第4話 王子様のことが心配です!
ーーはいぃ?? 今、なんとおっしゃいまして!?
私は混乱した。
もちろんアルフレッドが話した内容が一ミリも理解できなかったからである。
キラキラの第3王子であるアルフレッドは、困惑する私など気にするでもなく、続けた。
「今までの君に対する数々の非礼は、謝罪したところで到底許されるものではないことはわかっている。
勝手なことだとはわかっているが、君だけには理解してもらいたいんだ。
これまでの経緯については、ちゃんと説明する。だから、シルヴィ、私と結婚しよう!」
「えーっと、アルフレッド様……」
私はアルフレッドに抱えられたまま、こめかみに人差し指を当てた。
「シルヴィ、わかってくれるだろうか?」
不安そうに揺れる瞳に、私はとりあえず微笑んだ。
「だいたいのところはわかりましたわ。……アンナ!」
私は首だけ後ろを振り返ると、驚いたまま固まっているアンナを呼んだ。
「すぐにお医者様を呼んで! アルフレッド様は頭を強く打たれたようだわ!」
「ち・が・うっ!」
「ヒッ!」
アルフレッドに両肩を掴まれ、私は小さく悲鳴を上げた。
「私は頭がおかしくなったわけじゃない! これは真面目な話なんだ!」
「あ、アルフレッド様、とりあえず、離してくださいませ。とても……、痛いですわ」
私の言葉に、アルフレッドははっと手を離した。
「すまない。つい興奮してしまった」
「とにかく、お掛けにになってくださいませ」
ソファにアルフレッドを促し、私はアンナにお茶を準備させることにする。
ーーそれにしても、すごく困ったことになったわ。アルフレッド様の頭のネジがぶっ飛んでしまうだなんて!
顔と頭だけはとても良い方だったのに……、残念だわ。
「その様子だと、全然信じてくれていないみたいだね」
正面に座った私に、アルフレッドはにっこりと微笑んだ。
「ええ……、いえっ、アルフレッド様を信じていないわけではありません。ですが、少しびっくりしてしまって」
ーーここは穏便にすまさなければ……。アルフレッド様は自分自身に起きたことをまだ理解されていないのだわ。
「私も驚いているんだ。あの舟遊びで溺れた時、全て思い出した」
「アルフレッド様、きっとアルフレッドは溺れたときのショックでまだ混乱されているのですわ。その時見た悪夢を、現実と混同されてしまって……」
「悪夢などではない!」
ーーまあ普通そう言うわよね。当人が信じ切っちゃってるんだから。
「でもアルフレッド様、私としても急にこんなお話を聞かされても戸惑うことばかりですわ。だいたい……、アルフレッド様はジュリエンヌさんととても親しくされていらっしゃいましたよね!?」
チクリと嫌味を言ってやる。私は絶対に忘れるつもりはない。婚約者である私をほったらかして、ジュリエンヌ嬢に夢中になっていたあの屈辱の日々を!
「それには理由があるんだ! きっと信じてくれないと思ったから証人を連れてきた。あの者をここに!」
アルフレッドが控えていた侍従に命じると、しばらくして扉を開けて部屋にはいってきたのは……。
「ジュリエンヌさん!?」
肩を落とし、泣きはらした目のジュリエンヌが、侍従に連れられてきた。
「アルフレッド様……、一体何を……」
「シルヴィ、この者は魔道具を使って、私に魅了の術をかけていたのだ!」
「魅了ですって!?」
ーーああ、また話がややこしくなってしまった!!




