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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW LEGEND
53/99

52.ノックダーラの町

 僕たちはそのまま町に入った。町は活気がある…訳じゃない。でも少しずつだけど復興も進んでるみたいだ。


【観光気分とは景気がいいねえ、まともな道具があればいいんだけど…】


 そう今日は道具屋で薬草など道具を買いに来たんだ。

 まあ新しい町に着けば武器や防具を買い揃えて、宿屋で休息を取るのが王道だけど昨日はぐっすり休んだし武器や防具はクリスタがあるからいらないので全部横目に通り過ぎて行くだけだけどね。

 正直言えば不必要だと思うけど念には念を…ね。


【今の我々に必要なものは魔力の回復をするポーションと状態変化を治す薬品なのだ。しかしこの惨状だ人々が無事でも需要と供給が間に合わず、入手するのは難しいだろう。】

 

 確かにこれじゃ店どころじゃないもんな物価も相当高くなりそうだしどうしたものか…

 適当に歩いていると街の大きな通りに出た。人が通ったり馬車が通ったり荷物を抱えて街を出る人もいた。

 大通り沿いの家にはまだスタンピードのときの火種や焼け跡が残っていたりもしていた。


(相棒、そう気を落とすな。あたい達も頑張ったんだヨクトが走り回ってくれて被害も最小限に食い止めたんだ。………話題を変えよう、湿っぽくなった。とりあえず街の中心に行くよ、人が多い場所には物も集まるかな。)


 ムーンがヨクトの名前を出すとすごく寂しそうな顔になった。すぐにそっぽを向いてしまったけどムーンですぐに顔に出るから。


「うん、人も多いから気をつけて進もう。」


 口にはしなかったけどムーンは僕の思っていることが分かるからあまり多くは言わないようにしよう。僕は馬車の横を静かに歩いた。

 町の中央には僕たちとエクサが戦ったあの広場があった。みんなで立ったあの場所、エクサをヨクトと一緒に貫いた場所、ヨクトが自分を犠牲にして自爆した場所、それを見上げた場所…その場所に立つとあの時の記憶が鮮明に思い出された。


(相棒、一人で泣いてたら何かあったと思われちまうぞ?今日の目的を忘れるなよ。)

「あっ、ごめんごめん。」


 いつのまにか泣いてたみたいだ。僕はすぐに涙を拭った。


(まったく、あんたはすぐに感情が出るからなちょっとは自粛した方がいいよ?)

「そう言うムーンだって、姿が見えないからって感情が動きに出てるからね。お互い様だよ。」


 笑ってごまかしたけど正直に言ったらやり直したい気持ちでいっぱいだ。

 誰にも死んで欲しくなかったのに自分はまだまだだ。もっと強くならないと。


(思い詰めてるとこ悪いけど、今日探してるのは あの店なんじゃないかい?)


 ムーンが指差した場所を見るとそこには羽とペンが書かれた看板が置いてある店があった。あれが道具屋の目印らしい。自分達は店に入った。


 店の中は質素できちんと掃除されていて瓦礫や砂はひとつもなかった。でも…

 商品棚には一つも商品がなかった。まだ再開していないのかな?そう考えていると店の奥から誰かが出てきた。


「いらっしゃいませ!ごめんなさい、お店まだ再開してなくて…お昼には再開すると思いますのでまた後程こちらに来ていただけないでしょうか?」


 出てきたのは髪が茶色い若い女の人…スタンピードのときに助けた人だった。


「…また来ますね。」

「またのご来店お待ちしてます!」


 自分はそのまま店を後にした。


(元気そうだったね、助けたかいがあった。どうする?入手ルートは手に入れたし、昼までまだ時間がある。せっかくだし冒険者の酒場に行ってみるかい?)

「酒場?」

【正式名称『冒険者ギルド』。魔物の討伐や素材の収集、護衛など様々な依頼を受注、冒険者が依頼を受注できる施設だ。】


 へえ、大体どのファンタジーな小説にも登場するギルドってやっぱりこの世界にもあるんだ。


(ともかく行ってみるよ、あたいも久しぶりにゾクゾクしてきた。)


 ムーンが口角を上げてニッと笑った。これってクセなのかな?まあムーンが嬉しそうならいいや。


 ギルドの位置はすぐに分かった。鎧や武器をそうびしている人間がある一定の方向に向かっているからだ。それについていくと言われた通りにお酒の看板が吊るしてある大きな建物があった。


「大きい…」

(あんまりキョロキョロすると不審者みたいに思われるよ?入ったら目元を隠して真っ直ぐカウンターに向かいな。)

「分かった。」


 両開きの扉を堂々と開け放ち、真っ直ぐカウンターに向かった。カウンターには制服を着た角がある種族の女の人だった。


「いらっしゃい、ここは出会いと別れの酒場、ノックダーラの酒場だよ。今日はどう言ったご用件で?」

「冒険者になりたいんだ。ここで登録できる?」

「…登録には実戦で強さを確かめなくちゃいけない。君にはまだ早いんじゃないか?」


 …仕方ないだろう擬人化を使ったら160cmくらいだったんだ。もとの世界の海外から見たらまだ子供くらいの身長なんだ。それに顔立ちも子どもっぽいし、聞かれても仕方ないだろう。


「大丈夫、鍛えてますから。」

「…どんな大怪我してもこっちは責任取らないからね?」

「うん。」

「…そうか、じゃあこっちに来て。」

 実戦…一体どんな相手なんだろう?

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