表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
伝説のはじまり
9/99

9.ムーンサイド

 あたいはムーン、今はこの勇者に憑いてる。

 こいつは記憶を覗いた限り、人間だって分かった。

 信じられないようなことだったけど、こいつドラゴンよりも人間じみてるから信じることにした。

 ってかドラゴンとしての本能が全く働いていないことに一番驚いた。

 それは置いておこう。

 こいつのことを考えてたらキリがねえ。


 あたいがあいつに話した、あたいについてのことは全てウソだ。

 なぜならあたいは…


 魔王に作られた暗殺者だからだ。


 そう、あれは随分と昔のことだ。

 あの魔王が生まれて間もないころにあたいを作った。

 でも、不完全で魂しか無かった。

 理由は、『世界の理を守るためにドラゴンを殺してほしい』ということだ。

 あたいはそれを請け負ったよ。めんどくせえけどやるよ。

 そのために作られたんだしね。


 魔王は、あたいに『心』を与えていた。

 どうしてそうしたか聞くと『とりついたドラゴンにすぐ仲良くさせるため』らしい。

 まあ、すぐに仲良くして相手を騙して警戒心を解かせるためなら何らおかしいとは思わなかった。

 にしてもお人好しなのか、ゲスいのか、つかみどころが無いやつだ。


 殺す手はいつも同じだ。魂にとりついて、言葉と仕草で騙して、闇に紛れて魔法で殺す。

 騙すときに真似するのはドラゴンが人間に化けて紛れているときの通りすがりの人間とかのを参考にした。


 ドラゴンが少なくなったときは魔王からテレパシーが来てストップをかけられて、多くなったら再び行動する。

 休みのときはよくどんちゃん騒ぎしてる人間やエルフの魂に紛れて楽しんでる。

 なぜかと言うと、ドラゴンって暗い洞窟とか、人気の無いところでいつも寝てるし、起きたとしても人間が襲って来たり、腹減ってメシ食うときにしか起きねえから暇で仕方ねえんだ。

 特に季節のイベントは盛り上がってるから一層楽しめる。


 あと、数年に一回位で魔王から依頼を受けるときがある。

 宝石、書簡、武器防具だったりをお城や博物館とかから盗むというものだ。

 とりあえず、盗むからそれくらいは教えようと必ず手紙は書く。

 郵便局は使わずに必ずとか門番に渡すようにしている。

『怪盗』とかそういうのじゃ断じて違う。

 ああいうのは可憐に盗むのがセオリーだが、あたいは全部ブッ飛ばして盗む。

 そっちの方が板についてるんでな。


 だけど今回の依頼はいつもとちょいと違う魔王からは『卵から生まれるドラゴンに憑き、その様子を教えてほしい』だった。

 少し戸惑ったが、依頼を受けた。

 場所を聞き、卵にとりついた。


 そして、今に至るわけだけど、こいつほど居心地の悪いドラゴンは初めてだ。

 なんというか、可能性の塊すぎて近づき難い変な感じがある。


 あたいは定期的に魔王に報告した。

 そこで、魔王はあたいに信じられない依頼をした。


『勇者と共に戦ってほしい』


 気が狂ったのかと驚いたけど、魔王は至っていつもと変わらない声色だった。

 むしろ喜んでいるように見えた。


 それがあの【エレメントチャージ】を使って連携して放った【グランドクロス】だ。

 嫌だったけど、悪い気はしなかった。

いつから感化されちまったのか、思いっきり声を荒げちまった。

 それに一瞬だけど、『同調』も起きちまった。


 心が通じ合い、互いの意志の強さがより強くなった瞬間、『同調』が発動する。

 その状態になった人間と一戦交えたことがあるけど、強かったね。

 連携が取れてて、ドラゴンのこうげきが大雑把になってた。

 ドラゴンも、結構な強者だったけど手強かったんだろうね。

 まあ、殺してたけど。


 あたいは【魂こうげき】と【スタンアタック】を組み合わせてこいつを外傷無く気絶させた。

 このスキルは【嘘つき】を使って隠してたんだ。

 【コマンド?】説明を頼む。


ーーーー

【スタンアタック】(攻撃)

 対象一体を通常攻撃と同じダメージを与えて70%の確率で『気絶』させる。

 追加効果は『きようさ』に影響する。

ーーーー


ーーーー

【嘘つき】(称号)

 様々な嘘をついて他のものを騙したものが覚えるスキル。

 他のものを騙すスキルを覚える。

ーーーー


 名前は嫌いだけど、便利だから使ってる。

 なぜ気絶させたかとか、そんな野暮なことは聞くな。気分でやったんだ。

 こいつが『暗殺』をしているあたいを見ると信用が無くなるからな。

 ターゲットはあの『ヴェロシラプトル』だ。


「大丈夫?」


「…………」


「ねえ、どうしたの?」


「ガアッ!」

 

 俯いて閉じていた目を見開いて、【暗殺者の手】を爪にまとわせた。

 【コマンド?】頼む。


ーーーー

【暗殺者の手】(攻撃)

 対象一体に通常攻撃1.2倍のダメージを与えて30%の確率で息の根を止める。

 追加効果は『きようさ』に影響する。

ーーーー


 黒い光が爪を伸ばし、ラプトルに斬りかかった!


「くっ!」


 ラプトルは器用に両手杖を前足で握り、あたいの爪を柄で受け止めた。

 あたいの不意打ちを受け止めるとは、流石高レベルなだけあるねえ!


「だりゃっ!」


あたいはそのまま力で押しきった。

ラプトルは後ろに跳んだ。


「やっぱりね、『あなた』はそういうヤツなのね。残念だわ。でも、『万が一』を考えておいて良かったわ。」


「何を言って…ぐっ!」


 ラプトルがそう言うと、凄まじい眠気が襲った。


 閉じそうになる目を必死に開けながてぐらつきながらも耐えた。


「てめえ…何をしやがった…!」


「傷の治療のときにね、薬に『ねむりの花』の花粉を混ぜといたのよ。そんなひどいことはしたく無かったから、自然な流れで眠りに誘おうとしたの。」


「畜生…」


「怪我してるのに、動くなんて許さない!だから、今は寝て…」


反論しようとしたけど、眠気に耐えきれずに眠ってしまった。


ーーーー

状態異常【ねむり】になった!

ーーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ