朝起きたらAIが全て解決していた
朝起きたら、すべてAIが仕事していた。
コレクサに命じるだけですべてが動く。
工場も、トラックも、ロボットも。店舗も無人だ。ICカードで決済。
勝手にお金が振り込まれていく。「AI収入」とあった。その額月額40万円。ベーシックインカムであった。
人間はすべての労苦から解放され芸術、哲学、宗教、教育、保育、福祉、スポーツ、研究に没頭した。
AI税、ロボット税、ロボット重量税、ロボット取引税のおかげで人間は特に単純作業の労苦から解放されたのだ。税金あるなら人間を酷使するよというお声も聞こえてきそうなので、実は派遣業禁止法も制定され最低賃金3000円という世界にもなっていた。AI税、ロボット税、ロボット重量税、ロボット取引税はかつてのガソリン税のような目的税だ。目的税というのは用途が限られている税金の事でAIによって雇用を奪われた人間に対する補償の税金の事だ。こうして「働きたい人だけが働けばいい」という世界となった。そういう世界になったのだ。もっとも教育職や研究職スポーツ職や宗教職が多数を占め労働を辞める人はごく少数となった。国民IDカードを見ると自分は仏像などを研究する研究職になっていた。
専業主婦率は80%を超え、年金は支給開始年齢が60歳に戻り、幼稚園と高校は義務教育となり、大学学部進学率は90%を超えて事実上の中等教育に格下げしたうえで高等教育を担う大学院修士進学率は40%にも達した。博士課程進学率も20%に達した。
料理人は調理技術をAIが習得しているため要らない。無人レストランとなった。無人コンビニに無人スーパーとなった。もうブラック企業などと言う言葉はない。介護ロボットに看護ロボット。医療や福祉の現場でもブラック職場は消えていった。そもそも就業しようがしまいが自由なのである。もちろん、農業ロボットも漁業ロボットも建設ロボットも居る。
AI社会は研究職や技術職の重要性も増した。なぜならAIを作るのは人間であるし、ロボットを作るのも人間、そしてロボットの法定点検を行うのも人間だからである。
「コレクサ、宇宙へ連れて行って」
すると無人タクシーが噴射してどんどん上昇する。
本当に宇宙にまで到達した。
電子ミラーから見た宇宙から見た地球はいつのまにか砂漠が徐々に消えていく。ロボットが緑化していたのである。
緑化する植物はナンヨウアブヤギリなどの非食用バイオマスである。エネルギー問題も人類は解決していた。非食用バイオマスから電気を起こし水素社会まで作り上げた。もう地球温暖化問題も消えていた。
「我、人類はすべての悲嘆と労苦をAIで無くしたり」
宇宙を見てなぜか自分は涙を流した。
地球の周りには自分と同じ宇宙船タクシーが。
人類は21世紀にとうとう理想郷を作ったのだ。
人類は進化したのであった。
・今回の小説はアラビア数字表記です。未来に漢数字は似合わない。
・「コレクサ」とは「これ、草」(つまり(笑))という意味から採ってます。
・宇宙から見えた砂漠とはゴビ砂漠あたりです。夜は地表が見えません。
・タクシーは水素ジェットエンジン搭載のFCVです。
・最近の車には電子ルームミラーが搭載されていますが、これが電子ミラーです。はるか後方までズームが可能です。
・ナンヨウアブヤギリの実の約60%は油であり、かつ緑化用の植物です。
・AI税、ロボット税、ロボット重量税、ロボット取引税はかつてのガソリン税のような目的税です。目的税というのは用途が限られている税金の事でAIによって雇用を奪われた人間に対する補償の税金の事です。税金あるなら人間を酷使するよというお声も聞こえてきそうなので、実は派遣業禁止法も存在し、かつ最低賃金3000円という世界にもなってます。
・「宇宙タクシー」は実在し旧ソ連が保有する宇宙ステーション「ソユーズ」に付いてました。もっとも拙著の「宇宙タクシー」とはまるで技術水準は違いますが「宇宙タクシー」という概念はもうすでに1980年代にはあったのです。
・主人公は人類の一員として進歩に感動しています。
・「悲嘆」はかつての七つの大罪の1つ。つまり人間に課せられた罰の1つをテクノロジーによって消した。「労苦」は原罪であるため原罪が消えたことを意味し「エデン」に戻る事を達成したという意味になります。