67.戦いの後に…
僕らが洞窟から出て視界が一気に明るくなるとドラゴンと人間が対立している所に出た。
「何だお前ら!ぶっ殺してやる!」
「そっちがその気なら容赦はしない!」
まずい、このままじゃまた戦闘になっちゃう。
「いってこい!ムーン!」
(いやだ。)
「ウソダドンドコドーン!」
地面を叩いて地面に衝撃を与えた。
地震のような振動が辺りを襲って、それと同時に僕の鱗も鎧のような輝きになった。
そんなことよりもみんなが落ち着いたみたいだから僕は人間たちとドラゴンたちの間に立った。
「こいつはドラゴン!?」
「何でドラゴンがこんな所に!?」
「そんなことどうだっていいだろ。どうして君たちは協力し合えないんだ!見た目が違う!価値観が違う!力が違う!そんな些細なことで何故対立しなきゃいけないんだ!」
「それはこいつらが魔物だから…」
「君たちは魔物とモンスターの区別もつかないのか!?モンスターたちにはちゃんとした自我があって姿形違えど互いに支え合って生きている!僕たちと人間は友達にはなれないのかよ…」
しばらくの間沈黙した後、誰かが言った。
「そんなこと今更出来ないさ。」
「俺たちがモンスターなんかと仲良くなれる分けない。」
「俺たち何かが人間となんてな…」
できない
そんな諦めの言葉が僕を貫いた。
そうか…この世界は人々の心まで崩れかけているのか…前いた世界と一緒だな。
これ以上はムダだと思って走って逃げようと思ったそのときだった。
「本当にそれで終わっていいのですか!」
静まった森の中で響いた聞き覚えのある声…昨日助けた人間の冒険者パーティーの僧侶さんだった。
「俺たちはこのドラゴンに助けられたんだ!」
「そうだ!ちょっと色が違うけど目の色は同じだ!」
「今はそれじゃない!とにかく、私たちがみんなに会えたのも偶然じゃなくて必然です!それに、世界が脅かされている現状で人間とモンスターがいがみ合ってる場合じゃありません!今手に取るべきはお互いの手ではないのですか!?」
女の僧侶さんが声を荒げた。
その中で誰かが前に出た。パークランスさんだ。
「確かに今は受け入れられない。しかし、近い内に君たちを受け入れられるよう尽力することを約束しよう。時代は今こそ変わるべきだ。」
それを聞いたシャドウも前に出て、固い握手を交わした。
(時代の節目ってとこかな?あーあ、色々と戦いも終わったことだしバカ騒ぎしてー気分だー。)
「あれだけ頑張っておいてまだ騒ぎたいのかよ…」
「ワイらも手伝うわ!お前ら、宴の準備や!どんちゃん騒ぎ始めるで!」
ポイズンの一声でみんなが宴の準備を始めた。
一時はどうなることかと思った…
それにしてもこの姿、何のドラゴンだろう?
【ふむ、これはビートドラゴンという土属性を司るドラゴンらしい。現在の状態は仮のものでシャインドラゴンと同じ状態だな。】
ビートドラゴン、振動か…身体も硬いし盾のような役割のドラゴンなんだろう。
いつか会わなきゃいけないんだろうなー。
宴は一晩中続いた。人もモンスターも関係なく共に手を取り合って共に生きていることを喜びあった。
そして 夜が明けた…!
「ふあ~よく寝た。」
宴で騒ぎ疲れて目が覚めるとムーンが側にいて顔を洗おうと思って川に移動、ついでにムーンもついてきた。
(あんたが酒を飲まないのは意外だったよ。)
「元々は未成年だし…成熟したドラゴンでもないでしょ?」
(この世界の酒に年齢制限なんてないんだけどね…)
「お酒は身体に悪いの!」
(ドラゴンは生まれつき酒に強いんだ。大概のヤツはな。)
「お酒に強くないドラゴンもいるのね…」
川に着くとブレスとアイスとファングとポイズンとシャドウがいた。
それに…あのムカデとスタンピードのときのドラゴン?
「あのー…これは一体どういう状況なのさ…」
「あー、二匹共久しぶりー。何ヵ月ぶりかなー?」
「ちょっとブレス!別れてから二、三日しか経ってないのに記憶飛びすぎじゃない?」
「落ち着け二匹共、今日は激状態について話をしに来たんだろう?そのために彼らを呼んだというのに…」
そうか、ここ二日間で二度もスタンピードが起こったんだ。
何か裏で起こっていたのかもしれない。
「取りあえずさ、この集まりについて説明してくれない?」
「せやな、ワイらはここ数日のそれぞれの調査した物について報告し合う為に集まったんや。ワイはモンスター、ファングは町の人々、シャドウはドラゴン、ブレスさんは植物、アイスはんは信仰を調査してたんや。」
「我々は各地で調査をしていて時々こうして報告し合うようにしている。本当は全員揃って行うのだがな。今は急を要する。直ぐに招集はできないので各々で伝達を…」
「えっちょっと待って、みんな知り合いだったの?」
「そうだけど…何かあった?」
おったまげーだよ!