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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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80.出発の準備

 すっかり夕方になって町に戻った僕は酒場に依頼の報告を済ませて宿に戻った。

 結局、スィールバには会えたけど終族のこともあって花粉は手に入らなかった。

 代わりにスィールバから奴隷商人に関する有力な情報を手に入れた。


(ふうー、魔力を消費すると流石に疲れるね。)

「お帰り、早かったね。」

(そういう相棒こそ、それほど疲れてる様には見えないね。)

「今日は控え目の依頼を受けたからね。…奴隷商人に関する有力な情報を手に入れた。」

(へえ…何が分かった。)


 ムーンの気配が静かになった。標的を捉えたときみたいに。


「敵は複数のアジトを持っていて取引に応じて奴隷の受け渡しをアジトごとに行うらしい。スィールバもそれを森の中にある【暗がりの洞窟】で見たって。」

(じゃあレングスが言ってたのは…)

「そのアジトの一つだ。」

(想像してたよりかなりデカイ商会みたいだな。ただのゴロツキの集まりってワケでも無くなったな。)

「うん。今はそれしか分かってないけどつっつけば何か出てくるかもしれない。」

(じゃあいつ潜入するかはあんたが決めてくれ。あたいはそれに合わせる。敵は多そうだからな、しっかり準備しろよ。)


 数日後…


「よし!準備オッケー!明日には出発しよう。」

【そんな貧相な装備で良いのか?腕利きの鍛冶屋に頼んで強い装備を作って貰った方が…】

「うーん…今は自分の鱗を売って装備を買う資金にしたいから鱗を貯めてるんだよね。」

【何枚貯まったんだ?】


 僕はカバンに貯まった鱗を数えてみた。


「えっと…60枚くらい?」

【はあ…一度鍛冶屋に行ってこい。】


 半ばためらいながらも鍛冶屋に行くことにした。

 と言っても広い町だからいくつも鍛冶屋があった。

 コマンドの分析で売られている商品を見て製作者と店主の名前を照会、町で情報を集めながら良い鍛冶屋を絞って行った。

 絞ったのは別の町からやってきたという店だった。何でも店主は自分の目利きした相手にしか商品を売らないらしい。

 他にも噂があって気に入らない相手は大鎚で潰されるだの貧弱な武器をとんでもない高額で売るだの少し物騒にも聞こえたけど…まあ酒場でも良い鍛冶屋って言われてたし大丈夫!たぶん!

 店の外はわりと普通のお店と同じだけど…


「おじゃまします…」


 景気の良い鉄を打つ音と強い熱気が部屋中に立ち込めていた。


「いらっしゃい!」


 出てきたのは筋骨粒々のドワーフだった。多分この人がシーデラスさんだ。


「ってお前さんは最近急に名を上げ始めたイロアスか!」

「うげっ!服も変えたのに何で!?」

「お前さんはこの町じゃ有名だからな!それよりもウチに何の用だ?」


 有名だからって…まあ大きなことしでかしてるんだし仕方ないか…

 一応は取り合ってくれるみたいだし相談してみるか。


「僕の装備を作って欲しいんだけど…」

「おお!そう言うことか!どんな要望がある?予算は?」


 要望?考えて無かった…


「えっと…」

「要望はないと…なら素材は持ってないか?」

「素材?」

「素材があるならそれを元に作ってやる。どうだ?値段もまけとくぞ?」

「えっと…素材はないけど…お金の代わりになるかな?」


 僕は貯めた鱗をカバンから出した。

 シーデラスさんは僕の鱗を見せたとたんにメガネをかけて僕の手に乗った鱗を興奮した様子で鑑定を始めた。


「うおおおおお!?何だこの鱗!70年生きた俺でも始めて見たぞ!ちょいとこいつを貰ってもいいか?」

「う、うんいいよ。」

「こいつはどんな魔物から採れたんだ!蛇か!ドラゴンか!何にせよ普通の鱗とは違う…まるで凄まじい戦いを生き抜いてきたみたいだ!」


 そ、そこまで凄い鱗なのかな、生まれて1年ちょっとしか経ってないのに…

 シーデラスさんは鱗を持って奥に行くと凄い音と衝撃が響いた。

 しばらくそれが続くとシーデラスさんは戻ってきた。


「すまない…俺はお前さんを疑ってたんだ。どうせ名前だけのヒヨッコだと思って砕いた鱗を見せつけるつもりだったが…この鱗、どれだけ叩いてもびくともしないんだよ。それにこの鱗…前にスタンピードを起こした終族を倒したヤツのだろ?」

「うん。」

「まさかあのドラゴンと繋がってたとはな。」

「…………」


 僕はとっさに身構えた。

 【真実の瞳】で確認しても嘘はついてなかった。僕の正体には気づいてないってことか…


「ここは強い防音の魔法がかかってる。それにこれを知ってるのは俺だけだ。俺はせっかくの客を失うような真似はしねえ。俺は何故ドラゴンがこの町を守ったのかが気になるんだ。」

【どうするイロアス。】


 しゃべらない理由は無い。うかつに真実を喋って面倒なことにならなかったらいいけど…


「僕はこれを深紅のドラゴンからもらった。さっき客を失うような真似はしないって言ってたのは僕を君のお客さんにしてくれるってことで良いんだよね。」

「そういうことだ。」

「…詳しいことは言えないけど僕にはやることがあるんだ。これからの未来はきっと僕らにとって厳しくて辛い戦いになる。だから僕は強くなりたいんだ。」

「そうか…お前さんは真っ直ぐなんだな。良いだろぞ、この鱗で俺が抜群の装備を作ってやる。腕は保証する。」

「ありがとう。」


 今はまだ話せない。でもいつかは話さなければならないだろう。ちょっと不安だけど今は信じるしかない。

 僕は【戦士の鱗】をシーデラスに手渡した。

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