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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
62/99

61.月の挑戦

 しまったな、ついクセで決闘を受けちまった。急いでるってこんなときに…

 この緊張感、ゾクゾクするね!


「ん、どうした?今さら怖じ気づいたか?」

(そいつは挑発してるってことだな?悪いがあたいは今猛烈にゾクゾクしてんだ、負ける気はしない!)


 あたいとシャドウは村の中心にある広場に出た。

 シャドウは広めに間合いと取って構えた。ここでやるのか。


「ドラゴンじゃないからとかかって来ると痛い目を見るぞ?」

(ハナっからそんなつもりねえよ、始めっから全力で行かせてもらう!あたい、参上!)


 シャドウは走って突っ込んできた。あたいはゴーストを発動してすり抜けた。


「…なるほど、厄介だな。」

(負ける気はないんでね。)


 始めから避けられる前提で攻撃してきたのか。定石だな、真っ正面から挑むタイプか。なら…


 こっちも対処しやすい!


「そらっ!でりゃっ!」

(どうしたどうした!そんな攻撃じゃ当たんねえぞ!)


 確かにこいつは筋がいいけど、あたいのゴーストのせいで当たってないだけだ。ゴーストの状態じゃこっちもほとんど攻撃ができない。戦闘が長引くのは嫌だ。早々に倒すか。


(ほらよ。)

「うおっ!?」


 あたいはゴーストで目の辺りを触った。何もないけど大概のヤツはこれで動揺する。

 あたいはその隙にシャドウの腹を斬った。


「ぐっ!卑怯な…!」

(悪いな、これがあたいのやり方なんだよ!真っ向勝負なんて願い下げだね!そらそら!)


 あたいはなるべく呪文を使って攻撃した。


「ぐっ、なんという威力…だがこれならどうだ!」

(何度やっても…ぐあっ!)


 シャドウは黒い影を纏った爪であたいの前足を斬ると僅かにダメージが入った。あいつ、どんな小細工を…あの黒い影がタネか?影を使って戦えるヤツはこの世界じゃ1匹しかいねえはず、だったら…


(てめえダークの差し金だな?)

「その言い方には少し抵抗があるが、わたしの主殿はダーク様だ。直接的な攻撃が効かないのならば特殊な攻撃をするしかない。そこでまだ練習中の闇の力を使ってみたという訳だ。賭けのつもりだったが、どうやら私の勝ちの様だな。」


 まずいなコマンド、ステータスの表示を頼む。


ーー

ムーン 意志Lv.0

H99 83%

M285 89%

ーー


 あたいのHP減ったとこ初めて見た。こいつが痛みか、こいつが…



 死ってヤツを目の当たりにした恐怖か。



(あっはっはっはっは!!!)

「っ!何がおかしい!」

(こんなにドキドキしてワクワクしたのは初めてだよ!これが本当の駆け引きってやつか!あたいの魂が…燃えてきた!行くぞ!)


 あたいは持てる全ての力を使ってシャドウに立ち向かった。


(だりゃっ!せいやっ!)

「甘いわ!はあっ!」

(ぐあっ!)


 けど、少しずつ押され始めてついにはHPは30%以下になった。


「どうしたムーンよ?息が上がっているぞ?」

(へっ!まだまだ、半分も、出しちゃ、いねえよ!だああああっっっっ!!!!)

「ぬおおおおっっっっ!!!!」


 けれど、攻撃を受ける度にあたいに眠る魂全てがあたいの声に応えるように鳴動していた。


ーー

 ステータスに『ソウル』が解放されました。

 SPソウルパワーが使えるようになった!

 さいだい霊魂が890Pあがった!

 固有スキル【れいこん】を覚えた!

 とくぎ【ウェイクアップⅧ】を覚えた!

ーー


 れいこん?なんか分かんねえけど…


「ものは試しだ。」

(ぬおおおっ!)

「【赤熊の一撃】!おらあっ!」


 身体の奥から沸き上がる何かを纏って斬った。一瞬、何かが頭によぎったがそれを気にしてる場合じゃない。あたいはすぐにシャドウの首に爪をあてがった。


「ぐおっ…まさかこれほどまでの強さとは…」

(勝ちか負けかはっきりしろ!)

「わたしの勝ちだ。」

(へへ、そうか…よ…)


 慣れない力を使ったせいか、思った以上に負荷がかかって気絶してしまった。

 ちくしょう、あたいの負けだな…



 目が覚めるとシャドウの家の天井が見えた。腕を見ると手厚く治療が施されていた。

 どれくらい時間が経ったんだ?


「起きたかムーン。」

(どういうつもりだい?)

「たとえ倒れた者が敵でも手を差しのべよと言われているのでな。お前が寝ている間に主殿が来られた。」

(っ!?マジかよ!)


 くっそー意地張って起きてりゃ顔を拝めたかもしれねえのに…あたいとしたことが、やらかした。


「主殿がこれをお前にと、ただし『究極の闇』に気をつけろと言っていた。」


 そう言ってシャドウが渡したのは黒い石のようなものだった。


(こいつは…『やみのかけら』!ダーク、一体どういうつもりなんだ?)

「それはどういう物なんだ?」

(あんたにゃ関係ねえ。)


 やみのかけらってのはダークドラゴンの力が込められた『究極のくびかざり』の欠片だ。今はダークが肌身離さず持っている物のはず。使うとダークドラゴンになれるけど、それに相応しい心と身体を持っていなければ闇に呑み込まれてしまうらしい。

 あたいなんかにそんな心と魂があるようには思えないけどなあ…まあ会いに行くわけだし今は分からなくていいか。コマンドがしっかり記録してるはずだし。

 収穫はこれだけか、もうここに用はないな。


(飛んだ無駄足だった。あたいは帰るじゃあな。)

「何を言っている?私も行くぞ。」

(何でだよ。)

「私は力を示せと言ったはずだ。力は十二分に分かった。」

(マジかよ!?)

「騎士に二言はない。」


 シャドウによると既に他のドラゴンたちは村総出で町に向かったらしい。飛んでいる間に居るドラゴンたちにも声をかけてくれるようだ。戦力としては申し分ないだろう。


(あ、報酬どうするか…)

「見合った報酬をくれれば支払いはいつでもいい。」

(そりゃ助かるよ。急ぐよシャドウ。)

「ああ、クエスト開始だ!」

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