カルタについて
異世界作品に多く見られる作中ゲームを考えてみた。主人公が考案して周りが「なんて画期的なんだ!」っていうやつ。
個人的な感想では、カルタはよく見られるように思う。
「庶民は読み書きできないし適切じゃねえんじゃねえの?」
もちろんそうとも言える。ただ、カルタは文字を覚えるためのゲームでもあるので、教育のためにも使える。登場最初にしたのは誰なんだろう。「本好き下克上」とかかな?
ルールについては今更説明するまでもないだろうから割愛する。
「は!? カルタ知らねんだけど!」
んなわけねえだろ。
現在では競技かるたという小倉百人一首を使ったカルタがあるが、異世界作品に合うのはいろはカルタの方だと思う。
いろは唄の四十七音に対応したもので、文字を覚えるのに最適だ。
カルタの起源となる貝覆いという遊びは平安時代からあったらしい。平安は八世紀から十二世紀までなので、中世にはすでにあった。
これが十六世紀の終わり頃にヨーロッパのカードゲーム文化と合わさって現在の形となったので、中世にはギリギリあるかないかといったところ。このときには既にいろはカルタとして私たちが想像する形になっていたらしい。
ただ、日本で作られたため、ヨーロッパにはなかったと思われる。
いろはカルタは覚えやすさのためにことわざが用いられるものだが、このことわざは地方によって違う。
たとえば「い」の札は、江戸カルタでは「犬も歩けば棒に当たる」だが、上方かるたでは「一寸先は闇」、尾張カルタでは「一を聞いて十を知る」となっている。
さらに、それぞれに地方で親しまれる郷土かるたと呼ばれるものもある。群馬県の上毛かるたが代表的。
「聞いた事ねえよ? ホントに代表的なの?」
県民は全員言えるくらい代表的。
主人公が文化を広めた後にいろんな地方で特徴的に変化していった、みたいな描写があれば、世界観に広がりを持たせられるかもしれない。
ちなみに競技かるたといろはカルタでは根本的なルールが違うため、カルタが大流行して競技かるたになったわ、ってやるなら気をつけなくてはならない。
「隣の札を触ったからお手つきだ!」
とか
「百枚差で勝った!」
とか言うとこれ競技かるたちゃうわ、ってなる。
別に異世界独自の発展という事なら構わないが、カルタ警察に怒られるときの覚悟はしておいたほうがいい。
そんな時のために小倉百人一首を使った競技かるたのルールも簡単に説明してみようと思う。
「カルタに覚えがあるの!?」
やった事ないです。
まず、競技者の前に広げられている札は合計で五十枚だけ。自分と相手で二十五枚ずつ持ち、残りは空札といって場には出てこない。空札はランダムに決まる。
しかし読まれる札は百枚から選ばれるため、空札が読まれた時は札を払ってはいけない。つまりフェイント用の札というわけだ。
自分に配られた二十五枚の札は、決められた範囲内に自分の好きな並べ方で置いていい。最終的にこの札を全部取ったほうが勝ちという事になる。
「相手の札が読まれたらどうなるんだよ? 相手の札とっても自分の札は減らないじゃん」
相手の札を取った場合は、自分の札から一枚相手の札に渡す事になっている。だから相手の札全部とっても勝てる。
んで、読まれた札の隣を触ってもお手つきにならない。NHKで放送してるの見ればわかるけど、札めっちゃ吹っ飛ばしてるからね。隣触っちゃいけないなら、あれお手つきになっちゃう。
お手つきっていうのは、自分の札が読まれたのに相手の札に触っちゃった場合のルール。もちろん相手が読まれて自分のに触っても同じ。
お手つきをすると相手の札が自分に送られてくる事になる。自分の札が一方的に増えるわけだから、相手に一枚とられるより辛い。
ただ、このルールのお陰で読まれた札のほうの陣地なら好きなだけ触り放題。極論全部弾き飛ばしてもいい。そんなに手が大きい人いないけど。
そんな感じだから、どれだけ圧勝しても五十枚差にしかならない。相手が25回連続でお手つきしたらそうなる。
他にも細かいルールがあるので、本格的なものが描きたいなら調べたほうがいい。ここでは競技線についても渡り手や囲い手についても決まり字についても説明しない。長くなるしね。
競技かるたを詳しく知りたいなら、「ちはやふる」という漫画がある。アニメ化もされているので、そちらから目を通してもいい。クッソ面白いから見るんだ。
紙を使った遊びが庶民に広まるわけがないというのなら、前の話でも言ったように木札を使えばいい。木製品は非常に便利なので、何かアイデアを出してもっと活用させていきたいものだ。
拙作「ギャンブラー少女は魔法学校に入学しましたが結局ギャンブルしています。」には、カルタではないけど木札を使ったゲームが登場する。描写の参考になるかはわからないが私の励みになるから読むんだ。