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近接戦闘技術の講習を受講しました

食事を終え、レンたちにと渡された生肉や野菜を貰い厩舎へ戻る。しかし幻獣になった彼らに『空気中の魔素を取り込んでいるから数日食べなくても大丈夫なのー』と暗にいらないと言われ、ネロに食材の保管を依頼する。



そうして休んだ次の日、迎えに来たハインとともに、再びギルドへ足を運んだ。



「今日は何をするおつもりで?」



「まずは自分の実力を知ろうと思って」



依頼にも興味はあるが、どの依頼に関してもルイたちの力を借りることは避けられない。それもテイマーとしては当然なのかもしれないが、彼らを従える者として、最低限の自衛は出来なければ駄目だろう。



そう判断したカイトは、ギルドの受付にて初心者に対してのサポートはないかを尋ねに向かう。



「ええ、ございますよ。近接戦闘訓練、魔法訓練、薬草採取の基本など、目的に添ってギルドが定期的に高ランクの方々に教習をしていただけるよう取り計らっています」



昨日とは違う受付嬢が、にこやかに説明をしてくれる。



今日は丁度近接武器を用いた戦闘の講習だそうで、カイトは銀貨三枚を出して受講を希望した。



ちなみに、金銭が足りない場合は一時的にギルドが立て替え、受講後に受ける依頼から少しずつ受講料金分を差し引いていくため、金のない初心者でも充分に受けられるように考えてある。講習する高ランクの人間を長時間拘束、および技術の伝達を頼むのだから当然の計らいだとカイトも納得する。



ハインとともに案内されたギルド奥の訓練場にて、待ち構えていたのは五人の初心者と、二人の講師だろう高ランク冒険者だ。



「おぅ、お前が最後の受講者だな!」



「今日はよろしくお願いするよ」



快活に笑う上背の高い男と、少し線の細い穏やかな笑みを称えた青年が、カイトを歓迎する。新人であろう冒険者たちも、軽く頭を下げて挨拶してきた。



「まずは自己紹介からだな! オレはノイジだ。得物は斧。ランクはCだな」



「自分はマーヴィ。同じくCランクで、メインウェポンは剣だね」



簡潔な自己紹介に、新人たちも各々名前を告げていく。最後にカイトが名前を言うと、本題だとノイジがマーヴィに目配せをした。



「まぁ、まずは武器の扱いについてなんだが。オレは説明下手だからな。実際に模擬戦で見て貰った方が早ぇ。というわけで、そこのお前、その場で叫べばいいから合図をしてくれ」



ノイジはにっと笑って訓練場の中央まで歩いていく。それにマーヴィが頭を抑えて溜め息をつく。



「あの馬鹿…。ただ、戦いたいだけだろうが……。すまないね、言いたいことはいっぱいあるだろうけど、アレは一度やりたがったら終わるまで納得しないから……少しだけ、時間を貰うね」



マーヴィがのろのろと中央へ歩いていく。教える側に受講内容の采配は任されているとは言えそれでいいのかとも思ったが、口にはせずに二人を見送る。



やがて中央からそれぞれ東西に離れて立ち、指名された少年が開幕の合図を叫ぶと、二人はすぐさま地を蹴った。



開幕と同時、相手に急接近したのはノイジだ。鍛えた膂力で右手に構えた斧を下から上へと振り上げる。



その動きを捉えていたマーヴィがすぐさま反応。一歩後ろへ下がり仰け反ることで頭ふたつ分ほどの獲物の軌道から離れたあと、上空まで降り上がった斧の真下に身を滑り込ませ、右手に持った剣を横一文字に薙ぐ。



ノイジはすかさず左手の籠手で刃を防ぎ、そのまま右手の斧を振り下ろすも、マーヴィは一撃を入れると即時その場を離脱。ノイジの斧は土を抉るだけに終わる。



そのままノイジの利き手側へ身を躍らせたマーヴィに、ノイジは斧を追撃させ、マーヴィは背後から迫ってきた斧から逃れるためそのまま前方へ全力疾走。ノイジは背後に回ったマーヴィの方へ向き直りにやりと笑う。



「流石だな! 楽しくなってきたぜぇっ!」



「あくまで模擬戦であって実戦ではないーーーんだけれど、聞こえてないようだね」



戦いが白熱するとともに感情が昂り吠えたノイジに、マーヴィが冷静に指摘を入れるも、聞き入れる様子はないのを見て悟ったのかひとつ息をついた。



再び相対した二人は、今度は正面から衝突。己の膂力に任せて力で攻め落とそうとノイジが斧を振り回すのを、マーヴィが剣で受け流すようにしていなす。しかし三回に一回の頻度で受け流すのではなく受け止めるようにして防御をしており、その度にマーヴィは苦悶の声をあげつつも上手く重心をずらして斧の軌道を変えてあしらっている。



それをカイトの体感で十秒ほど行ってから、すぐさまマーヴィが後退、ノイジが追撃する。マーヴィが剣を持つ手を下ろしたのを視認して、ノイジが左から地面に平行に右へ軌道を描いた。



下ろした右手をそのままに、ノイジの斧より更に低く、身を沈ませたマーヴィを視認した瞬間ノイジは左足を土を抉るようにして振り上げる。訓練場の土や砂が宙へ舞い上がり、視覚を潰されるのを回避するため左手で目を庇ったマーヴィの腹に、ノイジの蹴りが突き刺さった。



「ぐっ、があっ!」



マーヴィの口から漏れた鈍い呻きに、その一撃が綺麗に入ったのをカイトは理解した。



重い一撃に宙へ浮き上がった身体を転がって受け身を取ることで衝撃を緩和させたマーヴィは、口の中に溢れた唾を吐き捨て、直ちに地を蹴りその場から離脱。駆け込んできたノイジの振り下ろした斧の攻撃から免れることに成功する。



即座にマーヴィは地に突き刺さった斧の柄を左足で踏みつけ、右足でノイジの手の甲を蹴り上げ中空へ身を躍らせると空いていた左手を無防備な顎に叩き込んだ。



「がふっ?!」



予想だにしない攻撃に顔が上空を向いたノイジを尻目に軽やかに着地したマーヴィはすぐさま剣を振り上げーーー



「はい、ここまで」



顎の下拳ひとつ分程度のところで寸止めし、マーヴィは笑う。ノイジも、自分の敗北を理解して手を下ろした。



「あー、負けちまった」



「負けちまった、じゃない。模擬戦だと自分で言ったろう。やりすぎだ」



「いいじゃねぇか。なかなかお前とやれねぇんだしよぉ……」



「それはお前が熱くなると勝敗が決まるまで止まらないからだ。付き合ってられないし、身が持たない。こちらのことも考えてくれ」



そんな話をしながら戻ってきた二人を、新人たちはキラキラと目を輝かせて見つめる。カイトも、彼らの実力を確認し、相応のベテランであることを理解して、当たりの講習だったと素直に喜んだ。



「さて、今の模擬戦を見てもらって分かるように、武器の扱いは人に応じて様々だ。自分の場合は防御より回避を重点的に磨いて一撃入れたら離脱するような感じでやっている」



「対してオレはパワー一辺倒だな。肉体を鍛えて自分の身体や装備で攻撃を受け止め、相手に一撃を食らわすんだ」



二人の講師は己の戦闘スタイルを簡潔に説明し、すぐさま視線を訓練場の一角へ向けた。



「では、前衛の戦い方について漠然とでもイメージができたところで、今度は武器を持って軽く自分たちと打ち合ってみよう」



そこに並べられていた武器は、刃を潰したものではあるが鉄剣や鉄槍など、実戦と同じ重量のつくりをした武器の数々だ。



ハインのそばにいるようについてきたネロとレンに言い含め、そちらへ歩み寄る。



初めて握る武器の感触に、喉が鳴る。持ってみて感じる鉄の重さに、思わず手を放した。



「大丈夫かい? どれでもいいから選べばいいよ」



「は、はい」



マーヴィの声に応じつつも、どれが自分に合っているか分からない。とりあえずあまり重いものは振り回される気がしたので、取り回しの良いものを選ぼうと、カイトは短剣を手に取った。



「では、順番にやろう」



マーヴィの声を皮切りに、新人たちとベテランの打ち合いが始まった。

とりあえず書きたいことを書きたい。という思いの元、戦闘シーンを入れたった。



久々の描写だけど、わりと楽しく書けた。戦闘の熱量とか緊迫感とか上手く表現できないのが悲しいですけど。



マーヴィとノイジはこの回を書きたいがために生み出したキャラです。技巧派の剣士と戦闘狂の斧使いのタッグで、脳筋のお馬鹿に付き合いつつな苦労性なお人な設定。つまりマーヴィは不憫枠(おい



意外といい味だすキャラに仕上がったので、今後もちょくちょくだしていけたらいいな。



今回もご来訪頂きありがとうございましたー!

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