ファンタジー予定
「明日も畑やんなきゃなー。」
わたるはベットに体を投げ出しながら一息ついた。朝から牧場の牛と羊の世話をしていた。わたるの家の隣には20ヘクタールぐらいの手ごろな牧場があり、乳牛、羊毛用の羊を飼っている。わたるは一人で牧場主として働いていた。明日もやらなければいけないことは山ほどある。
「今日は羊のミギーが大きくなっていたな~かわいかったな~。」
「そうだ、明日みんなの世話がひと段落ついたら、ミギーのために鈴付きの首輪を買ってこよう。」
買い物に適した町はそれほど多くはない。しかもわたるのいるポミオス平原の近くと言えば候補は絞られてくる。牧場から東に位置したピッポタマ街が一番買い物客でにぎわう。ピッポタマ街は商業の街として有名だ。主な工芸品は金属品、鎧や武器といったものも一式そろえられる。そのため、街には観光客に交じって武器を調達しに来た戦士たちもちらほらいる。わたるの探している首輪も町の一角の露店に用意がいくつかあるはずだ。
「それにしても、あれはなんだったんだー?」
わたるはわきのウッドボックスの上に置いておいた腕輪を拾い上げた。昼間牧場で牛たちの世話をしているときに拾ったものだ。拾ったといっても道端に落ちていたのではなく、飛んでいた鳥が腕輪を落としていったところだった。誰かの落し物で鳥が勝手に持って行ってしまったのかと思っている。
「誰かの持ち物だろうけど、名前は…MAR… まー なんだろう?途切れてるな。」
「ま!持ち主もそのうち見つかるっしょ!帰るべきものは持ち主に帰るっていうしな。とりあえず明日はミギーのために昼すぎにピッポタマ街に歩いていってみるか。」
夕暮れの時間。わたるは夕食の準備に取り掛かることとした。