新世界 その2
どれくらい寝ていたのだろう。
視界には見慣れない天井が見える。
あー私、本当に転生したんだな。
取り敢えず産まれは良さそうだし、餓える事もなさそうな環境で安心したわ。
取り敢えず一定の文明はありそうね…。
まだ天井しか見てないけど。
それにしても…
赤ちゃんて身体全然思い通りに動かせない…!
まずベッドがふかふかすぎて身体が沈み混んで首すら動かせないんですけど…
私起きてますよー。
天井以外もみたいなー。
そんな願いが通じたのか私は誰かにベッドから持ち上げてもらった。
あ。金髪美女!
金髪美女は優しい顔で私を見つめている。やっぱりこの人が私のお母さんなのかな?
そうなると私の容姿も期待しちゃうな。
美少女確定でしょ!
いやーなんだが転生に明るい希望が見えてきたぞ。
あ。どうやらお散歩をしてくれるらしい。
……
お散歩かと思ったけど部屋の中を抱っこされながら窓の外を見たり、部屋を歩き回るだけだった…。
今の私はまたミルクを与えられた後、ベットに戻され寝かしつけをされている。
特に私が泣かないからメイドさんも遠目に見ている私を見ているようだ。
それにしても…絶対金持ちだ…それもヤバい程の。
部屋は30畳以上はあるんじゃない?って感じだったしメイドさんみたいな女性も2人部屋に控えていた。
窓の外からの眺めは、街並みを見下ろせる感じだったし…。
OLの頃の私なら手汗がすごい事になっているだろう。
え?私この家でやっていけるの???
閉店間際の値引き総菜とストロング○ロを相棒に10年間バリキャリ(社畜)してきた私が??
すごい家柄に見えるし、絶対政略結婚とかお上品で裏ではドロドロのお茶会みたいな世界が待っているの?
前世もまともに恋愛もしていないのに?今世も恋愛とか望めないの??
あーやばい憂鬱になってきた。絶対この世界にコンビニもないよね…街並みもヨーロッパっぽい感じだったし…。
あー眠くなってきた。赤ちゃんの体は本当に不便。仕方ないか…
……
それからおよそ一月ほど、私は部屋の中を散歩してもらうだけの生活を過ごしていた。
その頃になると段々と気持ちの整理がついてきた。
自分が死んだ事。
異世界に来た事。
むしろ第二の人生が異世界で前世の知識があるとはラッキーでは?とも思いだした。
そう。天才児としての第二の人生が約束されたものよ!
政略結婚は嫌だけど、女当主、女傑的なものに成ればたぶん相手を選べるんじゃないかな?
そんな事も考えていた。
そして、家族の名前や部屋の中の机や椅子などの名詞は大体わかってきた。
なんたって既に日本語と高校教育迄の英語を習得しているのよ?お母さんが何の説明をしているかなんて大体わかるものよ。
まぁ赤ちゃんってだけで学習に対する吸収能力がすごいのかもしれないけどね。
後は、この世界で気になった事があった。
あれは私が夜中の授乳中の事だ(赤ちゃんは本当にすぐお腹空いちゃう)
さすがに夜中は乳母みたいな人がミルクをくれるんだけど、その時に窓の外を眺める事が出来た。
窓のお庭で兵士みたいな人が巡回していたんだけど、どう見てもその兵士の数歩先を光の玉が浮いているように見えたの。
あれは何だろう…?魔法?
そう思った時、私はこの世界のことが俄然知りたくなってきた。
早くこの部屋から出たい!相変わらず身体が不自由だけど頑張って身振り手振りしながら外に出たいアピールをしてみた。
そんな思いが通じたのか。
部屋の外に出られる日は、思ったより早く訪れた。