頭痛。
日曜日、私は緊張して少し睡眠不足かな。
勉強を教えてもらう方だからと、待ち合わせ時間よりもかなり早く図書館に着いたのに、乾君はすでに来ていた。
「おはよう、乾君、お待たせ。
いつも早いね。」
と言うと、
「早起きなんだ。」
「乾君のお家はここから近いの?」
「ここからはそんなに近くはないかな。」
「それなのに、どうしてこの図書館を知ってるの?
もしかして、この図書館は有名なの?」
「ハハハ、前にこの近くに住んでいたから知ってるだけだよ。」
「なんだ。そうだったんだ。」
乾君は前にこの辺に住んでたってこと?
乾君、乾君…。
ズキッ、痛っ。
どうしても何かを思い出そうとすると頭がズキッとしてしまう。
一体どうしたんだろう?
思い出したらダメなのかな?
あまり考えないようにしよう。
図書館に入って、静かに勉強を教えてもらっていた。
乾君の教え方は本当に丁寧でわかりやすく、解き方のヒントもくれる。
「わからないことがあったら、いつでも聞いて。」
と優しく言ってくれた。
その後二人でハムサンドを食べて、もう一度図書館に戻り席についた。
あれっ!?
この景色、どこかで見たような…。
一瞬、目の前に砂嵐のようなものが…。
今の何?
すぐおさまったけれど、気になった。
気を取り直して乾君の方を見て、話し掛けようとした時、急に頭が今までにない位ズキズキと痛み、耐えられない程の痛さ。
頭が…。
もうダメだ。
意識が遠のく時、前にどこかで見たことがあるような光景が…。
「笹崎さん、笹崎さん。」
って声で目が覚めた。
「あれっ?
私どうなってた?」
と聞くと、
「しばらく気を失ってたけど、大丈夫?」
「ごめんなさい。心配かけて。
もう大丈夫。」
さっきの頭痛もおさまり、何だったんだろう?
「疲れてるんじゃない?
もう帰って休んだ方がいいよ。」
と諭され、
これ以上心配をかけてはいけないと思い、帰ることにした。
もう少し乾君と一緒にいたかったのに…。