表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
か細い記憶の片隅で  作者: ハーモニー
発症
4/4

ここから始まり

 目を覚ますと、真っ白な景色が広がっていた。これは天井だ。

 つまり今僕は、仰向けに横になっている。なぜだろうか。

 ……思い出した。僕は問題用紙をみたときに、そこに書いてある文字が何なのかよくわからなかったのだった。一瞬でパニックになり、目の前が暗くなっていったところまでは覚えている。恐らくその後、病院に運び込まれたのだろう。

 そんなことを考えていると、見慣れた顔がベットとベットの間を仕切るカーテンの隙間からのぞいた。しかしすぐに慌てた様子で病室を飛び出した。母さんだ。

「……なんですよ!目を覚ましているんです!」

 この声も母さんだ。

「よかった。このままになってしまうのかと心配でした」

 聞きなれない男性の声も聞こえる。

 すぐに母さんと医者らしい男性がカーテンを勢いよく開けた。

「本当に良かった!ずっとあなたが目を覚まさないんじゃないかと思って!いきなり倒れたっていったい何があったのよ!?」

「気分はどうですか?体におかしなところはありますか?」

 答える隙もなくいろんな質問をされると混乱しそうになる。どこから答えていいのかわからない。

「お母さん、落ち着いて。まずは私から浩介君に質問させていただけますか?」

 医者はいたって冷静に、ゆっくりと僕に話しかけてきた。

「浩介君。君は2月の10日の朝9時ごろに突然倒れたんだ。それは覚えているかい?」

「はい、覚えています。」

「何か倒れる前兆のようなものはありましたか?」

 その質問に答えるためには、このときまで誰にも話していなかった記憶力の低下について親がいる前で話さなくてはならない。どんな顔をされるのか予想もつかなかったがこうなってしまったらすべて話すしかない。というより、本当は誰かに話したかった。不安でしたなかったから。

「……これがこの一週間で僕に起こったことの全てです」

 今までのことはすべて話した。いや、本当にすべてだと良いのだけど……

 しばらくの間、医者は腕を組んで何かを考えている様子だった。名札には「脳神経外科医 内田 大地」と書いてある。今はなぜか文字も読めるし、意味も分かる。それはすでにさっきの話の中で彼にも伝えてある。

 母親は何も言わないが、ショックは受けているようだ。

 突然、内田先生が思い切った口調でこう言った。

「医者としても信じがたいですが、それは若年性アルツハイマー病かもしれません」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ