表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら勇者なドラゴンでした(α版)  作者: ふらあま
伝説のはじまり
12/99

12.【スパルタ教育】

(やっぱそのカバン、便利だねえ。)

 ムーンはふくろに荷物を詰めこんでいる自分を見ながら言った。


 そう、この【ぬののふくろ】『種類』であって『個数』ではないんだ。

 つまり、全部で20種類まで入れられる。

 そんな訳で中身は【やくそう】や【魔法薬】などの回復薬、【ネムリ粉】や【メザメ粉】といった補助薬、【干した肉】や【飲める水】とかの食料、【かがみいし】や【ミスリル】等の素材に分けられている。


 素材は魔物を討伐したときに落としたものだ。他にも【ちいさな骨】とか【木の鞘】とかが入ってる。使い道はないけどどこかで売ったりすれば路銀の足しぐらいにはなるはず。

 食料は最初はもっと少なかったけど、備えあれば憂いなしということで、お供え物をあるだけ全部出して用意した。

 薬はアクアが作ってくれた。でも、アクアは薬草の在庫が無くなったと頬を膨らませて怒っていた。でも【薬草の種】ももらったし迷惑かけてばかりだなあ。

 にしてもこのカバン、全然重くならないんだ。

 魔法の力ってスゲー!


(何やってんだよ早く来い、ころ…)

 スミマセン。


「ねえアクア、聞いておきたいことがあるんだけど、その杖ってどこで手に入れたの?すごく手入れされてるし、ここで拾ったりしたような物じゃない気がするけど…」

 ここの魔物はさほど強い訳でもないから結構初期のダンジョンだろうし、あんな強そうな武器が落ちてないと思う。


「あっ、えっと…人間が落として行ったの!身なりじゃ冒険者みたいだったけど、そんなに私が怖かったのかしら?」

 アクアが赤く光った。

 ムーンを【みやぶる】したときと同じだウソをついてる。

 でも何で…


(そ、それより準備出来た?早速出発よ!)

 あっ、ちょっと待ってよアクア!

 自分は急いでカバンを持ってアクアを追いかけた。


「着いたわ、ここよ。」


(マジかよ…)


「本当にここを登るのか?」

 そこは見上げると青い空が顔を覗かせている縦穴だった。

 けっこうな底にいるんだなあ。所々横穴も見えるし、各階層への連絡口といってもいいな。


「ええ、地上に脱出するならこの縦穴しかないの。私たち飛べないから、外周にある足場を通らなくちゃいけないのよ。」


(あたいたちなら、こいつに【のりうつる】して、【竜飛翔】すりゃあ飛べるし…こいつには【ストーンクライム】もあるのに。)


 たしかにそうだ。でも自分で飛びたいところもある。だって、【のりうつる】された後ってちょっと違和感があるから。ほら、気がついたら景色が変わってて、なんか戦いづらいじゃん。


「でも、下降気流が強くて、【風やぶり】のとくぎを覚えてないと飛ぶことも壁に張り付くことすら出来ないの。」


「(【風やぶり?】)」


ーーーー

【風やぶり】(補助)

 風に逆らい、突き進むものが覚えるとくぎ。

 ダメージを負うが、風の抵抗を受けなくなる。

ーーーー

 何それ、と思うとコマンドが答えるように説明してくれた。


「(なるほど。)」

 使っている間だけ効果があるみたいだ。だけどこれじゃ捨て身と同じだな。


「じゃあ、行きましょう。」


(ん?アクアは行かないんじゃないのかい?)

 あれ?そういえばそうだ…


「私も行くの。ずっと洞窟暮らしで寂しかったし、外の景色も久しぶりに見てみたいし!ホントは一匹でも行くつもりだったけど、ちょうどいいから一緒に行こうと思って!」

 え、笑顔が眩しい!でもどうして寂しげなんだろう…


(バカやってねーでさっさと行くぞ。あたいの見立てじゃ、一日ありゃ地上に着くだろ。)


五時間後…


「まだつかないの?」


(あったりめえだ。そんな簡単に終わってたまるか!ったく、ドラゴンのくせに体力がねえな。)

 仕方ないじゃん。だって生まれて間もないもん。前世がうらやましいよ…


(弱音吐いてる暇があるなら【ティアル言語】覚えろ。あたいが教えてやる。)

 ふえーん、スパルタだよー。


ーーーー

 ムーンはスキル【スパルタ教育】を覚えた!

ーーーー

 ムーンは地獄の鬼教官になった。


半日後…


ーーーー

 ????はスキル【ティアル言語】を覚えた!

 スキル【限界に挑む】が【極限に挑む】に変化した!

ーーーー

 燃え尽きたぜ…真っ白にな…


(燃え尽きんなバカ。)


「ホントに真っ白ね。」

 疲れた…スキルも覚えたし、アクアが何て言ってるのかもよく分かるようになった。歩きながらだし、死ぬかと思った。

 自分がようやく戻って来た頃に、どこからか唸るような音が響いた。


「ん?ムーン、なんか言った?」


(いや、何も…何かあったか?)

 あれ?ムーンが何かしたんじゃないの?


(あたいがそんなにトラブルメーカーだって言いたいのかい?)

 いやいや、別にそう言うことじゃ…


「待って…洞窟の魔力が異常に乱れてきてる!」

 アクアがそう言った直後に底から凄まじい地響きが迫ってきた!


(おいおい、こいつはまずくねえか!?)


「大変…このままだと噴火する!急いで脱出するわよ!とにかく上へ!」


「分かった!」

 地響きが鳴り止まない中、自分たちは走り出した。あ、ありえなーい!


(バカ言ってねえで走れ!)

 はひぃっ!やっぱりムーンはスパルタだよー!

令和が始まりますね。平成の日最後にも投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ