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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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78.once more コマンドサイド

 ムーンは終族の魂に【ソウルハント】を放つととたんにきぜつ状態になって実体を出して倒れた。

 疲労度も90%をオーバーした。倒れるのも当然の結果だろう。


「ムーン!?大丈夫ですか?返事をしてください!」

【案ずるな。疲労が溜まり過ぎて気絶しただけだ。】

「何この声!幻聴?幻聴なの!?私疲れてるの?」

【幻聴ではない。我は【コマンド?】ムーンの仲間だ。詳しい説明はまた今度にしよう。今は汝のさらわれた仲間を探すことが優先であろう。我に任せて汝は休め。】

「あ、うん。誰なのか分からないけど今の状況が分かってくれてるなら頼むわ。」


 我はさっきのリザードマンに声をかけみた。


【リザードマン、終族を討伐した。それと手伝って欲しいことがあるのだが…】

「僕はスィールバ、名前で呼んでよ。確かに飛び回っても暴れてる魔物もモンスターもいない…本当に終族を倒してくれたんだね。すごいや。」


 スィールバには我々に若干の疑いがあった様だ。確信に変わって我の言葉は信じる様だが…


【…無理にとは言わん。ただ…少々厄介でな。我々の残された体力でははぐれた仲間の捜索は難しいのだ。この森を知り尽くすお前ならばそれも可能のはずだ。】

「困ってるならほっとけないね。探してみるよ。どこに君たちの集合場所を教えて。」

【我を信じるのか?得体の知れない我を?】

「君たちはこの森を守ってくれた。信じる理由はそれだけでいいじゃん。騙されやすさはピカイチでさ。」


 この者に任せて大丈夫だろうか…しばらくついていこう。

 それにしてもこの者…


「誰かが倒れた木の下敷きになってる。待ってて、すぐに持ち上げるよ!んんんんんんんん!!!」

「はあはあ…ありがとうスィールバ。」


 物の下敷きになって動けなくなった魔物もモンスターも見境なく助け…


「はいはい落ち着く!今は助け合わないと。動けるなら人間を探してくれ。」

「分かったわ。君の願いならお安いご用よ!」


 魔物の鎮圧と失せ物の捜索まで…本当にこの森を知り尽くしているのだな。

 信頼も厚い様だしムーンの目に狂いは無かった様だ。


「シール!あっちの洞窟で人間が魔物に連れ去られて行ったらしい!」

「了解!情報ありがとう!」


 スィールバの愛称はシールというのか。


「はーいこんばんは!ここで悪巧みしてるヤツはだーれだ!」


 敵陣に突っ込むと魔物たちはあわてて逃げ出した。

 ずいぶんと恐がられているのだな。


「この反応はちょっと傷ついちゃうよ…仕方ないけど。人間さん!いますか!」

「助けか?おーいここだ!ってリザードマン!?」

「君の仲間に呼ばれて助けに来たよ。一応味方ってことになるのかな。」


 スィールバは人間の縄を解くと我らの居場所まで送った。


(助かったよ。ありがとな()()()

「えっ!盗み聞きしてたの!?」

(コマンドで繋がってると盗聴もできるんだ。一種の防犯手段だ。悪いことには使わねえよ。)

「本当かなぁ…」

(ああ。勇者の相棒の名に誓ってな。)

「勇者の相棒って…僕、とんでもないドラゴンを疑ってたんじゃ…」

(そんなもんだよ。さて、帰るか…と言いたいけどあいにく疲れ果てて動けないんだよな…悪いけど男子、送ってってくれないか?)

「そんな…」

「じゃあ僕はこの辺で。それとこの森を守ってくれてありがとう。困ったらまた頼ってね、この森は君の味方だから。」

(おう、近くに寄ったら頼らせてもらうよ。またな。)

「そりゃないよー!」


 ムーンはニヤリと笑って戦士の男に背負われながら森を後にした。

 正直に言って良いならカッコ悪いな。


「ドラゴンを運ぶ俺の身にもなれよな…ムーンさんって軽いな。」

(元は魂の塊だし、魔力で実体を出してるだけだから重さはない。というか女に向かってそれはそれは無いだろ。あんた彼女に嫌われるぞ?)

「う、うるさい!彼女なんて勝手にできるだろ!」

「エレソスは楽観的なのは良いですがちゃんと運命の相手を探すべきですよ。」

「じゃあアルーズはどうなんだよ!」

「私なんかよりあなたが心配です。ホントは…もう見つけてるんですけどね。」


 アルーズは少し顔を赤らめていた。


(なるほどそういうことか。エレソス、もっとパートナーを気づかってやれよ。)

「お、おう?」


 我には分からなかったがアルーズはエレソスを気にかけていることはよく分かった。


 その後、少し日が登り始めたぐらいで町に戻ったムーンはアルーズたちと分かれて勇者が宿泊している宿に戻った。


(ただいまっと。)

「ムーン、おはよう。」

(お、おう。今日は早いんだな。)


 む?勇者の疲労度が32%だと?疲れが残っているとは…寝ていたならあり得ない。


「帰りが遅すぎて心配したんだよ?すぐに戻るって言ってたからずっと待ってたのに全然帰って来ないし、探して連れ戻そうとも思ったさ。それに終族の反応もあって止めに行ったし。」

(来てたのかよ!)


 何だと!?…確かに行動履歴に勇者が移動していた記録がある。

 それにHPも20%を切っていただと!?


「当たり前でしょ!?相棒なんだし、嫌でも繋がってる訳だしすぐ助けに行ったよ。まあ、変な術は止められなかったけど…隙を突かれて【終末呪文】モロに受けちゃってさ、助けに行けなかったのはごめん…」

(マジかよ…)

【我も気がつかなかった。お前たちの連携を繋ぐことができなかった…すまない。コマンドとして果たすべき行動を実行できなかった。】


 我が…彼らのチームワークを乱してしまった…追い出されても文句は言えまい。


「大丈夫!」

(気にすんな。)


 イロアスたちから出たのは我が想像していない答えだった。

 いや、イロアスは分かるがムーンは削除覚悟で責任を取らなければならないと思っていた。


「コマンドが失敗しないなんて誰が言ったのさ。」

(あたいも失敗するんだし、誰もあんたを責められないよ。)


 我はこんなにも…良い仲間に恵まれていたとは…


【ありがとう。二人とも。】

「へへっ!」

(頼らせて貰ってる訳だし、その分信じるだけだ。)


 我は少しだけ不思議な気分になった。

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