聞いてお送りしにきたのですわ」

「助かったよ。ラフタリアちゃんやイミアちゃんもありがとう」


 そんなお義父さんをモグラがヒョイと抱き上げました。


「ん? どうしたの?」

「えっと……」

「なんでもないです」


 モグラが我に返ったようにお義父さんを下ろしますが、頭を何度も振っております。


「尚文さん、おそらく盾の勇者としての力が人間の姿ではなくなった所為で暴走気味なんじゃないんですか? 亜人や獣人はあなたを見ると不思議な感覚に捕らわれるみたいな感じで」

「え? そうなの?」

「……はい。何となく保護したいって気持ちに……」

「はい……実は……」


 お姉さんとモグラが揃って頷きますぞ。

 ああ、だから見ないようにしていたのですかな?


「外で見張ってますので、何かあったら言ってください」

「うん」


 そう言ってモグラとお姉さんは出て行ってしまいました。


「尚文さん、あなたはもう少し警戒して行動してください。不用心だから罠に掛けられるんですよ」

「面目ない……これも聖武器の盾の補正って事なのかなー……」

「どうなんでしょうね。勇者をめぐって亜人獣人達が血みどろの争いを始める形になりそうですよ」

「なんか嫌だなー……シルトヴェルトもそんな感じで盾の勇者を奪い合うとかしてたんだろうか」

「勇者というより姫ですよね」

「それもどうなの?」

「ともかく……味方ですから下手に攻撃できませんから厄介ですね」

「そうなんだよね……流星盾とかその辺りのスキルを放てば隙は作れると思うんだけどこう……ね」


 とのお義父さんの言葉に錬も頷いておりますぞ。

 ここで樹と錬が小首を傾げていますぞ。


「フォウルさんが轟沈ですか……ですがなぜアトラさんには効果が無いのでしょう?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 尚文も学習しないやつだ。 声に出して「いや、学習しろよ」と言ってしまった。 アトラは盲目だから効果がないんじゃないのか? 最初の世界のワイルド尚文が、今の尚文を見たら呆れ返るだろうさ
[一言] アトラの場合、最初から好感度振り切れてるから多少の補正が乗った程度で変わりはしないって事なのだろうな…
[一言] アトラの対応がかわらないのは目が見えないからか 言い換えると普段の行動が現在のほかのメンバーの行動と同レベルってことだな
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