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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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85.任務完了

 あの後、男をたまたま近くにあったロープで縛ってエスケープタロットを使って助け出した奴隷と一緒に地上に出した。

 時間が思ったよりかかった、早くムーンと合流しよう。急いで下に向かっていると、ムーンと鉢合わせになった。


「ルナ!良かった…このドラゴンは何?」

(さっき拾ったんだ、奴隷にされそうになってたからな。首輪は外せなかったけど魔法回路をいじったから問題ない。あと遅すぎる、あんたならもっと早く合流できたはずだ!誰かに揺すられたか?)

「うん、ちょっとね…」

【フューチャーに心的外傷がある、それに関しては追々聞こう。今は…】

(遺体の回収だ。ここに来るまでにいくつか死体を見た。…遅くなったんだ、それくらいやってやろう。)

「うん、そうだね…」


 僕らは二手に別れて牢獄を探して遺体を回収した。遺体はどれも白骨化していたり腐っていたりどれも酷かった。感情に揺さぶられてはいけないのは分かってたけど親にも看取られずに死んだと思うとこの組織が許せなかった。

 回収した死体は布にくるんで地上に持ち帰った。


「ねえムーン。」

(何だ?)

「僕、人の死体なんて初めて触ったけど…こんなに冷たいんだね。」

(話しかけても返事がないし、背負うと重いだけの荷物。あんたみたいに生きてるヤツは死んだらみんなこうなるんだ、死んだらみんなタダの死体だ。あんたも簡単に死ぬなよ?)

「がんばる!」

【死んだら皆死体か…我はいつ死ぬ?】

「えっ」

(えっ)

【ん?】


 考えたこともなかった。コマンドはスキルだから死ぬことがないんだ。しかも誰かにコピーできてその間を自由に行き来できる。こうなったら永久に死なないんじゃ…


(ま、まあ誰かに忘れられたら死ぬかもな。あたいと一緒だ。)

【そうか。永久というのも退屈かもしれないがお前たちに頼られるなら退屈もしないだろう。お前たちが戦っている間にも新たな装備が完成したからな。】

(何だって!それは本当かい!?)


 ムーン、ムダにテンションが高い…前に作ってもらった装備が切り札になったから期待してるのかな?


「どんな装備?」

【エレメンツシューターの改良パーツ、【チャージリッジ】だ。あと、新しい武器用のクリスタを製作した。またシーデラスの出番だ、手土産を考えておくことだな。】

(手土産ねえ…よろしくな相棒。)

「丸投げかよ…まあ、ムーンが手土産を探せるとも思えないしがんばってみよう。」

(おう、頼むよ。)


 とりあえず洞窟から脱出することになった。


「気になったんたけどさ、クリスタって何でできてるの?」

【ふむ、クリスタは終族を倒したときの残留物、【魔力鉱石】でできている。本来は紫色だが、魔力の純度を上げる過程で透明になる。】

(じゃあ、こいつは魔力鉱石をキレイにした石ってことか。)

【簡潔に言えばそういうことだな。この作業である程度鉱石の中に空間ができる。そこに呪文や装備を入れられるんだ。】

「なるほど、整理したら空間があったってことか!理解!」

【そうか、ではまたな。】


 でも、何で終族を倒したら魔力鉱石を落とすんだろう?何か理由がありそうだけど…ヨクトがくれた終末化の結晶と関係があるのかな?いつか終末世界にも行けるといいな…

 地上に出るとすっかり朝になっててスィールバとモンスターたちが待っていてくれた。


「お疲れ様、作戦は一応成功したって事だよね?」

「うん…少し遅かったけどね。」

「とんでもない!来てくれただけで嬉しいよ。ありがとうイロアス。」

「そう言って貰えると嬉しいよ。」


 モンスターたちに囲まれて質問攻めに会って戸惑っていると、遠くで誰かがこっちを見ている気がした。


(あたいが対処する。あんたはそいつらを少し離れた所まで誘導しろ。)

「頼む。」


 モンスターたちをムーンから教えてもらった話術で上手く誘導して僕もムーンの行った場所に行った。

 近くに着くとムーンから連絡が入った。


(相棒、相手は冒険者だった。人間になってから来い。呼び名はいつものでいい。)

「了解!」


 ムーンに追い付くと、なんとそこにいたのは比較的軽装の人間の男だった。


「あの…どなたですか?」

「私はオーナーの指示であの洞窟の偵察に来た者だ。お前らこそ何者だ。」


 もしかしてマークされてた?だとしたら酒場側もあの奴隷商人を監視してたってこと?じゃあ…やらかした?


(あー…あたいたちは…)

「戦士イロアス!ランクⅩⅡです!」

「なんだ後輩か…だがイロアスという名は聞いたことがある。凄い強さを持ったドラゴンだと…本当なのか?どうみても人間に見えるが…」


 まあ…そう見えるのも仕方ない。ムーンの特訓の後から擬人化が強化されたおかげで耳の裏以外の鱗は見えなくなったからだ。角は相変わらずだけど。

 向こうが認知してるのはドラゴンの僕で人間の僕は知らないらしい。でも先輩だから嘘はつけない。ここはおとなしく話そう。


「あの…」

「ここは奴隷商人のアジトだ。名のある冒険者が捕まったまま帰って来なかったなんて事件もあるから依頼が終わったらさっさと帰れよ。」


 なんだただのいい人か。

 僕はアジトをぶっ壊したことを言いそびれたけど…まあいいか。

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