001 firstfirst encounter
思い付きだけで新作始めてしまった。すんませんm(__)m
(うぅぅ~~......さみぃ~~っ!!)
やはり俺みたいな最底辺の人間には冬場の寒さは堪える。
ああ、俺の名前は久寿男 吾味久寿男だ。
『名は体を表す』なんて慣用句があるが、俺の場合は読み方というか呼ばれ方のせいでロクな人生じゃなかった。
そんな俺の生い立ちなんて無価値なんで詳しくは語りたくもないが───
子供の頃から『ゴミクズ』なんてあだ名で呼ばれてずっと過ごしてきた。
当然の様に日常的なイジメを受けてきた。
でも....まぁそれも仕方ないかもしれない。
なぜなら俺自身が本当にゴミクズなのだから。
50手前になるというのに定職にも就けずほぼニート。
頭頂部の毛根は既に8割がた死滅している。
目つきも悪く濁り切って死んだ魚の眼の様。
顔のいたる所にシミや吹き出物ができており、おまけに色も浅黒くガサガサ。
身体全体も猫背でずんぐりデブで、弛みっ放し。
俗にいうハゲキモデブだ。
更に乳児の頃に大病を患った後遺症で顔面神経痛のように常時歪んでいる。
おまけに身体能力なんて小学生並み。
ヘタすれば小学生にさえ喧嘩でもたぶん負ける。
こんな醜い風貌だし何をやってもどんくさいんだから苛められて当然だろうな。
小学校からずっと一貫していたよ。それだけは。
それでも頭だけでも良ければ多少は救われたのかもしれないが、生憎と脳みそもゴミだった。
辛うじて入れた高校は偏差値40以下で不良共の温床の様なクソみてぇな商業系の男子高。
必然的に醜く陰キャで臆病な俺はそこでも半グレ共の恰好の憂さ晴らしターゲットにされた。
誰も助けてはくれなかった。
友達だと思っていた同級生や学校の先生も。
親でさえも、
「お前が苛められるのはお前自身にも原因があるんじゃないのか?」
などと言いやがってロクな対処もしてくれなかった。
イジメるのに正当な理由なんてある訳ねぇのによぉ・・・・・
尤もその家族からも虐待まがいの扱いだったけどな。
そしてまともに就職できず、引き篭もりだ。
唯一の楽しみはネットだった。
ネットなら概ね平等だし、偏見も苛めもない。
ゲーム、動画、音楽、小説などなど・・・・中には有料の物もあるけど大体は無料で遊べたり、視聴できたからな。
女性や性的な物に興味が無かった訳ではない。いや、むしろ異常なまでに執着心があった。
だが世の女性がこんな化け物の相手などしてくれるはずもない。
50近くになっても未だにDT。
30過ぎても魔法使いにはなれなかったよ。(嘲笑)
そんなこんなでここ数年で相次いで親が死んでいった。
だが涙なんか出なかったし悲しくも無かった。
それどころか(これでやっとクソ親の呪縛から解放される)とむしろ喜びさえあった。
自分で言うのもなんだけど、卑屈だよな。
それ程までに家族は俺に冷たかった。ぬくもりなんて物心ついた時から感じた事など無かったさ。
だから独りになって清々しささえあったよ。
下に妹はいたが、既に結婚しているし、俺の事など兄貴だと思っていない。
葬儀の席でも人前で散々詰られ、親が死んだのは俺のせいだと責められた。
何だかんだで遺産の半分以上はちゃっかり持っていったが。
別れ際に笑いながら、
「金輪際アンタとは関わらないから!生きようが死のうがどうぞご勝手にっ!!」
などと捨て台詞を吐いていた。
これで俺は頼れる人間もいない天涯孤独になっちまった訳だ。
今までと何も変わらないけどな。
親が遺したお金でどうにか暮らせている状態だが、それも無限では無い。
それが尽きた暁には恐らくくたばるだろうなぁ。
だがそれも別に何でもない事。
生まれてからずっとクソみてぇな人生だったから別に死ぬのも怖くない。
この世に対して恨みつらみはあれど未練なんてこれっぽちも無いしな。
そんな感じで夢も希望も生きる気力など皆無な俺は家の中でただ漠然と過ごしていた。
そして夕飯を買おうと近くのコンビニへ向かっているところで冒頭の言葉が出た訳だ。
ドテラを着込んで中へ入ると何か様子がおかしい。
若い女の悲鳴?呻き?みたいな声が微かに聞こえる。
(どうやらカウンターの方か?)
入り口から少し奥まった場所にあるそこをふと見やる。
そこには一人の俺よりは二回りほど若い男が包丁を片手に持ち、もう片方の手で女子高生だろう制服を着た女の子を抱え込む様に捕まえていた。
(なんだコレ?!ドラマかなんかのロケかぁ?)
それにしてはカメラとか照明も無いし、クルーらしき人間もいない。
・・・・・って事はマジか?!!
そんな風に考えていると強盗犯と思しき男が俺の方を向いたので目が合っちまった。
すると俺の身体が俺の意思を無視して勝手に動きだした。
気が付いた時にはまるで磁石にでも吸い寄せられるかのように俺は強盗犯に向かって突進していた。
しかもあり得ない加速して・・・だ。
「「ひっ!!」」
俺と強盗犯の声が重なった。
ドスンッ!と大きな衝撃音が店内に響き渡って、
次の瞬間 俺の腹に鈍痛が走った。
「ッ!!!いっつぅ・・・・・・!」
言うまでもなく、強盗犯の持っていた包丁が衝突して倒れ込んだ拍子に俺のぜい肉だらけの腹と接吻した様だ。
手で腹を押さえてみれば何やら暖かい液体がドクドク流れ始めている。
強盗犯はというと俺に乗っかかれている状態で身動きが取れなくなりバタバタしていた。
囚われていた女の子は咄嗟に回避して無事に難を逃れたみたいだ。
ああ、すげぇ痛みが・・・・あれぇ?室内なのにエラく寒いんだが?
あまりの寒さにガタガタ震えてきやがった。
な、何か意識もだんだん朦朧としてきたぞっ!
(そっか..........俺、クソ野郎に刺されちまったらしい。)
(フッ.......どうやらお金を使い切る前にお陀仏するのか。)
(でもあの世では親には会いたくないかも。。。)
(あーあ、せめて一回ぐらいは女を・・・・・・・)
そんなどーでもいい事を考えているうちに目の前が暗くなって、やがてプツリと意識が無くなった。
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(んん?・・・・・・・・・どこだ?ここ)
どれぐらい経過したのかわからないが、俺が次に目覚めたのは何も無い真っ暗い空間だった。
刺された感覚や記憶ははっきり覚えているので間違いなく俺は死んだのだろう。
「よぉ!お目覚めかい?」
と、突然声がかかる。子供?中性的な声だ。
しかし姿は見えない・・・・というか何も見えない。真っ暗闇だ。
「そりゃあそうさっ!今の君は実体を持たない思念体でしかないんだから」
(思念体?)
やっぱり死んじまったのか。。。
思念体...つまりは霊魂ってことか。どうりで何も見えないし、声も出せない。
でも声は聞こえる。
「直接霊魂に呼びかけているからねっ!」
(・・・・・・???)
「ああ、自己紹介がまだだったねっ!」
こちらの思考は伝わる様だ。
「ボクの名前はタナトス。」
(タナトスって確か・・・・)
「そうそう♪死を司る神 人の子は死神って呼んでるね」
これって・・・・・ひょっとすると生前、ネットで読み漁った投稿小説の中に出て来る?
(でもまさかそんな事が本当に.......)
「あるんだなぁ~♪これが」
如何にも愉快そうに話しかけて来る。
俺の方は唖然となりしばし思考が停止する。
(・・・・・・・・・・・)
「んでさぁ 単刀直入に言うと・・・・・・・ボクと契約しない?」
(契約?)
しかも王道らしい展開だしww
基本不定期。月一かな?(謎w)
感想とかアドバイス頂けるとありがたいです。