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『悪役』を頑張りたい令嬢のそうじゃない日常【プロット】

■場所(リディアの自室・朝)

リディア(噂には聞いていたが、これが異世界転生か……)

十歳になって数カ月。特別な日でもなく、予定すらないそんな日。目覚めると、当然のように頭の中に前世の記憶があった。リディアとして生きた記憶もまだ残っており、同居している状態。自然と焦りはない。

いつものようにメイドを呼び、身支度を整えさせてから食事に向かう。


■場所(ダイニングルーム・朝)

リディア〈ここが異世界なことと、生まれ変わったことはまぁいいとして。転生先が悪役令嬢なんて……。チラッと名前は聞いたことあるけど、何する人なのか全くわかんないんだよなぁ〉


朝食を食べながら、自分が転生してしまった『悪役令嬢』とは一体何なのかを考える。


ガザミ「リディア、どうしたんだ? 何か悩み事でもあるのか?」

リディア「ええ、少し」

ギラン「あまり使用人に迷惑をかけるなよ」

リディア「分かっていますわ」

メルディ「明日の夕方、針子が来ることになったから」

リディア「分かりました」


家族と会話をしながらも頭の中は『悪役令嬢』のことでいっぱい。

悪役令嬢が乙女ゲームに出て来るキャラクターの役職であるというところまではすぐに辿り着いたが、リディアは乙女ゲームをプレイしたことがなかった。


リディア〈悪役ってことはとりあえず悪いことをすればいいのよね! 多分。悪いことといえば真っ先に頭に浮かぶのは……〉


早速実行しようと朝食を食べ終わると自室に戻り、窓から手を伸ばす。


リディア〈今日はこれから天気が悪くなるはず! ああ、私が今朝記憶を取り戻したのには意味があったんだわ!〉


使用人に傘を用意させ、服もドレスではなく、部屋に帰って来る前に庭師見習いから強奪した服に着替える。

何がなんだか分からない使用人達を置いて、風が強くなったタイミングで屋敷の外に出る。


■場所(屋敷の外・昼)

使用人「お、お嬢様。何をなさるおつもりですか」

リディア「今に分かるわ。それよりも危ないからあなた達、下がっていなさい」

使用人「危ないことなんてお止めください!」


使用人の制止を無視して、ズンズンと屋敷から離れていく。少し開けた地に出てから、傘に穴がないか・ちゃんと開くかを入念に確認。


リディア〈台風の日に傘を広げて飛ぶのずっとやってみたかったのよね! 前世だったら絶対怒られるけど、今世は悪役。怒られるようなことを率先してやるのが仕事!〉

台風の日と比べると風はまだまだ弱い。だがこの世界には魔法があり、リディアはすでにある程度の魔法を習得していた。


リディア〈複合魔法はやったことないけど、何事もチャレンジ!〉

自分を中心に最大出力で風魔法と水魔法を展開させる。そしてバッと傘を開いた。


リディア「I'm flying!」

リディアの声が響くと共にふわりと身体が浮いた。風を調整しながらふよふよと浮く。


リディア「大成功だわ!」

メルディ「リディア、今すぐ降りて来なさい!

騒ぎを聞きつけた母は物凄く怒っている。

仕方なく力を弱めて着地。ドレスはびしょびしょ、傘もボロボロ。だが興奮で心臓がバクバクしている。

リディア〈これが悪! なんて素晴らしいのかしら〉


こってりと絞られたが、達成感に満ち溢れているリディア。翌日には次なる悪事を考えている。



■場所(リディアの自室・朝)

空飛ぶ傘事件から数日後、リディアは次なる悪行を開始することにした。


リディア「薬師を呼んでちょうだい!」

使用人「お加減でも悪いのですか?」

リディア「いいえ。でも相談したいことがあるの!」

使用人「先日のようなことはお止めください」

リディア「大丈夫。魔法は使わないし、ドレスも汚したりしないから!」


悪い笑みを浮かべるリディアに使用人は嫌な予感を抱えながらも逆らうことは出来ず、薬師を呼ぶことにした。


薬師「お嬢様、お話しとは一体……」

リディア「あなたには高級ポーションを作ってほしいの。初めが重要だから、そうね、とりあえず五本! お金ならちゃんと払うわ」

薬師「それは構いませんが、一体どうするおつもりで?」

リディア「転売するの。それも通常よりもかなり高い金額でね」

薬師「ですが高級ポーションなら薬屋に行けば置いてあります。通常よりも高い金額を払ってまで買う意味がありません」

リディア「私もそのまま売ろうなんて考えていないわ。薄めて、低級ポーションとして売るの」

リディア〈高いお金を払って粗悪品を掴まされたとなれば客の怒りはすぐに爆発する。けれど安いものを買う客はある程度のリスクを背負っている。特にポーションなどの薬品はそれらのリスクがあると分かっていても安いものを買い求める層がいるのだ。買っても自己責任。避けるためには周りから情報を聞くか自分で試すしかない。この情報が広く回る前に手を引けばがっぽがっぽ。元が高級ポーションなので、薄めても味だけでは判断が効きづらいという寸法である。私って天才!〉

薬師「薄めて売るなど聞いたことがありません」

リディア「誰かがやったことはすでに警戒されてるの。初めてじゃないとすぐばれるわ」

薬師「そんな……。私はこの計画には賛同しかねます」

リディア「睨まないでよ。言い換えれば、私がやれば周りの人達は似たようなことを警戒するようになる。大儲けしようと考えていない私がやることで、少ない損害で学習できるんだから悪い話じゃないわよ」

薬師「……あまり高額にしないこと。一カ月で止める約束してくださるのであれば」

リディア「それでいいわ」


リディア〈人をだましてお金儲けをすることが目的であって、大きな利益を出す必要はないし〉


薬師に作らせた高級ポーションを水で薄めて『低級ポーション』として売りさばく。

低級ポーション(偽物)の値段は他の低級ポーションよりも少し高めで、完売すると仕入れ値を多少上回るくらいになるよう設定した。薬師も渋々頷いてくれた。初日から完売で、悪役らしい笑みを浮かべるリディア。だが期限の一カ月が近づいてもなお完売が続く。本数を増やしても売り切ってしまう。


リディア〈どういうこと?〉


■場所(城下町の薬屋・昼)

薬師を呼び、低級ポーション(偽物)を卸している薬屋へと向かう。

そして一般の低級ポーションよりも効果が高い! と大評判で飛ぶように売れていることを知る。


リディア〈これじゃあ悪事にならないじゃない! ならもっと値上げして……〉

値上げしても売れる。しまいには薬師やお客さんから感謝されるようになってしまった。悪行ではないので、これ以上続ける意味がない。低級ポーション(偽物)を作る権利は薬師にあげてしまうことにして、自分は次なる悪行を考え始める。



■場所(王宮のバラ園・昼)

リディア〈ああ、退屈だわ〉

悪役として悪の道を突き進まないといけないリディアだが、令嬢としての立場もある。今日は王家主催のお茶会に来ていた。未だに周りの令嬢は王子の婚約者枠や、未来の側妃の座を狙っている。当のレオン王子はいつも華麗にそれらを躱すのだが、今回は構う余裕さえない。リディアにキラキラとした視線を向けている。


お茶会が始まる前に言われた言葉を思い出す。


リディア〈なんで錬金術と勘違いされているのかしら? せめて薬師じゃない?〉

城下町での一件を聞いた王子はなぜかリディアを幻の存在、錬金術師と勘違いしていた。婚約者といっても政略的に結ばれたもので、普段はここまで熱い視線を向けられることはなかった。よほど錬金術師に憧れていたのだろう。


リディア〈それはそれとして他の令嬢達の相手はしっかりとして欲しいものだけど〉

ため息を吐き、紅茶を飲む。


この時は簡単に考えていたが、こんな状態が何度も続くと令嬢達の苛立ちが目に見えるように。面倒くさくなったリディアは山籠もりを決意。


■場所(リディアの自室・朝)

リディア〈親不孝こそ一番の悪行ね〉

山篭りに行く前に前世でやってみたかったことその2『火炎瓶の製作』に取り掛かる。といってもこの世界には魔法がある。魔法の先生を呼び、魔法を瓶の中に詰めることを成功させた。


魔法の先生「こんな方法があったなんて……」

リディア「人間、やろうと思えば大抵のことは出来るものよ!」

魔法の先生「さすがはリディア様です!」

リディア〈凄いのはイメージを話しただけで実物作っちゃう先生の方だけど。まぁ悪い気はしないからいいか〉

親に告げずに出ていくつもりだったが、家族には筒抜け。母は心配しているが、父は何を作るんだろうとワクワクしている。そんなことなど露知らず、庭師見習いから再び服を強奪。使用人に用意させた腰下げに火炎瓶を十個ほど下げて山へ向かう。



■場所(公爵家からほど近い山・朝)

リディア「なんであんたが付いてきているのよ」

使用人「リディア様に何かあったら大変ですから」

リディア「使用人同伴なんて悪役感が薄れるじゃない!」

使用人「よくわかりませんが、私のことは壁か何かと思っていただければ」

リディア「そういうわけにはいかないでしょ!」


使用人は全く引くつもりがないので、リディアが折れることに。魔物と遭遇して、襲われそうになる度に『Fire!』とか言いながら火炎瓶を投げつける。


リディア「山で火炎瓶を使うなんて、下手したら山火事になるかもしれないのに……それでも構わず投げつけることこそ悪行!」


自分の悪事に惚れ惚れとしながらも、少しでも火が広がったら焦って水魔法で鎮火する。


使用人〈火炎瓶を使わずに倒した方が早い気がしますが、それはお嬢様の場合。強力な魔法が使えない者には攻撃や身を守る手段になりますね……。旦那様へ報告しなければ〉

リディアが魔物討伐に夢中になっている間、使用人は使用方法や威力、改善点や使用上の注意をまとめる。




■場所(リディアの自室・朝)


山に籠るつもりだったリディアだが、火炎瓶を使い切ってしまったため、大人しく帰宅。そして一人反省会を開く。


リディア〈さすがに山火事のリスクは大きすぎるわ……。ちょっと怖かったし、いくら悪役でもやっていいことと悪いことがあったわね〉


今回の反省を生かし、水魔法が詰まった瓶と風魔法が詰まった瓶も作成。

また威力も調整することにし、魔力の量を三段階ほどに分けて弱中強と使い分けることにした。

以降も瓶の本数を増やして山籠もりを試みるが、すぐに使い切ってしまう。

やっと足りるようになったと思ったら、泊まる場所がない・ご飯がないの壁にぶつかって、結局帰って来ることに。



■場所(城下町・夕方)


リディア「なによ、これ!」

今日も悪行を働くわよ!と張り切って山で魔物を倒しまくったリディアは帰りにとある店を発見。公爵家の使用人が噂の錬金術師の新作として火炎瓶を筆頭とする魔法瓶を売り捌いていた。隣には父や薬師の姿もある。そこまではいい。問題は店の前に置かれた旗に書かれた文字である。


『火炎瓶さえあれば危険地区 アウディーラ山で魔物と遭遇しても大丈夫! ※実証実験済み』と書かれている。アウディーラ山は主人公が度々足を運んでいた山。


リディア〈あそこ、危険地区だったのか……〉


ぽかんとしているうちに見覚えのない冒険者や町の人たちに囲まれて大歓迎される。彼らから逃げるようにますます山籠もりするようになる。


時間を持て余したリディアは、破片が飛び散ると危ないという理由から使用後に消える仕様の瓶を開発。以後この瓶を愛用する。



■場所(城のガセボ・昼)


レオン「リディアはやはり幻の錬金術師だったのだな!」

リディア「違いますよ……」


久々の王子との定期お茶会。渋々足を運べば、王子は以前にも増してキラキラとした瞳で見えないはずの尻尾をブンブン振っている気がする。


レオン「リディアのおかげでお兄様達ともお話しできるようになったんだ」

リディア「それは私関係ないと思います」

レオン「いいや、リディアがいたからこそ勇気が出たんだ!」


知らぬ間にとても懐かれたものだ。ここ最近、肌ツヤが良くなった家族と重なった。

理由はあの店。朝食の際は、リディアがいない間にあったことを聞かされて全然悪じゃないじゃない……と頭を抱えている。父に至っては更なる商品を売り出そうと商人魂を燃やしていた。

だがリディアは山籠もりは悪行ではないと気付き、やる気がない。


リディア「お父様、うるさい! 魔法瓶に回復魔法でも詰めればいいでしょ!」

しつこく聞いてくる父に空き瓶を投げつけ、部屋に篭る。


リディアが投げつけたのは最近彼女が開発した方の瓶。それを見事にキャッチした父はその言葉を鵜呑みにし、回復魔法の使い手を国中から集めて回復魔法瓶なるものを売り出した。瓶は当然のようにリディアが開発したものを使用。三日前にそのことを聞かされたリディア。その時のことを思い出して、ため息を吐く。


レオン「リディア、どうしたんだ?」

リディア「私、全然自分の役割を果たせていないなと思いまして」


リディア〈次の悪行どうしよう……。いっそあの店から着想を得るのもいいかもしれない〉


■場所(馬車・昼)


お茶会の帰りに店を見て帰ることに。

そして馬車の中からとある人物を見つけてしまう。


リディア「なんであの子がいるのよ!?」


乙女ゲームも悪役令嬢も全く知らないリディアが知っているのは『悪役令嬢 リディア=オディール』と『ヒロイン ラミア=シシィール』だけ。前世で見たイラストでは王立学園の制服を着ていた彼女がなぜか商会の制服を着ているのである。店を手伝っている使用人達とも仲良さそう。


リディア「ちょっと! あそこのピンク色の髪の子は誰?」

使用人「ラミアさんです。少し前、旦那様が孤児院からスカウトしてきた子で、優秀な回復魔法の使い手ですよ」

リディア「そう……」

リディア〈記憶にある名前と一致する。悪役と主人公が揃ってすることといったらバトルしかない。時代劇なら対峙したら成敗シーンに入るけど、私の方が身分上だし。雇用主の娘だし、すぐに切りかかって来ることはないでしょう〉



■場所(リディアの自室・夜)


一旦次なる悪行計画を練ることを止め、代わりに主人公撃退計画を練る。

リディア〈回復魔法ということはヒーラーでしょ? 攻撃は弱い可能性が高いけど、防御力は高そうだからどうしたものか〉


リディアはRPG知識を頼りに戦術を考えていく。

瓶にも一つの魔法だけではなく、複合魔法を詰めることが出来るのではないかと色々と考え、手を尽くす。


一カ月後、いよいよヒロインと対峙する。


■場所(店・朝)


ラミア「リディア様!? は、はじめまして。私、ラミアと申します。お店には大変お世話になっておりまして」


完全武装したリディアに、ラミアは興奮気味で自己紹介をしてくれる。悪意がないどころか好意しかない。他の魔法使いも似たような反応。どうやら雇用環境がとてもいいらしく、皆、店や父には感謝しているらしい。店を開くきっかけになったリディアにも敬意を払ってくれる。


リディア〈普通、悪役と主人公って敵対するものじゃないの⁉ 乙女ゲームってどうなっているのよ!〉


悩んだところでこの世界には乙女ゲームなんてない。


正解が分からないリディアは戦略的撤退をするのだった。

〇リディア=オディール

【主人公・悪役令嬢・10歳~】


悪役令嬢に転生し、10歳のなんてことない日に前世の記憶を思い出した。

黄色い目・赤髪で腰まで伸びたストレートだったが、悪役のお嬢様と言えばツインドリル!という思い込みで毎朝くるくると巻いてもらっている。面倒くさい時やメイドに頼れない時、時間が惜しい時などは適当にリボンで縛っている。屋敷にいる時は令嬢らしくドレスを着ているが、悪行を働く際などは動きやすさを重視して庭師見習いの服を奪っている。靴も普段のヒールからブーツに変更。


悪役令嬢・乙女ゲームを知らず、少女漫画などの知識も最小限なため、悪役と聞いて浮かぶのはレスリングの悪役と時代劇の悪代官。この二つを参考に相手を煽ったり、黄金色のお菓子を要求したりするが、ことごとく失敗する。


猪突猛進型の性格で、とにかく前向きで打たれ強い。悪行を重ねつつも、人殺しなどは絶対にしないなど自分なりのボーダーラインがある。


悪役令嬢とヒロインの顔と名前だけ知っているので、ラミアの顔を見た時にバトルでも開始するかと身構えたが、そのような展開は特になく、普通に働いているので拍子抜けした。




〇レオン=アレクシア

【王子・リディアの婚約者・10歳~】


アレクシア王国第三王子。リディアの婚約者。

暗めの茶髪に髪よりも少し明るめの瞳。王子らしいキッチリとした服装をしていたが、主人公に感化されはじめてからか社交以外は比較的動きやすい服装シャツにスラックスなどを好み始める。靴も主人公が履いているブーツを作った職人にショートブーツを注文。のちに貴族の令息たちの中でも似たような服装が流行る。


王子らしくあろうと完璧を目指し続けていたが、優秀な兄達のようにはなれず、かといって婚約者のようにワガママにもなれず、窮屈さを感じていた。だが主人公を錬金術師と勘違いし始めてからは見える景色が一転し、日々楽しく過ごせるように。兄達への劣等感が完全に消えた訳ではないが、兄達とも徐々に打ち解けていく。素敵な景色を特等席で見れているので幸せ。




〇ガザミ=オディール

【主人公の父・公爵家当主・30代後半】


黄色い目。自慢の赤髪が年々後退していっていることを密かに気にしている。小太り。長男ではなく、次男。兄よりも優秀であるために公爵家を継いだという自負がある。名家の生まれとしての誇りもあり、乙女ゲームでは現状の立場に納得がいかず悪事に手を染めていたが、主人公の突飛な行動がキッカケで悪事ではなくビジネスにずっぷりと染まっていった。


娘ほどではないがこれと決めたら真っすぐに進む性格で、同時に公爵として領地経営をしていた経験も豊富。その手腕で売り出した商品を次々にヒットさせていく。


『質の高いものを高い値段で』『金持ちは納得いくものならいくらでも出す』『労働者には相応の対価を与えよ』がモットーで顧客・労働者からの支持も熱い。商人たちからは急に現れた商売敵として見られていると同時に羨望の視線も寄せられている。


仕事が忙しいので悪事に手を染める余裕はない。忙しくしていたら少し痩せて、妻にかっこよくなったと言われたことでますますやる気が出る。




〇ギラン=オディール

【主人公の兄・公爵家令息・16歳~】


くすんだ金髪・青い瞳。地味な服装を好む。学園の成績もちょうど真ん中。剣術もダンスもそこそこ。名家の跡取りとしては地味で平凡すぎることに悩んでいた。だが年の離れた妹が奇行に走り、父がそれを元に商会を始めてからは自分一人くらい平凡でもいいのではないか。むしろこのくらいが釣り合いが取れているのではないかと思い始める。商会を手伝うようになってから、実は平凡なのではなく、何でもそこそこ出来る才能があることが判明。のちにドラゴン討伐も出来るようになるのだが、妹が非凡すぎて自分の才能に気付くことはない。妹のように突飛な発明や父のような高級志向の商品開発には向いていないが、平民に向けた大量生産品を考えるのは上手い。領民たちからは慕われている。



〇メルディ=オディール

【主人公母・公爵夫人・30代半ば】


美しい金髪と青い瞳。スタイルも良く、若い頃は社交界の妖精と呼ばれていた。儚い見た目とは正反対に強気な性格。そこに惚れたガザミの熱烈なアプローチによって結婚を決める。公爵令嬢らしくない娘に手を焼いているが、自分も幼い頃はじゃじゃ馬だったので、自分の血が濃く出た結果かと頭を抱えている。王子の婚約者なのでしっかりしてほしいものの、怪我をするようなことでなければあまり強くは言わないようにしている。その代わり、危険なことをしたら説教コースに入る。貴族の夫人たるもの夫を支えなければ・つつましくあろうと思っていたが、商会が大きくなってからは自分も参加したいという欲が出るように。何かを隠している・もしや浮気か!?と勘違いしたガザミに問い詰められ、思いを打ち明けたところ、我慢することはないと言われ、ジュエリーやドレスのデザイナーの仕事を始める。繊細なデザインは得意ではないが、妊婦でも動きやすい服や小粒の宝石を活かしたジュエリーなど様々な悩みを拾い上げたものを得意とするため、一部の御婦人から熱烈な支持を受けることとなる。




〇ポチ

【主人公の愛犬・山神】


人々に忘れ去られ、化け物のようになってしまった山の神様。見る者によって姿形を変え、無礼を働いた人間を恐怖に陥れる恐ろしき存在だったのだが、主人公の目には柴犬に見える。自分を恐れないどころか撫でまわし、家に来るかと誘ってくれた主人公を気に入り、山を離れる決意をした。以降、姿は主人公が認めた柴犬の姿で固定化し、オディール家の愛犬となる。念話の他にも様々な能力が使えるが、普通の犬として飼われる生活を気に入っているのでよほどのことでもなければ使う気がない。ギランお手製のご飯を気に入っている。



〇ラミア=シシィール

【オディール商会の従業員・乙女ゲームヒロイン・10歳~】


ピンク色の髪・緑色の瞳。身長は低く、庇護欲を誘う見た目だが、孤児院の子ども達をまとめるしっかり者の年長者。ガザミにスカウトされ、オディール商会で働くこととなった。あまりの好待遇に人売りかと疑ったが、想像以上にホワイトな環境で生き生きと働いている。彼女が使っているのは他の魔法使いと異なり、回復魔法ではなく癒やしの力なのだが、高く売れてリピーターも多い!ボーナス増えてラッキーくらいにしか考えていない。商会で働き始めてからも孤児院で暮らしており、ボーナスは孤児院の運営費として寄付している。乙女ゲームシナリオでは癒しの力の持ち主として、特待生枠で学園に入学するのだが現実では入学する気が皆無。

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