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転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
A NEW HERO
43/99

42.煩いの休日

 僕が冒険を記録し始めてから地球じゃ1年か…短いようで長い1年だなー。今日はどんな1日になるんだろう?

今日も良い朝日と共に勇者は起きた。


「おはようヨクト、よく眠れた?」

[…我は寝ないと前にも言ったぞ?]

「あ、そうだったねごめんごめん。」

(なんでこの日になったらいつになくボケるんだよ…)


 この者が本当に勇者なのか、我も不安になってきた。そんな者についていく相棒…やはりすごいな。ドラゴンとは心が広い。


[ムーンよお前の心中察するぞ。]

(分かるのか、あんたも苦労人だねえ。)


 やはりムーンは我とは違う何かを持っている。このフワフワしたものに一体どれだけの経験が詰まっているんだ。

 今日1日は休息を取ることになった。勇者によれば『僕はブラックじゃない』らしい。我にはよくは分からなかったがムーンの説明では7日に一度はこの日があり、長い冒険で疲れた心身を癒し明日を生きるために今日は『サボる』という名目だ。

 『サボる』?やはり勇者の考えることは我の思考では追い付かない。

 まあ、基本的に好きなことをしても良いと言うので、ニホントウの扱い方をコマンドに教えてもらうことにした。


【そうだ左足を引き、刀を真っ直ぐ持ち、正面を見るんだ。それが全ての基本となる構えだ。素振りを10本やってみろ。刀を真っ直ぐ振り上げ、右足を先に出し、左足をそれに引き付ける。そして…】


 コマンドのレクチャーは完璧に等しい。動きの悪い所を一つとして見逃さず、自然なクセを正してくれる。


[我の少年時代にもお前のような師匠が居てほしかった。]

【何を言う。我も始めから全てを教えられた訳ではない。この刀については勇者の記憶からの情報が全てなのだ。我は情報が無ければお前に教えることもこの刀を作ることすらできなかった。結局は他力本願、我はただの情報の塊に過ぎないんだ。】

[それでも、我はお前から教えを請いたい。情報しかないからこそ分かることだってあるはずだ。教えてくれ、その真髄まで。]

【…我が教えることは勇者の記憶にある剣術と世界にある剣術を複合し、補完したものだ。完全とまではいかないが、我の持てる全ての力を使おう。】


 我に押し負けたかのようにコマンドは答えた。


【お前のその眼、やはり勇気が宿っている。今まででお前の様な清んだ瞳を持つ終族は初めて見た。…うむ、しんみりした話はここまでだ。さあ刀を構えろ、修行はここからだ!】


 そこからコマンドは鬼のようになった。しかし、我に合わせて構え方を変えたり特訓メニューを変えたりと様々な手を尽くしてくれた。


ーー

 ヨクトは武器スキル【抜刀術】をおぼえた!

 とくぎ【居合い斬り】【袈裟斬り】をおぼえた!

 特殊スキル【武士道】【心技体】をおぼえた!

 特殊効果【刀装備時こうげき力+10】【刀装備時武器ガード率+15%】をおぼえた!

ーー

 どうやら新しい力をおぼえた様だ。抜刀術か、なかなかに面白い。


【お前の特訓は新しいスキルを生み出した様だ。世界でたった一人お前だけのスキルだ。】

[我だけのスキルとは?]

【そのままの意味だ。お前はこの世界で【抜刀術】を覚えた初めての者となったのだ。】


 なんと…!この力は我が初めて覚えたと言うのか?


【そのスキルを育て、皆に広げることが作りし者の努めだ頑張れ。】


 随分と適当に任されてしまったが、初めての者か…これから伝えて行かなければならないな。しかし焦る必要もない。ゆっくり、着実に広めればいい話だ。しかし…本当にそんな者がいるのだろうか…流れに身を任せて勇者たちを見てきたが、本当にここままで良いのだろうか?我はそもそも勇者を終わらせに来たんだそれで…今は一体何をしている?


【悩んでいるな?】

[分かってしまうか。]

【任務でここに来て敵に心をゆるしてしまった。葛藤するのも仕方のないことだ。ならば、お前の欲望のままに生きるといい。】

[欲望のままに?]

【とあるメダルを持つ王は言った。目の前で起こっている事に一生懸命になるしかない、小さな命を守るために…とな。その王は無欲に等しく、他人を助けるために自らの命を犠牲にすることもいとわなかった。手が届く所で、民を…仲間を守るために。難しいが、何でもやろうとすれば何もできない。勝てる戦も勝てず、救える命も救えない。お前はなりたい自分になれているのか?】


 なりたい自分…我は一体何になりたいんだ?漠然と生きてきてなりたい自分など、一度も考えたことがなかった。


[…すまないそれについての答えは今すぐ出せそうにない。]

【生きてきていれば必ず答えは出る。我らの道はまだまだ続いているんだ。ゆっくりでいい。ただひたすら前へ進め。】


 ただひたすらか…我も我が思うようにやってみよう。上手くいくかは分からないが。


【我であれば力になろう。】

[何故そこまで我に協力するんだ?]

【さあ何故だろうな。しかし、お前とは何か似たモノを感じるんだ。】


 確かに意識はしていたが我とコマンドはあらゆる点で共通、類似している点がある何故だ?謎は深まるばかりだ。


(あんたたち!いつまでこんなとこにいるんだい?昼飯も食わねえで心配してたんだぞ?)


 気がつくとムーンが来ていて、空を見ると日が沈みかけていた。


【すまないな、時刻の確認を忘れていた。ヨクトよ、戻るぞ。】

[あ、ああ分かった。]


 我はムーンと共に拠点まで戻った。

 腑に落ちない点はあるが、今は目の前のことで精一杯だからな。

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