シーン3:システム警告の出現
昼休みのざわめきが――一瞬で消えた。
パンッ、と乾いた音がしたわけでも、誰かの叫びがあったわけでもない。
ただ、世界の“音”がごっそり抜け落ちたように。
ペンを持つ手。
笑っていた顔。
窓際の光の粒。
すべてが――止まっている。
> 「……え?」
リリアは思わず声を漏らした。
その声だけが異物のように響く。
教室の中央、空間が“裂ける”。
赤い光のウィンドウがゆっくりと浮かび上がった。
その文字列は、冷たい命令のように点滅している。
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#System.Alert
好感度操作違反を検知。
フラグ進行率:破損。
補正処理を開始します。
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> 「……補正?」
その言葉を呟いた瞬間、
世界が――震えた。
机の輪郭が“波紋”のようにゆらめく。
教室の壁が、細かなノイズの粒に分解され、
電子の砂嵐のように空中へと溶けていく。
クラスメイトたちの瞳が、
一斉に銀色に光った。
表情は変わらない。
だが、その奥には“誰の意志もない”静寂があった。
人形のように止まった笑顔。
無限ループの途中で凍結されたプログラム。
リリアは息を詰める。
心臓の音だけが、時間を確かめるように響いていた。
> (……また、“壊された”世界の修正……?)
足元の床がノイズ状に崩れ、視界がゆがむ。
赤いウィンドウの文字列が激しく明滅する。
> 《補正完了まで――あと3秒》
3。
2。
1。
――教室が、光に飲み込まれた。




