表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/42

【ブクマ100件突破! お礼SS】幻獣たちの日常

メウターレから出て、ルイが背にカイトを乗せて体感で三十分ほど。草香る緑の海にひとつ、冒険者が目印にしている大岩がひとつある。今日は冒険者稼業を休み、ルイたちと遊ぶために草原で遊んでいたカイトは、少し休憩をとろうと岩に背を預けているうち、心地よい風と柔らかな陽射しに眠気を誘われて、いつの間にか寝入ってしまった。



『……カイにぃ、寝ちゃったキュー……』



レンが岩に背を預けて眠ってしまったカイトに気付いて項垂れた。久々にカイトと遊べると思っていたが、やはり慣れない異世界生活に何かと気を張っていたのだろう。彼が、心許した幻獣たちだけとの時間になってすぐに寝入ってしまったことに残念だと思いつつ、仕方がないとも思っていた。



『どうするピィ?』



『起きるまで待つしかないのー』



疲れている彼を、無理に起こしてまで遊んでもらう気はない。彼を休ませつつ、何をしようかと彼らは首を傾げた。



『起きるまで何するにゃー?』



『魔物狩りでもするピィ? 手加減の練習にもカイト兄のギルド貢献にもなるピィ』



『傍から離れるのは危険なのー。連想ゲームでもしよーなのー』



『おぉぅ、なのにゃ。見事に両極端な意見が出たにゃー』



争乱を招きそうなアルの案と、平和的なルイの案。レンと目を合わせるとふるふると首を振り、意見がないことを示されたので、どうしようかとネロは尻尾を揺らしながら考える。



『確かにネロの収納にはまだ余裕があるにゃー。だからアルの意見でも問題ないけどにゃー…』



ネロはたしたしと地面を尻尾で叩きつつ、考える。



『あるじの傍を離れる時間が長くなると、レンの負担が大きくなるにゃ』



何せレンは回復と補助は出来るが攻撃手段を持たない。アルとルイが狩ってきた獲物を運んで来れればいいが、そのためには巨大化する必要がある。しかし争いを好まないカイトが二匹の正体を隠しているので、それをするのは不可能だ。アルの提案を採用するなら、空間魔法を持つネロが二匹についていって狩った魔物を収納するしかない。



『レンはそれでも良いキュー。結界さえ張っておけば、カイにぃの安全は確保できるキュー。レンはカイにぃと一緒に昼寝でもしてるキュー』



レンがそう言ったので、ネロは思わずむっとした。それなら自分だって混ざりたい。



『レン、一応魔物が出るところにゃ。油断大敵なのにゃー』



とりあえずそう言って、レンを嗜める。まぁ、それを言うならカイトにも注意すべきなのだろうが。ネロたち四匹を信用しているのだと思えば、嬉しさの方が勝って怒りは湧いてこない。



『とにもかくにもにゃ。あるじの迷惑にならない範囲で、あるじが起きるの待つにゃ』



『なら、やっぱり連想ゲームにしよーなのー』



『……了解ピィ。カイト兄に迷惑をかけるのはしたくないピィ』



再度出された案に、アルが同意の反応を示す。案が固まったことでネロたちはカイトの傍でまとまる。



『ネロから右回りに始めるにゃー、最初は、“あるじ”から始めにゃー!』



ネロの宣誓と同時に、ゲームは始まる。



『次はルイなのー。カイといえば、“優しい”なのー』



二番手のルイがネロから引き継いで、次の言葉を放つ。



『………次はアルだピィ。うーん………優しいといえば、“そよ風”だピィ』



三番手。優しいと言われて暫く悩み、丁度吹いた風に閃く。



『最後はレンだキュー。そよ風と言えば、“透明”キュー』



最後、レンがアルから引き継ぎ、言葉を繋いでいく。



『ガラスにゃー』



『割れるのー』



『鏡ピィ』



『………曇る、キュー!』



雲、浮かぶ、気球………繋がっていく言葉はなかなか途切れない。



『冷たいにゃー』



『………氷……いや、雪なのー!』



『白いピィ』



『豆腐キュー』



「ーーーやわらかい、かなぁ? 連想ゲーム、やってるの?」



突如聞こえた声に、四匹が振り返る。



『カイー、お目覚めなのー』



『よく眠れたキュー?』



「うん、大分スッキリした。けど、ごめん、遊ぼうって言ったのに」



ふわぁ、と欠伸をしながらぐっと身体を伸ばすカイトが、寝ぼけ眼で言う。



『疲れてたんだピィ。気にしないでいいピィ』



『また次の機会にたくさん遊んでにゃー』



「ありがとう、みんな。そうさせてもらうよ」



にこりと笑って、カイトは立ち上がる。



「もう陽も高いし、街に戻ろうか。何か買って、みんなで食べよう」



『カイの作ったごはんなら食べたいのー』



『楽しみキュー』



『何作るピィ?』



『荷物持ちは任せるにゃー!』



鼻唄でも歌い出しそうな雰囲気になった面々に、いつの間にか作ることになっていることに気付き、苦笑しながらカイトは街へ向かうためルイの背に乗る。



そうして、彼らは明日からまた大好きな主人とともに、楽しく生活していくのだーーー…。

皆様のご愛顧と応援で、ついにブクマが100件突破!

小さなことにも喜びと感謝の思いは返したい。そんな思いでいっぱいなのです<(`^´)>



というわけで、皆様の応援に感謝を込めて、作品を作らせて頂きました! 今日はカイトと関われないときの幻獣たちの日常をちょろっと。80件越えたあたりから頑張って作ってた(*´∇`)



何が良いんだろ、とは思いましたが、やっぱり幻獣たちの可愛いお話がウケるかなと思ったので、こんな感じに。楽しんで頂けたら幸いです。



それでは、引き続き本編もよろしくお願いいたします。



皆様、ご来訪とご閲覧、ありがとうございましたo(*⌒―⌒*)o



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ