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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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70.計算された特訓

 コマンドの計算通り2日後に僕らは特訓を再開した。

 8時間だけという限られた時間の中で僕は全力でムーンにぶつかった。

 少しずつだけど強くなれた気がした。

 8時間の特訓が終わって休憩している間にコマンドに調べ物をしてもらって僕とムーンは別の場所に行った。


(コマンドは?)

「霊体になれるからそれを使うってさ。…最近のコマンドについて話したいことがあるって何?」

(正確に言えばあいつはコマンドじゃない。)

「えっ?」

(あいつはマジのドラゴンの魂だ。)


 あのときの言葉…


ーー

【やっとその質問か。絶対に言われると思っていた。我はその身体に入るはずだった魂だ。もちろん本物だ。あんな暗殺者のウソと同じとは思わないでくれ。さっきまで略奪者の魔力の中に住まわせてもらっていた。】

ーー

 あれは本当だったのか…


「じゃあ、あのコマンドは元々あったものじゃなくて後付けハードって訳?」

(そういうことだ。正確には【コマンド?】とあのコマンドは元々は別ってことだね。…なんかややこしいけど大体分かればいい。で!話したいことは魂のコマンドについてだ。)


 確かに僕も気になってた。


「そうだよね。最近コマンドって暴走気味だし…なんだか人工知能の暴走の前兆みたい。」

(人工知能?人間は学習する道具を作れるのか?あんたの世界もすげえな。…そいつは暴走するのか?)

「うん。人のために作った人工知能は最後、人間は不要な生物と判断して未来から重要な人を殺すよう教えられたロボットを送った。っていう作り話があるんだ。」

(人間は創造を現実に変えられる。そういう未来もあるってことだね。)


 その襲われた人は別のロボットに助けられたんだけどね。

 その後も何度か襲われてるし人工知能は絶対に安全じゃないんだ。


(けどあいつは何度も転生したドラゴンだ。ちゃんと考えるし、心もある。その心配はない。だからあんたお得意の話し合いってヤツが必要じゃないかい?)

「分かった、やってみるよ。けどムーンも手伝ってよね。」

(りょーかい。)


 僕らは簡単な作戦を立ててコマンドを呼んだ。


【どうしたムーン、話とは何だ。】

(ああ、ちょっと聞きたいことがあってな。…あんたのやりたいことって何だい?)

【やりたいこと…考えた事も無かった質問だな…】


 よし、ここまでは作戦通り。

 一応の作戦はこうだ。

 僕は近くの草むらに隠れてコマンドを【みやぶる】で観察してウソかホントかを見分けてムーンに報告。もしボロが出たら即座に攻撃を仕掛けるという簡単なものだ。

 スキルの【ゴースト】は同じ【ゴースト】を持つ敵に攻撃できるんだ。

 万能かと思ったけどちょっとした弱点もあるんだね。

 後はボロが出るかどうか…


【…我が思うに我は皆の為に便利になるコマンドを更新し続け、いつかはこの世界の全ての情報を更新することだ。】

(へえ、じゃあそれが…)



(この世界にいる奴ら全員を踏みにじってもかい?)



【………………………………】


 さあコマンド…どう答える?


【それはダメだ。我はどんな者でも役に立ちたい。身体がない我にとってできることはその程度だ。お前のゴーストを模倣することで辛うじて自由に動けるようになったが、それでも完全とはならない。それに時々意識が途切れる時があるんだ。その瞬間はまるで我が我ではないような…そんな気がしてたまらなくなるんだ。】


 【みやぶる】で見るとコマンドは青く光った。


ーー

「ムーン、ウソはついてないよ。」

(なら問題ないね。)

ーー

 自分が自分じゃなくなる?それって無機物とか違う生き物に自我が宿ったときに元あった心もそれに合わせるように変化する…適応力ってやつか。

 コマンドがときどき返事してくれないときとかあったけど…意識が無かったのかなあ。


(じゃあ、あんな強行手段をやったのは…)

【あの瞬間はもはや我ではなかった。あのときの非礼はここで謝る。すまなかった。】


 落ち着いて考えたら前にした選択が裏目に出てるってことあるよねー。

 自分が自分じゃなくなるって、きっとコマンド自身が一番怖いよね今の自分が消えてしまうかもしれないから。


ーー

「ムーン、出てもいい?」

(後は任せる。)

ーー

 僕は草むらから出て二匹の前に出た。


【ずっと思っていたが何故ムーンが相談相手なんだ?お前でも良かっただろうに…】

「げ、気づいてたんだ。ムーンって確信に近いことをよく聞くでしょ?だから頭が硬いやつには適役かなーとおもってさ。」

(まあ確かにね。自覚はしてる。)


 自覚あったんだと心でツッコミながら僕はコマンドの方を向いた。


「コマンド、そういうことはちゃんと言ってくれないと。自分のことは自分にしか分からないんだから。」

【しかし、お前たちに言えばこの先の旅にも影響が…】


 あー…これはアレだ。ブラック企業の社畜だね。しんどいって言ったら滅茶苦茶に怒られるやつ。


「コマンド、君は僕にしんどいって言ったら怒ると思う?」

【…いいや、お前なら怒りながら休めと言うだろう。】

「そうだよ。だからつらいことがあったら言ってよ。仲間なんだよ?一番近くにいるのに仲間の痛みが分からないなんて恥ずかしいからさ。」


 本当は言われなくても分かるのが一番だけど、僕らは出会って日が浅いしコマンドのことが全部分かる訳じゃない。

 だからこそ教えて欲しいんだ。みんなのことを知りたいから。


【…やはりお前はどこまで行こうと勇者なのだな。】

(全くだ。いつも自分より他人を優先する。ちょっとは自分が生き残れるかを心配しろ。)

「うう…」


 新しいクエストが増えたけど、なるべくこれを優先しよう。冒険は逃げたりしないからね。


ーー

 メインクエスト【全てを知る力-No.1薄れ往く竜の魂】を受けました。

ーー

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