オワタ戦記
これはひどいw
第二次クロネシア戦争、それは大陸のすべてを巻き込んだ戦争だった。
拷問、陵辱、殺戮この世の悪という物事が一度におきた戦争だ。
しかしその戦争の中で一人の男が現れた。二つ名は漆黒の戦魔その名はオワタ=ニチャネラーと言った。
オワタ戦記
ある人はこういった。
――「ヤツ、オワタの使う魔法は見たことが無い」
と。またある人はこういった。
――「黒い影を見たと思ったら気を失っていた」
と。
この話を聞いた人は大抵信じないのだがこの話はすべて本当だ。
漆黒の戦魔オワタ=ニチャネラーはその名の通り黒い服で身を包み悪魔のような圧倒的な力で戦場を駆る。そしてほかの者の使えない魔法を駆使し戦場を生き抜く。
そんなフィクションみたいな話はその場に居合わせたものしか信じないのも道理だろう。
§§§
戦場をひとつの“影”が駆け抜けた。いや、正確には黒い装束をまとった一人の男が駆け抜けていった。
その男の名はオワタ=ニチャネラー。その風貌と戦果から漆黒の戦魔と呼ばれる男だ。
「骨のあるやつはいないようだな。つまらん」
戦場を駆け巡りながら彼はそう呟く。
過去、彼が本気で戦ったのはほんの数人だ。この戦場に武神ブーン=ヴィッパーがいると聞いてきた彼であったがその表情からは落胆が読み取れる。
しかし、そこに人影が現れた
「おまえがオワタかお?」
なんとも変なしゃべり方をする男だったがオワタはその男を知っていた。
「ふん、どこに隠れていた武神ブーン」
「隠れなんか無かったお。これを見るお」
「なに?」
ブーンの後ろには何かの紅い山。その中心には一振りの槍。その山は紛れもない人――オワタの味方の兵士だった。その兵士は皆事切れていた。
しかしそれを見てもオワタは動揺ひとつしなかったそれどころか嬉嬉とした表情を浮かべていた。口角を吊り上げて嗤っていたのだ。
「ふん、中々やるじゃないか」
「このくらい一瞬だお」
「そうか、なら愉しめるな」
「吾はブーン=ヴィッパー二つ名は武神」
「吾が名はオワタ=ニチャネラー。二つ名は漆黒の戦魔」
二人とも名乗りをあげ、
「「いざ勝負!!」」
戦いが始まった。
剣が火花を散らし、鎧が軋む。
呪文を呟き、空気が爆ぜる。
「チィッ・・・」
ブーンが小さく呟く。
傍から見れば力は互角だがブーンは微かに押されていた。
相手のオワタは正反対に嬉そうな表情をし静かに嗤う。この戦いを楽しんでいるのだ。
「そろそろ決着をつけるか」
彼がそういった瞬間、オワタを暗黒が包んだ――否、そのように錯覚した。
それだけでない、彼はさらに嗤っていた。
「―――――――――――人生・・・」
彼は一言呟き、
「\(^o^)/オワタ!!」
そう言った。
「何だ・・・うぐっ!?」
刹那、武神に変化が起きた。
「何を・・・した・・・」
「ふん、死人に教えることなどない」
その言葉を聞き終える前に武神は地面に伏していた。
「ふん、他愛も無い。」
戦魔はそう言い捨て屍に背を向け新たなる敵へ向かって歩いていった。
その裏で武神の表情は言っていた―――――“人生\(^o^)/オワタ”と。
この作品は夢幻さん(http://mypage.syosetu.com/43521/)の作品一覧を見ていて思いつきました。この場を借りて感謝申し上げます。