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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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93.夜の町を飛ぶ

 夜の町は街灯が付いていて意外と明るかった。僕はコマンドが 作ってくれた黒っぽい服で夜の町を跳んだ。

 最初は鎧で行こうと思ったんだけど擦れた音がうるさかったから黒い服で行くことにした。


「鱗に擦れてチクチクするよ、せめて鎧の方が良かった……」

(あんたの鱗は明る過ぎるんだ。暗闇だと目立つ。その服は多少擦れる音はするけど目立つよりマシだね。)

【イロアスの鱗は明るい色が多く光を反射しやすいからな。ムーンは暗い色が多いその分目立ちにくい。そもそもゴーストとして存在が認識されにくいから問題ない。】

(そういう事だ。だから文句は言うな。)


 我慢して町を飛び回っていると最初の依頼の場所が見えた。最近この辺りで盗難が頻発してるらしい。ただのこそ泥だったらいいんだけど……


「待て!ひったくり!誰かそいつを止めてくれ!」

(あれだ!急げ相棒!)


 目を凝らして見ると暗闇の中に紛れて誰かが走っていた。暗い格好をして月の光が当たらない場所を走ってる。


「ムーン!先回りしてくれ!若干存在感を出して周りの温度も下げて!」

(お、おう?何だよ、それで捕まえられるのか?)

「いいから、行った行った!」

(まあ、やってはみるけどよ……)


 ムーンはすぐに影を追い越して物陰に隠れた。僕は道に降りて影を追いかけた。


「まてー!逃がすかー!」


 影はムーンが行った方向に走った。

 角を曲がると肌寒く感じた。ムーンが呪文で作った冷気だ。僕は通りの角に隠れてムーンと連絡を繋いだ。


ーー

『ムーン』にコールします。

ーー


「もしもしムーン?ゆらゆらしながらそいつに近づいて。ある程度近づいたら一気に詰め寄って!」


ーー

(お、おう。失敗しても文句言うなよ?)

ーー


 しばらくすると悲鳴を上げながら男が走ってきた。男はあっさり僕に捕まったので、すぐに兵士の前に落として次の事件に向かった。


(何であいつは逃げたんだい?)

「大概の人間はムーンを見たら驚くよ。だって怖いもん。」

(んー?まあ、どんな存在してるだけで心臓に悪いって言われてたくらいだからな。それなりに怖いんじゃないか?)

「夜は心強いね。一部の魔物も何とかなるかも。」

(あんまり調子に乗らない事だね。次もこの調子で行くよ。)


 誰が心臓に悪いって言ってたのか気になったけど今は別にいいや。

 その後は暴力事件を止めに行ったり、宝石泥棒を地面に沈めたり、強盗はムーンが驚かせて僕が捕まえた。どれも順調で気がついたら夜が明けていた。


「やった事に報酬は無いけどいい事したからちょっと嬉しいな。」

(まあ、名のない勇者なんてそんなもんだよ。宿に戻るよ。)


 僕らはすぐに宿に戻って。チェックアウトした。


「そういえばお兄さん聞きましたか?昨日の夜に幽霊が出たって。泥棒が何人も捕まったらしいですよ。万が一もあるかもしれないしお兄さんたちも気をつけてね。」

「あ、うん。ありがとう。」

(早速ウワサになってんな。)


 きっと昨夜の僕らだ。もうここまで広まってるのか。それなら町のウワサにも変化があるかもしれない。とりあえず町に行こう。


 町を歩くと昨日より様々なウワサが飛び交っていた。裏町から人が消える、ある貴族が影で兵士を集めている、奴隷商人が人を攫っている……どれも聞きたくない話ばかりだ。でも有力な情報が手に入った。消えているのは名のあるフリーの冒険者だけらしい。その冒険者を呼んでいるのはラドンという貴族。


「魔法に精通した家系で魔導書や教科書で財産と名声を築いたらしい。」

(そこで人間が消えてるってんなら怪しいねえ?あたい達も対象になってんなら待ってたら向こうから来るんじゃないのかい?)

「それ名案!じゃあちょっとは綺麗にしないと……じゃあムーンの装備も揃えないとね!」

(はあ!?あたいはいいだろ!見えないのに小綺麗にする必要ないだろ!)

「見えない部分から綺麗にしないとダメだろ?」

(それとこれとじゃ話がちがーう!!!!)


 僕はコマンドに手伝ってもらってムーンを引っ張って行った。


 ムーンは風呂に入れると濁った水が流れてきて何事かと慌ててしまった。生まれてこのかた風呂に入った事が無いらしい。

 僕は徹底的にムーンを洗い流した。

 するとムーンの赤黒い鱗が僕の鱗に似た赤色になった。


「どれだけ汚れてたのさ、流石の僕も引くよ……」

(別に生きる事に支障は無いしな。水で軽くは流してたけどそんなに血は落ちなかったんだな。)

「こんどからは風呂は入ってね!」

(分かったよ、けど入るなら別々な。一応性別は違う訳だしよ。)

「ん!?ああああ!!!忘れてたごめんムーン!」

(あんた気がついて無かったのかよ。真面目というか抜けてると言うか、変なヤツだね……あたいはただのドラゴンなんだし、気にする事もないだろ?)

「でも同族な訳だし、異性との付き合い方は気をつけた方がいいと思って……」

(まあ、いい心がけだね。)


 僕らはそんな事を話ながら夜を待った。

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