40.色々と情報が多すぎて
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さてさてと。何やら色々とあってなんとか説得には成功したわけだけど…大変だったよ。
(半分以上あたいのおかげだけどな。これカシにしとくから。)
はいはい、必ず返すよ。
「ここまで進んできた僕たちだけど、色々と情報が多すぎて何が目的だったか忘れそうになるときがあるんだ。」
(リーダーが目的を忘れてどうするんだよ。)
自覚してる。…つもりなんだけどなあ…クエストが次々舞い込んで来るから覚えきれないんだ。
(それじゃ自信ねえってことだろ。ったく…まあ、あたいもあんたのこと言える立場じゃねえけど。)
「とほほ…勇者失格だよ…」
「そんなこと無いわよ勇者様。」
【全てが完璧というのが勇者でもないだろう?情報については我に任せてもらおう。】
「コマンドって、不思議よね。昔から知ってたみたい…知らないけど。」
どっちつかずだなあ…
【それでは検索を始めよう。】
僕たちを中心に青いドームが展開した。自分とムーン、アクアは驚いていなかったが、他のみんなはものすごく驚いていた。
「何だこれは、また敵襲か!?」
トルクスはメント姉弟をかばうように立った。
【案ずるな。我は勇者のなかまだ。姿が見えないのは許してくれ。今はお前たちの内側から話しかけている。勝手なことをして悪いが、勇者たちだけがボーッと空を眺めているのはお前たちに不信感を与えかねないと思い、このような方法を取った。】
[バカな!人間の世界の技術がここまで進歩しているとは…!]
ヨクトには変な誤解を与えてしまったみたいだな。コマンドはいわゆる人工知能みたいなものだ。OKコマンドとかHEYコマンドとか言えば出てきてくれるし。人間の技術っぽいといえばそれっぽいけど、でも前は生きてた訳だし…ややこしいからいいか。
【それでは本題に戻ろう。我々が今受けているクエストはメインクエストが1件、サブクエストが3件だ。順を追って確認しよう。まずはメインクエストについてだ。】
空中にゲームの画面のような表示がいくつも浮かんで、スライドするように動いて残ったのは3つだった。まとめればたったの3つだったんだな。
【ああメインクエストとは、勇者の旅に置いての中心となるクエストのことだ。現在は『勇者を悪魔と呼ぶ属性竜たちの謎を解き明かすために属性竜たちに会おう。ブレスによるとアイスは冷涼の教会にいるらしい。冷涼の教会に行こう。』というところだ。】
属性竜たちとの関わることがメインストーリーらしい。自分が生きる世間の理由は終王を倒すことが目的なんだ。まあ、自分としてはディレクに文句言いに行くのが最終目標だけどね。
【次いでサブクエストとは、勇者の旅とは関係のないクエストのことだ。まあ、他の者の助けにはなるクエストだな。現在は『獣人の姉弟を冷涼の教会に連れていこう。』と『トルクスから奴隷商人のアジトを聞き出す。』と『ヨクトにこの世界を見せる。』という3つだ。】
なんかサブストーリーの評価悪いな。寄り道してる暇があるならさっさと進めってことなんだろうけどいいじゃん別に!誰かの助けになるなら!それが勇者ってもんでしょ!
【と、これらが現在の我々だ。ここまでは分かったな。それでは次に『現在解明されていない謎』について話そう。一部我の憶測が入るがそこは了承してくれ。】
「憶測?コマンドってそんなに長生きしてるの?」
【ああ、我は転生を何度も繰り返していてな。時代と共に見識を深めているのだ。いつかの未来で役立つと思ってな。】
なるほど、そういうことだったのか…それって勇者よりすごいよね。
【話を戻そう。まず一つ、なぜ勇者があらわれたのか。数十年も終王の支配が続いていて村や町がいくつも破壊されたというのに、なぜこの時にあらわれた?仮説を立てるなら、勇者を背負えるほど強い者があらわれなかったか、異世界の転生者でなければならなかったからかだな。】
確かに。今のところは情報が少ないから何とも言えないけど、コマンドの仮説は的確だ。それに何度かディレクには会ったことがあるけどなにも聞けずじまいだし。一番有力なのは転生者じゃないとダメだったからとかかな?
【二つ、月光竜のシャインが勇者のことを悪魔と呼ぶことだ。シャインは優しく、幻想でしかなかった勇者があらわれることを他の属性竜たちよりも信じていた。仮説を立てるに何かに取りつかれたかあるいは…偽物か、だ。属性竜は洗脳に強い耐性があるから心を操られている可能性はない。だがシャインは極端に身体が弱いんだ。】
シャインは属性竜たちをまとめるリーダーだからとても強いと思ってたけど意外だな。ってことは、頭が相当キレるってことだ。
【共に行動しているダークが居るが、守るのも限界がある。ちょっとした隙に取りつかれたりすりかわったりしても分からないかもな。ダークは目が見えないから気配を察知する能力は誰よりも強い。範囲で言えば我々のことも探知しているだろう。敵はそのシャインの気配を抹消できるほどの力と強さを持っているということになるな。】
「それはー…由々しき事態だね。もしその仮説が正しければ、世界の安保にも関わってくる。シャイン以外の属性竜たちとも連携を取らないといけない。でも、あいつらは伝書ドラも行けない様な場所にいる。どうすれば…」
おっと、ブレスの声色が本気になった。伝書ドラ…伝書鳩みたいなのか。
【ふむ、それなら勇者に任せればいい。属性竜は勇者の『超進化』と何らかの関連があるのだ。調査をするためにも属性竜たちと関係を持った方が良い。属性竜の力は勇者をより強くし、戦術の幅を広める。確固たる力を得るためにもな。】
そうなったら、アイスを探す旅にも繋がるな。
[それでは、今の一番の目的地はその冷涼の教会という場所の訳だ。]
「そうなるね。一番用があるしメントとトルクを安全な場所に送り届けるためにもね…」