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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
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69.強者

 僕らはそのまま解散となって人間もドラゴンもそれぞれの場所に帰った。

 僕はその場所に留まってしばらく特訓することにした。

 今回のことで自分もまだまだ弱いと思ったからだ。


「どんな特訓するの?」

(そうだな…やる前に一つ聞きたい。)

「何?」

(あんたは力を何だと思ってる?あんたが思う答えを教えてくれ。)


 ムーン、突然どうしたんだろう?何か狙いがあって聞いてるんだろうけど…


「力は…生きるためにあるんだと思う。」

(へえ…どういうことだい?)

「生きてる奴も死んでる奴もそれぞれに強い所がある。それは皆違うけど、結局は自分が生きるためにあるんだ。生きる過程で手に入れたモノ、それが力だと思う。使い道はそれぞれ違うけどやっぱり一番は生き残るためだと思う。死んでる奴に生きるってのもおかしいと思うけどね。」

(…大体分かったよ。)


 ムーンは後ろを向いてため息をつくとクルッと僕の方を向いた。


(約束しろ、絶対に途中で逃げ出すな。過酷でも途中で投げ出すな。)

「えっと…」

(いいな!?)

「は、はひいっ!!!」

(じゃあ気い引き締めていくよ。やることは一つだけ。…あたいを本気で殴れ。)

「えっ」

(何度聞かれても同じだ。あたいを本気で殴れ。それがここでの特訓だ。)


 ムーンはそう言いながら実体を出して僕から距離を取った。

 ムーンを殴る?いやいやいやいや何でそうなるのさ。でも目は本気だし…何度【真実の瞳】で見ても嘘偽りなく話してる。

 でもムーンはHPが限りなく少ない。もし殺してしまったら?気をつけて攻撃しないと…


(あたいはワレモノじゃねえぞ!!!!こちとら本気で殺る気で構えてんだ!ウジウジすんじゃねえさっさとかかってきやがれ!!!!)


 ムーン…本気だ。迷ったら殺される。

 僕も素手で構えた。


「やああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」


 僕は全力でムーンを殴った。けどムーンはびくともしなかった。


(どうした?あんたの拳はこんなに軽くないはずだ!!!!)


 僕はムーンの一撃でブッ飛ばされて木をなぎ倒しながら止まった。


「ぐうっ…」

(次だ!!次はどう来る?)


 ムーン何であんなに硬いんだ…


ーー

 本気率 3%

 BAD!

ーー

 コマンドも消極的だなあ。僕だけで克服しろってことかよ。やってやらあ!


「ぬううううおおおおおおおおお!!!!!!」

(あんたの全力、あたいに撃ち込んでみろ!)



 その後も勇者はムーンを殴った。殴っては吹っ飛ばされて。殴っては吹っ飛ばされて…朝から始まったその特訓は次の日もその次の日も休まず続いた。


 その3日後…


「ゼエ…ゼエ…」

(もう音をあげたのかい。まだまだだねえ?)


 ダメだ…もう身体持たない…


(自分で限界を決めるんじゃねえ。あんたはどこまでも成長できるはずなんだ!…はあ、もういい終わらせてやる。)


 ムーンは呪文を構えて僕に向かって放った。


(【生魂滅砕】!)


 その瞬間僕の目の前は真っ暗になった。





ーー

 システム再起動…

▽つづきからはじめる

ーー

 気がついてすぐに身体を起こした。無理に身体を起こしたせいか、身体中がズキズキと痛んだ。


「生きて…る?」

(ああ、お目覚めかい。回復するまでは待ってやるから寝とけ。)


 空はもう真っ暗でムーンが焚き火の前でくつろいでいた。


「どうして…」

(どうしてって死なれちゃ特訓じゃねえだろ?迎えに行くのめんどいし、ギリギリで手加減してるよ。)

「手加減できたんだ。」

(うるせえ、頑張ってんだよ。ったく…夜が明けたらまた始めるよ。って言いたい所だけど…)

【あの様な非効率的な特訓はさせない。まあ、話を聞け。】


 コマンドに何か考えがあるみたいだ。少し聞いてみよう。


「何か考えがあるの?」

【ああ、我はお前たちの修行中の戦闘データを集めていたんだが…このグラフを見てくれ。イロアスの成長率と時間を比較したものだ。】


 僕らの目の前に線グラフが浮かび上がった。時間が進むにつれて成長率が下がっている。


【見て分かる通り3日目後半の成長率は1%未満だ。そして勇者のポジティブな感情の割合を重ねるとこのようになる。】


 追加された赤い線は時間の経過で低下していた。


【このように時間の経過で低下している。以上の結果から言えることはこの特訓は非効率的であるということだ。そこで我からの提案がある。】


 ナニコレ?僕らはプレゼンを受けてるの?

 取りあえず最後まで聞くか。


【イロアスの成長率から計算して1日8時間が最も成長率が高い。ということでお前たちの特訓に1日8時間の制限を設ける。】

(嘘だろ!?そりゃないぜコマンド…)

【お前たちの体調を思ってのことだ。勇者は1秒当たりの疲労度の回復量が38%も低下している。ムーンは限界を超えた魔力の使用で呪文の威力が76%も低下している。いくらドラゴンとは言えど疲れていれば戦いもままならない。今のうちにしっかりと休養を取るんだ。でなければ特訓をできないように制限をかける。】


 コマンド、最近燃えてるなあ…悪いことにならなきゃいいけど…

 僕はおとなしく寝ることにした。

感想をいただきました。ありがとうございます。

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