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予想外にも実演をすることになりました

連続投稿二話目。


まだ未読のかたはご確認ください。

「使い方といっても、俺、知識があるだけで実際に使ったことはないんですけど」



「それでも俺よりその武器について詳しいだろう。御託はいいからやってみろ」



なんと言う無茶振り。口には出さないが渋面を作ったカイトを、店主が急かす。



「ほら、さっさとやれ」



これはやるまで解放して貰えそうにないと諦め、カイトは内側に指を引っ掛け、外側の刃に触れないよう気をつけつつ腕を振るった。



短剣とは違い、前世でやっていた遊びの延長の動作ゆえ、変に力まず、するりと幼い頃に繰り返していた動きは簡単に身体を動かした。



弧を描いて宙を飛ぶチャクラムが、山なりの軌道を描く。それが武器屋の敷地を越えていきそうになったので、ヤバいと思った矢先、チャクラムが放たれたと同時に走り出した白い獣が高く跳び上がった。



『キャッチー、なのー!』



軽々と宙返りをしながらチャクラムを口で捕らえたルイが、しゅたっと着地した途端カイトに走り寄ってくる。



『カイー、もう一度なのー!』



「え、ええぇぇぇ……」



尻尾をぶんぶん高速で振りながら、もう一回とおねだりするルイは可愛いが、これはどうすべきなのか。大体これ、玩具じゃなくて武器なのに。



困ったように視線を向けた先で、やれ、と頷く店主とめそめそと地面に円を描いて悄気る青年がいる。



「……お、俺の……俺の発明が、おも、玩具に……」



「へんてこな道具に使い道があっただけ喜べ、馬鹿弟子」



そんなやりとりをしつつ、くいっと顎で続きを促してくる店主に、いいのだろうかと思いつつ、ルイにねだられるままチャクラムを投擲した。



段々と身体が慣れてきて、ルイがいなくなってから思い出として飾られたあの青いプラスチック製の品を使っていた頃に戻ったような感覚で、カイトは請われるまま投げ続けた。幻獣化して体力も大幅にアップしたルイに付き合うのは大変だったが、常に留守番をさせてしまう彼に何かしらしてあげたいと思っていたし、疲労を見せればレンが駆け寄ってきて回復してくれるものだから、調子に乗ってしまった。ルイ自身も、あの頃に使っていた素材とはまるで違う金属製のものなのに、強靭な肉体で怪我ひとつ負うことなく楽しげに駆け回っている。



利き手の右だけではなく、左でも投げたり、転がしたり、思い付く限り投げ方を試していると、ルイも満足したらしい。ようやく解放された頃には、陽も大分落ちてきていた。



振り返れば、そこにはレンやアル、ネロの他、ハインしかいない。目を瞬かせたカイトに、ハインは苦笑しながらある方向を指差した。



かーん、かーん、と甲高い音が鳴っている。武器屋に併設されている工房の中へ入ると、店主が炉の前で槌を振るい、懸命に何かを作っていた。



「………おぉ、ようやくそいつ、満足したか」



「え、えぇ。長らく使ってしまってすいません」



「別に構わねえよ。武器を試し切りするやつなんざ今日はいなかったしな」



そう言って槌を下ろした店主が、今まで作っていたそれを袋に詰め、カイトに突き出した。



「こ、これって……」



「お前、この武器初めて使うって言った割に扱い慣れてるように見えたからな。投げるなら数が必要だと思って用意してやった」



そこにはフリスビーに見立てて遊んでいたチャクラムが十枚、綺麗に揃えて入れられていた。



「それとこれだ」



袋のなかに詰め込まれたものより、一回りほど大きいチャクラムをふたつ渡される。袋のものとは異なり、円形の形の中に持ち手になるところが作られ、布を巻き付け滑らないよう固定されている。



「持ち手を作ったら格闘武器としてでも使えるって聞いたからな。試しに作ってみた。使ってくれ」



「あ、ありがとうございます……」



いいのだろうか。ただルイと遊んだだけなのに。



「なに、俺は地精種(ドワーフ)だ。未知の武器を知れば、作らずにはいられねぇ主義だ。どうせお前くらいしか扱い方は知らねえんだ。有り難くとっとけ」



「は、はい。いくらですか?」



言われた額を支払い、カイトは武器屋を出る。陽ももう落ちかけていて、今日討伐に出るのは無理そうだ。



「ハインさん、今日は宿に戻ります。また明日ーーー」



「ーーーカイトさん、今から少し、お付き合い頂けませんか」



いつもの穏やかな口調が真剣味を帯びて、カイトに向けられる。



「お話したいことがあります」

というわけで、カイトが武器を手に入れました。



いや、作品の骨組み作るとき悩んだんですよ。普通に剣にしようかなぁって。でも、ちょっと王道外れた武器を扱う描写をね、いっぱい書きたくて。



何にしようかとネットで調べ続けて、つい見かけたフリスビーのトリックショット動画を見て、使えると思ってしまったら後は見ての通りです。フリスビードッグ、なんて言葉も知っていたので、ルイには思う存分暴れて貰った。そしてチャクラムをフリスビーだと勘違いするルイを書きたいがために選んだ。後悔はするかもだろうけど、今のところ達成感しかない。



チャクラムと同じリング型のフリスビーもあることだしね! もうこれイケるでしょう! となりました。まぁ、フリスビーではなくフライングディスクが正式名称らしいけど、私は幼い頃フリスビーだと教わったからその辺は触れない。



普段はレンとネロの描写が多いので、ルイをいっぱい出せて満足。後はこの武器をいかに巧みに操らせていくかです。コ◯ットやアク◯ルなどのゲームでチャクラムを扱ってるキャラの戦闘グラフィックでも見ながら頑張ります。



それでは皆様、読んで頂きありがとうございました。

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