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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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73.長い修行の果てに…

(…………起きろ相棒。)


 気がつくとムーンが倒れた僕を覗き込んでいた。

 なんかデジャブ…


「いててて…急に気絶させるなんてひどいじゃないか!」

(良い修行になっただろ?)

「確かにそうだけどさ…前にも言ったよね?気絶させるときはちゃんと言ってからにしてって。」

(…りょーかい。けど分かったろ?何か企んでるヤツの背中にある違和感ってヤツが。)

「ムーンはその違和感も隠せるかと思ってた。」

(あたいだってそこまで完璧じゃねえよ。最小限にしてても何かいるって感じるくらいに気配は残る。)


 それって背筋がゾクッとするヤツだよね?

 ムーンが近くにいるとたまにあるんだよね。

 最近は感じなくなったけど。


(それが分かるってことはあんたも強くなったってことだ。疲れただろ?ちょっと休もうぜ。)


 確かに動いていないはずなのに身体が疲れている。

 あの短時間でここまで疲れるとは思っていなかった。


(ああ、言い忘れてた。これで特訓の全行程を終了する。今日までよくやったな、おつかれさん。)


ーー

 特殊スキル【大いなる力を持つ者】を覚えた!

 とくぎ【てかげん】を覚えた!

 じゅもん【攻弱呪文Ⅰ】を覚えた。

ーー

 【てかげん】か自分より弱い人と戦うときに役立つかも。

 【攻弱呪文】か…こうげき力を下げる呪文。僕は使うことが少ないかな。


 ステータスの確認を終えた僕は再び拠点に戻って出発する準備を整えた。

 長い特訓で辛いこともあったし逆に楽しいこともあった。

 ムーンが作ってくれた料理は格別に美味かったなあ。

 何より沢山のことを学べた。

 心も身体も前よりずっと強くなれた。


(どうしたんだよ?そんな辛気くさい顔してよ。)

「ムーンありがとう。こんな僕の特訓に付き合ってくれて。」

(ばーか、これくらい当然だっての。そうだ、あたいの能力について説明してなかったな。)

「それ、今するの?」

(移動しながらなら良いだろ?行くよ。)


 僕はムーンに引っ張られながらノックダーラの町に向かって歩いた。

 説明は長くなったのでコマンドにまとめてもらう。


【ああ、別のページにまとめておこう。】


 そうこうしてる内に町に着いた。

 まだ朝も早かったので酒場も開いていなかった。

 またしばらく待つのかと思って腰を下ろしたそのときだった。


「もしかしてイロアスか?」


 声が聞こえた方を向くと受付嬢のメイさんがいた。


「メイさん、お久しぶりです。」

「特訓が終わって冒険に出たと思ってたよ。」

(報酬も貰わずに帰るワケにはいけないだろ?)

「そうか、じゃあ入って。依頼書はあるか?」


 僕はクリアした依頼書をカウンターに出した。


「これとこれとそれと…4件分だね、でも日付が結構前だな…私じゃ判断できないからオーナーの所に行ってくれ。」


 僕はオーナーのいる部屋に向かった。


「やあイロアス、1ヵ月ぶりだね。どうだい調子は?特訓は…上手くできたみたいだね。」

(流石オーナーだね。あれから町の様子に変わった所はあるかい?)

「君たちの活躍で町も活気を取り戻したよ。ドラゴンは力も体力もある。町の復興もあと少しだろう。一部の人からの了承は…得られてないけどね。」


 全ての人から了承を得ることは難しいし、それもしかたないことだね。


(へえ…それは大変だね。あたいたちにできることはあるかい?)

「じゃあ町の清掃を手伝ってくれないか?細かい石や砂が道を悪くしていてね。風を起こせる者が必要なんだ。…思ったんだが今日はやけに優しいなムーンよ。」

(あんたはあたいたちの伝えたことを信じてくれた。だからその分信じてるだけだ。)


 ムーンもやっと信じてくれたみたいだ。

 ちょっとだけムーンのことが分かった気がする。


 僕らはオーナーの部屋を後にして早速清掃を手伝いに向かった。

 ムーンはさっき…


ーー

(相棒、あたいは用事がある。しばらくしたら戻って来るからな。また後で。)

ーー


 って言ってどこかに行っちゃったけど…その内戻って来るよね。

 僕が一人で町を移動しているときの誰かが僕を見て言った。


「あっ!イロアスだ!」

「スタンピードを止めた英雄のお通りだ!」

「ウソ!どこにいるの!?」


 それが引き金になったのか沢山の人が僕に話しかけに来た。


「わわあ~!みんな一人ずつ話してー!」

「幽霊を引き連れてるってのはホント?」

「独り言が多いのはどうして?」

「わわあ~!」

【キリがない!一旦離れるぞ!】

「【火炎の息】【吹雪の息】合体!【フルスチームブレス】!」


 僕は合体とくぎでみんなの視界を眩ませてその場をなんとか脱した。

 そのまま人通りの少ない裏路地に入った。


【英雄というのは護衛がないと歩きづらいな。】

「何かしたワケでもないのになんでこんなに人が来るのさ…」

【スタンピードの功労者だからだろう。ドラゴンからの協力を得たことによる町の復興にも一役買っている。噂などによって有名になるのも必然だろう。】


 なるほど、服装が外套を着ているときの方が有名になってるから…

 この外套は脱いだ方が良さそうだね。

 それとコマンド、あれを作って欲しいんだけど…


【あれか?恥ずかしいなどと言うなよ。】

「ドリョクシマス…」

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