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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1008/1285

呼び出し


「ブヒ」

『ちょっと、モトさん。ご一緒に来てくださいませんか?』


 モグラが訳してくれましたぞ。


「はい。なんですか?」


 リーダー格らしい豚に俺は純粋を装ってついていきますぞ。

 すると人気のない廊下まで連れ出されましたぞ。

 突如、他の豚がバケツの水を俺に浴びせ掛けてきましたな。


「は! ですわ」


 浴びせられた水を華麗に避けてやると俺の後ろに居た、呼び出した豚の仲間に思い切り掛かりましたな。


「ブ……? !? ブシャアアアア!」


 予想外の回避に水を浴びせられた豚が叫びましたな。


「ブブブ! ブブ!」

『なんで、なんで避けられてんのよ! ちゃんと狙いなさいよ! と仰ってます……』

「きゃあああ!」


 ふふ、ここでもっと大きな声で騒いでやるのですぞ。


「なんだなんだ? いったいどうした」


 ぞろぞろと男子生徒が俺の声に驚いて駆けつけてきましたな。


「掃除中だったのか、この子に水が掛かっちゃって、私驚いちゃって……」

「あ、ああ……そうだったんだ」

「ブブ……ブブブ、ブヒ!」

「ブブ……」


 何やら豚が言い訳をした後、ずぶ濡れの豚を連れて行きましたな。

 洗礼をしようとして失敗したようですな。

 全く、この程度、俺が避けられないと思ったら大間違いですぞ。

 そうして教室に帰ると……用意した教科書やカバンの中に、虫や小さな魔物の死体、教科書の破壊、ロッカー内にある学生服をずたずたに切り裂かれていましたぞ。

 予定の範囲ですな。仕掛けていた映像水晶を回収して証拠は確実に確保ですぞ。

 しかしやはりというか、赤豚の通っていた学園故に腐っているところは腐っていますな。

 リースカも通っていたので腐っていない所もあるのでしょうが、豚の縄張り争いは反吐が出ますぞ。

 樹が授業外で潜伏し、犯人の現場を見ていた挙句映像水晶での撮影はしっかりと取れておりましたな。

 で、今度は下駄箱にラブレターらしき手紙ですぞ。

 放課後……学園の地下倉庫前で待っていますですな。よくある告白スポットなのですかな?

 ともかく、現場に向かいますぞ。


「……ここですわね」


 そこでしばらく待っていると……。


「ぶぶぶ」


 すると先ほど俺を呼び出した豚共が集まってきましたぞ。


「あら、あなたたちはさっきの方々ですわね。何の用ですわ」


 どうせ妙な因縁をつけるのでしょうな。


「ふふふ……アンタにゃ悪いが楽しませてもらうぜ」


 おや、男子生徒も混ざっているようですぞ。


「ブヒ! ブッヒ!」


 ここで魔法詠唱ですな。


『力の根源たる俺が命ずる。理を今一度読み解き、彼の者を痺れさせ自由を奪え』


 この詠唱……ツヴァイト・パラライズですな。

 ですが詠唱の練り込みが足りないですぞ。所詮は戦闘経験の未熟な学生って事ですな。


「おとなしくしやがれよ! ツヴァイト・パラライ――」

「アンチ・ツヴァイトパラライズ」


 豚の声に応じて魔法を唱えようとした連中の魔法を無力化してやりましたぞ。

 後は小さいロッド状にしている槍で懐に入り、パラライズランスでついてやります。


「うぐ――」

「そんな――」


 現行犯ですぞ。

 ドサッとガラの悪そうな男子生徒は倒れて痺れておりますな。


「いい加減、しつこいのですぞ。豚……」


 新入りへの嫌がらせをしたいようですが身の程を知るのですぞ。


「ブヒ!?」

「ブヒャアア!?」

「豚は出荷の時間ですぞぉおおお!」


 ここは人目に付かないので絶好の機会ですぞ! っと俺は豚にもパラライズランスで仕留めてやりましたぞ。


「ブ、ブヒ?」

「うわ! こ、これは一体どうなってんの!」


 ここでリースカとラフえもんがやってきましたぞ。

 お前も呼ばれていたのですかな?


「あ、お構いなく。速攻で運んでおくのですぞ」

「ですぞ? ……いや、そんな事出来そうにないんだけど……」


 俺は豚共一派を両手で抱えるだけ抱えて、隠ぺいスキルを発動しその場を後にしましたぞ。


「き、消えた! 今のは一体……」

「あ、ラフえもんさん。あの人は気にしないでください」


 樹が声だけで応答しましたぞ。どうやらリースカと一緒に行動していたみたいですな。

 そんな訳で行き過ぎた膿1号を処分ですぞ。

 やはりというか貴族の豚で家の権力をかさに被害者面をしようとしましたが、親が来た所で俺は衣装チェンジして槍の勇者だと暴露してやりました。

 すると偉そうだった親が途端にヘコヘコとしだして命乞いまでし始めました。

 速攻で退学処理になったそうですな。




 これは樹が撮った映像水晶の記録ですな。


「ぶえええ……」

「ブヒーブヒブヒ!」

「ブヒ!」

「そんな暴論、なんでリーシアちゃんが従わなきゃいけないんだ!」


 ラフえもんが抗議しますが、豚共は我関せずとばかりにラフえもんを突き飛ばしますぞ。


「暴力はよくないぞ! なんでも暴力で解決しようなんてよくない。樹くんは君たちの物じゃない!」


 何やらラフえもんがリースカを庇っていたようですぞ。


「僕やリーシアちゃんを怒らせない方が身のためだぞー!」

「ぶえええ! ブエブエ! ブエ!」


 絡まれたリースカがしっかりと何やら言い返したようですな。


「ブヒィ!」


 殴りかかる豚の攻撃をサッとリースカは避けて逆に技を仕掛けて転倒させました。


「ブヒィイイイイイイイ!」


 やっちまいなとばかりに周囲の豚がリースカに魔法を唱え始めましたが、そんな隙をリースカが見逃すはずもないですぞ。


「ブエエエ」


 魔法のウイングブロウをリースカは全員の腹目掛けて素早く放って牽制しました。

 強くはなっていますが遠慮が多かったようですぞ。


「ブィイイイイ!」


 抵抗したと受け取った豚がドライファクラスの魔法詠唱に入ったとの話ですぞ。

 まあ、リースカやラフえもんは対処できる程度ですな。


「そこまでですよ皆さん」


 樹がここで潜伏解除をして姿を現しましたぞ。

 すると豚共は驚愕の文字に顔が彩られたそうですな。


「暴力といじめはダメだと注意していたのですがまるでわかっていないようですね。君たち、この件はしっかりと報告させて頂きます」


 樹はそっとリースカを守るように手を添えてその場から連れ出しますぞ。


「ブヒィ! ブヒ! ブヒブヒ!」

「どれだけの言葉を積み重ねようと、最初からあなたたちの行動は見ていましたよ。しっかりと覚えてください。勇者は隠れて見張る事も出来る正義の使者でもあるんです。あなたの本音はしっかりと聞かせて頂きました」

「ブヒィイイイイイイイイイ!」


 豚の大きな叫びが響き渡ったようですぞ。

 ちなみに誤解だという声だったそうですな。


「リーシアさん、ラフえもんさん。すみませんね。では次の呼び出しに行ってください」

「ぶえぇえ……」

「膿を出すって聞いてたけど、凄いね。いつきくん大丈夫?」

「ええ、最初が肝心って事でしょう。元康さんの話ではもっと狡猾な方もいるでしょうが、初日にこんな呼び出しが多いってこの学園の派閥ってどれだけあるんでしょう……勇者の彼女の席を狙う方々と言うのは恐ろしいですね」


 尚文さんは凄いですよ、と樹が何故かここで漏らしましたぞ。

 そこから更にリースカとラフえもんは学園にある時計台前に呼び出されましたな。

 もちろんここでも豚と男たちが罠を張ってました。


「ブブ!」

「フフフ……リーシア=アイヴィレッド。お前にゃ何の恨みもないが楽しませてもらうぜぇ」


 下劣な男子生徒もここには多いようですな。

 樹に適した学園ですぞ。


「ぶえぇ」

「リーシアちゃん、なんか僕はもう慣れて来たよ」


 ラフえもんは呆れた口調でかわいそうなものを見る目でいますぞ。

 樹を見つめる温かい目に比べると氷点下ですな。


「待てぇい! です!」


 こ、この声は!

 フレオンちゃんですな!


「あー……もう聞きつけて来たんですか、というか犯人は元康さんですね。間違いないです。ラフえもんさん!」


 隠れているのに樹がぼそりと零しましたぞ。

 潜伏が未熟ですな!


「うん!」


 ポンポンとラフえもんがおなかを叩き始めましたぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ちょっかいかけてくる連中のリーダー格って女性ばかりだよね。なんかこう傲慢な上級貴族(悪徳)の跡取り候補とか出てこないのはなんでだろう?
[一言] >ホリーさん たしか着ぐるみ状態じゃないと理解出来ないんじゃなかったかと。
[一言] フォーブレイは良くも悪くも歴史の長い大国だからねぇ…
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