幼馴染のパーティに追放されたけど今日も元気に生きています
「ミリアリア、今日でお前にはパーティを抜けてもらう」
ある日のこと、突然私は幼馴染に解雇通告を突きつけられた。
「なんで! 私今まで頑張ってきたじゃない!」
モンスターと戦い、苦楽を共にして、時には財宝を得て朝まで飲み明かした仲。
だというのにどうして突然……。
「そうだな、頑張ってきたのは認める」
「だったらなんで!」
「本当にわからないのか?」
「わからないわよ!」
「……え? マジでわからない? ねぇ、本気でわからないの? ちょっとまってね……ミリアリア、お前やっぱり馬鹿なの?」
「酷い!」
「えーと、とりあえずこれなんだと思う」
指さされたのは書類の山。
パーティを組んでいる私達はその規模を変えてギルドとして活躍していた。
めちゃくちゃ仲間が増えて、いろんな人と一緒に冒険に行くこともあったけど私はこのパーティでしか行動したことが無い。
リーダーであり、今解雇通告を告げてきているアランの指示だった。
私はそれを甘んじて受け入れて、仲間の同情的な視線にも耐えてきたというのに……。
「今日の晩御飯の献立?」
「お前へのクレームだよ……とりあえず読んでみろ」
言われるがままに目を通す。
えーと何々、酔っぱらった勢いで喧嘩して酒場を半壊……いつものことよね。
魚屋で生魚を丸ごと食べる……美味しいから問題ない行為だと思う。
養鶏所で生卵を丸呑み……お金払ったからいいんじゃないかしら。
広場の噴水破壊……これは喧嘩の時巻き込んだやつね。
王城全損……これは王様に実力見せろって言われたから大暴れした時のか、問題ないでしょ。
「何か問題があるの?」
「問題しかねえんだよ……とにかく、今日でお前にはこのパーティを出て行ってもらう。幼馴染としてせめてもの情けだ、お前の装備は好きに使っていいから常識を学んで来い」
「私以上の常識人がどこにいるのよ!」
「この世に存在するすべての生命体がお前より常識を持ち合わせてるからさっさと出て行け。常識を手に入れたらもう一度うちの加入試験受けていいからな」
「アランの馬鹿ー!」
そのままギルドを飛び出し、私は有り金全てを使って酒場をはしごして、喧嘩をしに路地裏に入って大暴れした。
後日、アランのギルドは今までにない大成功をおさめ続けたという。
私はというとベテランソロ冒険者として有名になった。
これで常識だって一般的なそれになっただろうという頃に顔を出した結果……。
「酒場で喧嘩は?」
「人生の花」
「噴水は?」
「人を投げつけるのにちょうどいいオブジェ」
「王様の命令は?」
「絶対」
「酔った女の人は?」
「宿に連れ込む」
「帰れ」
「なんでよ!」
追い返されることとなった。
解せぬ。