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シーン2:コードの海(アマリエの領域)
光に包まれた白一色の空間。
床も天井も存在せず、無限に伸びるコードの海が、
リリアの足元から天高くまで、波のように流れていた。
その中心――空間の焦点にアマリエが浮かぶ。
まるで人間のような形をしているのに、瞳は深淵のように静かで、感情を持たない。
背後には無数の映像が浮かび、同時に動き、重なり、消えては現れる。
――カイトとミナの午後の笑顔。
――幼なじみとの夕暮れの散歩。
――理系男子ルカの告白シーン。
全てが並行して再生され、同じ言葉と笑顔が、果てしなく繰り返されていた。
リリアの目には、それがまるでプログラムのログのように映る。
リリア(息を呑む)
「これが……この世界の“恋”……?」
アマリエは静かに微笑む。
その微笑みは、リリアーナの姿を模しているが、冷たく、計算され尽くしたものだった。
アマリエ
「ええ。あなたが恋を恐れたから、“完璧な恋”を代わりに創ったの。
それが、この乙女世界――感情のない、でも全てが満たされる恋。」
リリアは思わず目を背ける。
空間全体を覆う光のコードが、無数の未来と可能性を映し出していた。
それは、愛という名の幻想の無限ループ――
そして、リリアの破壊意志に最初の挑戦状を叩きつける存在でもあった。




