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新たな「かわいい」が飛び込んできました

夜が明けて翌朝。ルイたちがカイトが目覚めたのを察してもそもそと傍から離れる。遅れてカイトも起き上がり、ゆっくりと体を伸ばしてこわばった体を解していく。



朝食を厨房から受け取って部屋で摂り、ルイたちの世話をしながら今日は貰った猶予の最終日だとふと思って重い溜息をついた。しかしそれでも何とか結論を出さなければと己を叱咤し、カイトは腰を上げる。



「一昨日も昨日も基本的には何もしていないからね。今日は町の人の雑用依頼でもしつつ町を見て回ろうか」



『わかったのー』



『頑張るキュー』



『任せるピィ』



『了解なのにゃー!』



ギルドの仕事がてら、街の状況を見て回って最終結論を出そう。



そう思って今日やる仕事を提案しながら、ギルドまでの道のりを四匹と共に歩いた。








「ありがとうございました」



ギルドで受けた依頼はメウターレ内で済ませる簡単な雑用依頼だった。ネロの力を借りて腰を痛めた年配の夫婦の食糧を買いに行ったり、前世で培った家事スキルと、ルイたちの魔法の力で清掃をした。夫婦も安静にすることができ、彼らの息子夫婦も仕事に専念できたと依頼料を弾んでくれた。



その依頼料をギルドで受け取り、さて後は何をしようかと歩いていると、ふとルイとレンが何かに気づいたように顔を上げた。



「どうしたんだ?」



『誰かがないてるのー』



『すごく近いキュー』



「………なんかあったのかな?」




首をかしげたカイトが、音を聞き取っていた二匹が見つめている路地に足を踏み入れ少し歩く。それから二匹が身構えるのに遅れて、アルとネロも魔法を起動させはじめた。



『今からそこの細道から飛び出してくるの』



『カイにぃ、しゃがんで受け止めるキュー!』



「何を?!」



訳も分からぬまま武器をネロから貰おうとするのを中止し屈んで両手を前方へ差し出した。



ルイたちが警戒する左手側にある細道を注視する間もなく、小さな影がそこから飛び出してきた。目を瞠るカイトの腕の中にそれが転がり込んでくる。



しかしその衝撃を殺しきれず、カイトの身が後ろへ倒れたのを、ネロが起動した影で受け止める。



「ありがと、ネロ」



軽く尻尾を振って応えるネロは細道から目を離さないが、その理由は簡単に知れた。



「おい、そこの坊主! それそのまま寄越せ!」



「は?」



飛び出してきた男の一人に指を指されて怪訝な顔のまま下を向けば、つぶらな瞳と視線が交わった。



金色。目映いばかりの鮮やかなもこもこはとてつもなく肌触りが良さそうなのに、追いかけっこの末かところどころ泥で汚れていて可哀想なことになっている。



未だ己を苛む恐怖が身近であることを理解しているのか、潤むような眼差し。まだ幼いのか小さな体は震えている。



助けてと全身で訴えかけられ、無視を出来るほど、カイトは非情な人間ではない。



だが、それ以上にーーー



「こんな可愛い羊を追いかけ回して怯えさせる奴に渡すと思うのかあほんだらあああぁぁぁっ!」



ーーー幼気な動物を苛めるやつなど問答無用で有罪(ギルティ)だと、カイトのなかの動物好きの精神が騒いだのは間違いない。



「うるせぇ! 若造が偉そうな口きいてんじゃねぇ! とっとと寄越せ!」



「誰がお前らなんかに!」



「てめぇの意見なんざ求めてねぇんだよ! ひょろひょろの糞野郎が! 渡さねぇならそのまま死ねよゴミが!」



男たちの暴言に苛立ちが沸き起こったが、小さな体がさらに縮こまるのを腕で感じてカイトは叫ぶ。



「言いたいことは諸々あるが! とりあえずお前らいっぺんこの子を怖がらせたこと反省させる!」



『了解なのー!』



カイトの宣誓に、いち早く応えたのはルイだ。捕捉した敵の足を凍りつかせ、機動力を奪う。



『次はアルの番ピィ!』



敵の持っていた武器を風魔法で叩いて取り落とさせ、すぐさま火魔法で燃やし尽くす。



『ラストはネロがやるにゃー!』



起動していた影を縄のように怪しい人物たちに巻き付け縛り上げ、器用に身体を折り曲げさせて固定する。



「? ネロ、縛り上げるだけでいいんだよ?」



カイトが首をかしげると、ネロは振り返って尻尾を揺らす。



『それじゃあダメなのにゃー』



「何が?」



尋ねたカイトに、ルイたちが鳴いた。



『カイはゴミじゃないの』



『さっきの発言後悔させるピィ』



『あるじとは別の、ネロたちからの罰にゃー』



『防音結界、おっけーキュー』



レンのゴーサインを受けて、ネロが起動した影をしならせ、不審者たちの無防備な身体に振り下ろしーーー



『お仕置き、お尻ペンペン百回なのにゃー!』



「っぎゃあああああぁぁぁっ!」



ーーー無慈悲な宣誓とともに執行された刑に、野太い悲鳴が飛び交った。

はい、皆様お久しぶりです。由月です。


仕事仕事仕事に明け暮れ、気がつけば一月。こんなに更新してなかったのかと思いつつ、やっとの更新です。正直こんなに大変になると思ってなかった。でも複数の委員会の仕事を人手いないからって人員補充もされずにひとりですることになるとさすがになぁ…(´_`。)゛



そろそろブクマとアクセス数感謝の文も完成させなきゃ…。ネタはあるのに文章化できない己の無力さが憎い。



さて、新たなもふもふやってきましたね。情報開示は次回に持ち越しとなりましたが、可愛いもふもふを読者の皆様に愛でて頂けるよう精一杯頑張ります。



それでは皆様、久々ですのにご来訪およびご閲覧ありがとうございます(*´▽`*)



次回もよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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