塩漬け依頼の内容を確認して回りました
本日三度目更新。
こんなにすらすら書けるの久々だなぁ。
街に住むパン屋で働く女性、商店の雑用をこなす青年、道具屋の老爺、とある屋敷でメイドをしている少女ーーー…。
指定された場所をハインの案内で回り、手紙や物資を受け取り、どこの誰に届けるのかを忘れないように購入した羊皮紙に書き留めていく。特に物資を贈るような人は手紙を書けないひともいるので、物資とともに言伝ても預かるものだから間違えないようチェックするのを忘れない。
「こうして見ると、街で手に入れた布なんかの雑貨や日持ちする食糧ばかりですね」
「村によってはメウターレが近隣とは言え一日歩かないと着かないような場所もありますからね。送る側も考えているのでしょう」
ハインと会話を交わしつつ、カイトはひとつの店の前に立つ。
「で、これが最後の薬草採取依頼の店ですね」
依頼書には来てから説明するとだけあるが、いったい何を探してくれば良いのか。
店の扉を開けると、そこには白けた髪を後ろで団子にしてまとめた老婆が、「いらっしゃい」と声をかけてきた。
「こんにちは。ギルドに出された依頼書を確認して来たのですが」
「………あぁ、その件かい。もう諦めていたが……」
そう小さな声で応じた老婆が、「こっちへおいで」と手招く。幻獣たちの姿を見て「ものに触らないならいれてもいいよ」と言ってくれたので、有り難く四匹を連れてカウンターへ寄ったカイトに、老婆は本を開いてある一ページを指差した。
「採ってきて欲しいのは、こいつだよ」
「救盲根………?」
「なっ、それは……!」
あまり依頼に口を出さないハインが声を上げたので、本から視線を引き離し思わずそちらを見た。彼は大きく目を見開いて、思わずと言った口調で言葉を口にする。
「存在するかも疑わしい幻の植物ではないですか……!」
「………ふん、知ってるくちかい」
唇をへの字に結んで、老婆がぷいと横を向く。
「そんなこと知ってるさ。だが、本当にないとは限らんだろう。依頼を出して請けるかどうかを判断して貰うだけならタダじゃないか」
「つまり、話を聞いた上で断ってもいいんですね?」
確認するように尋ねるハインに、老婆は拗ねたように答えを返す。
「こっちも無謀な願いを言っていることは理解してるからね。ギルドに何を探しているかを言わないことを条件に、依頼を受けた奴らには評価が下がらないよう取り計らってるさ。これでも、長いことギルドに貢献してきたからね」
「それなら、良いのですが……」
引き下がったハインに、早くも雲行きが怪しい気配を感じつつ、まあ話だけならとカイトは口を開いた。
「それで、リベレ・シェゴプリガとは、どんな植物なのでしょう?」
「簡単に言えば、目を怪我や病で患ったのを治す薬の素材さね」
そんな魔法みたいな植物があるのか。前世にあれば研究の対象になりそうだ。
「姿形も伝説みたいなものだからね。誰も知りやしないが、本には根っこに繋がる茎が緑の葉っぱから徐々に赤に変化しているとだけ書かれている」
本の一文と同じ文言を唱えながら、老婆はカイトを見つめた。
「あんたも奇特な子だね。こんな依頼、捨て置けば良かったろうに」
ーーー別に進んで引き受けたわけではないんだけど。というか、こんな達成できるかも怪しい依頼をリライノさん俺に押し付けて来たのか。
あの人本当に仕事出来るのかと疑問に感じ、しかしそもそも薬草採取としか書かれていない依頼書で推測しろというのも無理な話かと考え直す。
そして改めて依頼内容を咀嚼し、疑問に感じたことを尋ねた。
「そもそも、おばあさんは誰にこの薬を使おうとしているんです?」
「ーーーーーー娘の、忘れ形見さね」
その言葉と同時に店の奥へと視線を滑らせた老婆が、ぽつぽつと事情を語り始めた。
「一年ほど前、娘夫婦がわたしの顔を見に、まだ七つの小さな一人娘を連れて訪ねてきた」
老婆も久しぶりの娘夫婦との再会を喜び、三日だけの帰省を存分に堪能しようと店まで閉めての歓迎ぶりだった。
「ただの買い出しだったはずなんだがね。足の悪いわたしの代わりに、出掛けた三人の笑顔が最後さ」
マナーの悪いとある貴族が、本来馬車で通るべきではない道を爆走し、娘夫婦は巻き込まれた。
「娘だけでも守ろうとしたんだろうね。両親揃って小さな子どもを抱き抱えて、事切れていたそうだ」
しかし、残された孫娘にも、癒えない大きな傷が残った。
跳ねた石の礫が入ったのか。打ち所が悪かったのか。今でもよく分からない。
「次に目を開けたときには、孫は……! 何も見えない、おばあちゃん何処にいるのと……っ」
言葉を詰まらせた老婆が、苦しげに呻く。
「老い先短い命、残されたあの子がどうやって生きながらえられるのか。毎日それだけが気掛かりで……っ」
吐露する感情が、言葉が、痛いほど胸に刺さる。険しい面持ちでハインも黙り込んで、静かに俯いていた。
「腐っても薬屋だ。目の治療の出来るものはないかと文献を読み漁ったさ。あの子がまた普通に出歩けるように、ひとりで生きていけるように」
そうして辿り着いた答えが、リベレ・シェゴプリガ。
「無駄だって、無謀だって言われても諦めがつかないのさ! いつおっちんでもおかしくない命だ、こんな古い文献にすがるしか、冒険者に話を聞いて貰うしか! できないじゃないかっ!」
溢れた涙が、うつむいた拍子に零れ落ちる。
「せめて、幻と言われる! 万病も怪我も癒せるというカーバンクルや、再生の力を持つフェニックスの力がわたしにあればーーーっ!」
ーーーーーーん?
「おばあさん、おばあさん?」
突如聞こえた覚えのある名称に、カイトは口を挟んだ。
「目の怪我って、カーバンクルやフェニックスなら癒せるんです?」
「………いったい何だい、藪から棒に」
語っていたのに水を刺され、ふと激情の波から帰って来た老婆は、突然の質問に困惑した。
「いいから、答えて」
「………治せるんじゃあ、ないかい? 文献にも、そういった記述は散見してるが」
応じた老婆に、ちょっと待っててくださいね、と言い置いて、カイトは薬屋から四匹を連れて出てしゃがみこみ、可愛い二匹に向き直った。
「ねぇ、レン。アル。結論から聞く。お孫さんの目って、治せる?」
極力ひそめた声で尋ねると、二匹は顔を見合せてからさらりと応じた。
『状態次第で出来ると思うキュー』
『勿論、二人の力を合わせる必要があるっピィ』
明確な答えに、カイトは立ち上がった。
四匹を連れ、老婆のもとまで戻って。
「紹介します」
カウンターの上に二匹を乗せ、レンの頭に巻かれた包帯を巻き取り、厳かに切り出した。
「カーバンクルのレンと、ファイアーバード改め、フェニックスのアルです」
あんぐりと口を開けてこちらを見る老婆と、新事実に言葉を失いこちらを凝視するハインの視線に、カイトは乾いた笑いで誤魔化すように目を反らした。
本日三度目の更新。前回前書きに二度目の更新だのなんだのと書き忘れたけどもういいや。←投げやり
盲目に効く薬かー。あったら大発見ものですよね。書いてても「そんなチート植物あるもんかい」とは思ったけど、まぁ小説だし。
にしても、前回今回と嘆きから一転するこの展開。あれ、パターン化してる? と思いつつ、まぁ既に4日続けて更新して変なテンションで書いてるしー、とやや思考放棄しかけてたり。あはは、行き当たりばったりな話を書くとこんなことあるよねー! ←現実逃避
というかもふもふ出来てない。いい加減もふもふ回を作らねば! タグにも書いてあるはずなのに、これじゃあもふもふタグの意味がないではないか!
しかし、どんなもふもふ回がいいかなぁ? もう思い付くままに書いてるからなー、どうしようかなー?
まぁ、いつも通り書けばいっかー!
それでは皆様、御来訪&御閲覧ありがとうございますo(*⌒―⌒*)o
また次回もよろしくです(*´・ω・`)ノ