ギャンブルについて
じゃあ次はギャンブルの歴史について。
ポーカーを異世界に登場させるのなら、年代を気にしなくてはならないかもしれない。
ポーカーの起源をたどると、ドイツのポッヘンというゲームに行き着くという説がある。このポッヘンは1441年の文献にその名前が出る非常に古いゲームで、西洋のトランプゲームの中では最古のもののうちの一つ。
中世が五世紀から十五世紀までの間なので、ギリギリ存在しても不思議ではない。ただ、ポッヘンからポーカーに至るまでの変異があるので、多分中世にポーカーはなかった。
「うるせえ! ここは異世界なんだよ!」
別にそれでもいいと思う。私はそうしている。
私の小説には、ブラックジャックやバカラも存在する事になっている。
ブラックジャックは十八世紀のフランスで誕生した。
バカラは十五世紀のイタリアに起源をもつといわれているが、現在のルールに確立したのが十九世紀。
どちらも中世には絶対ない。
ちなみにレッドドックというゲームもあるが、なんかちょっと調べただけでは起源が分からなかった。
「じゃあ中世のカジノは何してたんだよ。コイントスでもしてたのか?」
それについてだけれども、そもそも中世にはカジノがなかったと思われる。
カジノの起源は十七世紀頃のヨーロッパにあると思われる。世界最古の賭博施設と言われているのはイタリアにあったカジノ・ディ・ヴェネツィア。
十八世紀のフランス革命で王政が倒される事によって、カジノの前身となる賭博施設が広まった。
意外な事かもしれないが、一般向けの賭場も存在した。
ちなみに、現存する中で最も古いカジノはイギリスのクロックフォード。十九世紀に創業した会員制の上流階級カジノクラブ。
そんな感じで、中世世界を想定した作品に登場させるのなら、ギャンブルはいまいち扱いづらいものと思われる。私は無視するけど。
指輪物語ですらジャガイモ警察の目の敵にされたりしたと聞いたし、作者が知ったこっちゃねえよというのならそれで構わないと思う。
「よっしゃ、じゃあカジノ出すわ! どんな風に描けばいい?」
個人的な解釈になるが、カジノの描写難度は低いと思われる。日本人はカジノに馴染みがないし、中世のものとなれば現代とは全然違う雰囲気だったと思われるからだ。
それでもリアリテイを持たせるのなら、多少アイデアがある。真似してもいいよ。
貧富の差を表すため、大衆賭場と上流賭場の描写に差をつける。
例えば、小汚いならず者が出入りする大衆賭場に、身なりの綺麗なディーラーがいるのは不自然。きっとディーラーだって小汚いはずだから。
会員制の上流賭場で、客の態度が悪すぎるのは不自然。そんな奴会員になれるわけがないから。
大衆賭場に消耗品であるトランプを使ったゲームがあるのは不自然。トランプは傷ついてしまうとギャンブルには使えなくなってしまうためである。
上流賭場で一種類のゲームに一つしかテーブルが用意されていないのは不自然。人気のゲームはたくさん置いてあるはずだ。
いかにも金をかけられていない大衆賭場にたくさんのゲームが置いてあるのは不自然。多くのゲームがあるという事は、それだけ元手が必要だからだ。
「よっしゃ完璧! カジノ描写はもう任せろ!」
任せた。正直任せてしまいたい。
オリジナルゲームを考えるのは正直めっちゃたるいので、既存ゲームを使ったほうがいい。私はそうした。
拙作「ギャンブラー少女は魔法学校に入学しましたが結局ギャンブルしています。」には、カジノで勝負する描写が存在する。ていうか第一章がすでにそう。
参考になるかはわからないけれど、結構頑張って書いたから読むんだ。