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喋る犬と宇宙外交官  作者: メロ
初めての会議と反政府軍
16/21

初めての会議と反政府軍 ③

 彼らが帰ったのは3時きっかりだった。帰るときに彼らは涼しそうな顔で言っていた。

「それにしても、地球は涼しいですね。しばらく滞在することにします」

 僕は以外だった。こんなに暑いのに。そういえば、会議中も彼らは汗をかいていなかった。でも、地球より暑いサイザンフ星って……。冷や汗を流している僕の横で、コルーパが哀れみの意を込めたため息をついた。

「何でもかんでも地球を同じにしてはいけないよ。それぞれの惑星では気候や構造からなにまで違うんだ。その点では地球は恵まれてると言っていいね」

「殴ってやろうか?」僕が睨みつけると、シュンと小さくなる。

 しかし、僕たちの星が侵略されようとしてるのに、こんなにまったりとしていていいのだろうか?なんだか心配になってきた。思い切って、そのことをコルーパにぶつけてみると、「彼らも信用できない人物だからさ」と、言った。

「どういうことだ?」僕は問い詰めた。

 すると、コルーパはため息混じりに話し始めた。

「彼らが、反乱軍のことを話し始める前には、もうすでに情報はつかんでいた。しかし、今頃になって言うなんて、おかしいと思わないかい?彼らは彼らの手で、反乱軍をおさえてきたんだ。何故、それを隠すのか検討もつかないけどね。けど、こうは思わないかい?彼らも、この地球を狙ってる」

 そんな馬鹿な、と笑い飛ばそうと思ったけど、コルーパはまじめだった。

「……何の根拠があって?」僕が聞くと、よくぞ聞いてくれましたとでも言うように、うなずいて続けた。

「どうやら、彼らは地球を貿易国として反映させたいらしいな。予定として、地球資源の秘密裏の貿易を要求してきている。それに、彼らは軍事拠点にはしたくないらしい。わかるか?反乱軍にとられる前に、とっちまえっていうことなのさ」

「じゃあ、彼らを信用してはいけないということか?」

「いや、その件については別だ。地球を侵略する気はないと思うけど、影で操りたいだけなのさ。いいかい、宇宙じゃ誰も信用できない。なれなれしく近寄ってきて、腹の中じゃ自分の利益だけしか考えてない。そういう世界だ。安直に信用することはまずない。けれど、彼らは重要な外向星の一つだ。彼らだって、自分の利益も考えている。でも、この地球を手中に収めるには俺たちのことを信用させなくてはいけない。だから、彼らも嘘をつけない。でも、全てを信用してはいけないんだ。僕らは僕らの利益を考えなくてはいけないからね」

 要するに、あまり信用するなってことだろ!っていいたくなったけど、黙っておいた。ここで何か言えば、睨まれる。でも、一つ聞きたいことがあった。

「姿を変えられるという少年についてだけど、その奴はなんなんだ?……その、つまり首相も姿を変えられるし、少年の何が特別なんだ?」

 コルーパはきょとんとしていたが、あぁ、とつぶやいた。

「奴は最終兵器なんだ」

 へ?とまったく意味のつかめない僕の表情を楽しむようにして続けた。

「姿を変えられるサイザンフ星人はごく一部。地球でいう、英才教育みたいなものを受けたサイザンフ星人のなかで、才能をもったサイザンフ星人だけが姿を変えられるようになる。でも、奴の場合はもっと特別だ。サイザンフ星が侵略、または地球が侵略されたときに動く、最終兵器だ。でも、今は反政府軍によって、地球、またはサイザンフ星を侵略するようになっている」

「――それは、一度も侵略として動いたことがないのか?」

「あるな」コルーパはまじめな顔で答えた。「氷河期あたりがそうだな。反政府軍は二度現れた。今回と、氷河期あたりで。そのときも、宇宙じゃものすごく大きな問題になったんだ。地球を野放しにしておくわけにはいかないってな。反政府軍が現れ、最終兵器で地球を滅ぼそうとしたんだ。サイザンフ星が地球を影で操っていた時代だからね。地球を滅ぼして、サイザンフ星を軍事国家にさせようとしたんだ。地球あっての民主制だからね」

 つまり、奴に狙われると僕も終わりってことか。僕には石の力があるけど、地球を滅ぼせるほどの力を持っている最終兵器には太刀打ちできない。僕――宇宙外交官がやられてしまうと、サイザンフ星の立場がなくなる。反政府軍の思惑通りということか。

 ますます、まずいな。なんだか、緊張してきた。

 でも、もっと緊張したのは十日後だった。

 

 十日間、特に反政府軍の大きな動きもなく、平穏な日々が続いていた。僕も、宇宙外交官の仕事をまっとうしていた。おじいちゃんに会いに行きたかったけど、そんな暇はない。だって、宇宙外交官って、すごく忙しい!

 本物の政治家みたいに、分刻みや秒刻みって訳じゃないけど、気楽にゲームをしてる時間や、ましてや、外に出かける余裕なんてものは微塵もなかった。

 僕が数々の条約、規約の書類と格闘しているとき、突然、首相が訪問してきた。

「しばらく京都にいました」

 どすんと、大きなお土産の袋を置いたと思ったら、意外な発言をした。てっきり、東京とか、ニューヨークとかにいると思ってた。

「東京やニューヨークなんかは古い時代のもので、どれも見劣りするんですよ。でも、エジプトのピラミッドやマヤ文明の建物なんかは、我々の科学が使われていて、ワクワクしますね」

「じゃあ、京都のどこがいいんでしょう?」僕が聞くと、

「京都は宇宙の中でも人気のある観光スポットでしてね。私たちが行ったときも、たくさんの宇宙人がいました」そのあと、首相は声を低くして続けた。「しかし、妙ですね。ここのところ、反政府軍の動きも見かけられません。この大事なときにおとなしくしているのもおかしいでしょう?」

「ええ、まあ。でも、平和にこしたことはありませんが……」

 僕は言った。そう、戦争なんてまっぴらだ。それに、何事もないままこの夏を過ごしたい。

 そう思っていたら、コルーパが言った。

「それは、つまり……。『あれ』ですか」

「そういうことです」

 え?『あれ』ってなんなんだ?

  


読んでいただいてありがとうございます。

徐々に続きを載せていきます。

 

現在、2nd(よりよい表現に推敲しております)を執筆中です。



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