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か細い記憶の片隅で  作者: ハーモニー
発症
3/4

テスト当日

 僕は不安でしょうがなかった。こんなに自信がないテストは初めてだ。もしかしたら、生まれて初めて必死に勉強したかもしれない。しかしそれでも勉強した翌日には内容が半分は飛んでしまうのだった。

「テストはじめ」

 その掛け声と同時に、周りからは紙をめくる音、シャープペンシルを動かす音、ため息、咳払い、たくさんの音が聞こえてきた。今まで気づかなかった。テスト中はこんなにやかましいものだったのか。

 どうして今までは気づかなかったのだろうか。それはきっと、僕はきっと、その音の波に乗ることができていたからだ。

 僕はいま、完全に取り残されている。周りの音が僕から遠ざかる感覚があった。しかし、周りのペースは周りのペースだ。僕は僕のやり方でやればいい。


 過去に勉強を頑張らなかった僕にとって、このタイミングにこんなことになってしまったのは不幸としか思えない。今更勉強の仕方を誰かに聞くわけにもいかないだろう。

 まず試したのが、教科書を何度も繰り返して読むこと。一度しか読んでこなかった教科書に何度も真剣に向き合った。

 でもだめだ。そもそも教科書の文章の書き方はつまらないんだ。ただ何度も読んだって頭に何も入ってこない。

 じゃあ、線を引いてみよう。大事なところだけを抜き取って、最低限のことだけでもまずは覚えよう。これは少し苦労したが、効果はあった。何に苦労したかと言えば、どこが大事な箇所なのかを見分けることだ。だって、全部大事な気がしたから。それでも単語だけを抜き取り、その単語をなんとか自分なりにつなげて理解した。

 以上のことは、僕にとっては大げさすぎる作戦だ。でももしかすると、他の人たちは当たり前のようにやってきたことなのかもしれない。

 勉強って、なんて面倒くさいんだろう。

 でも、少し面白くも感じ始めた。今まで全く何も感じなかったテストや勉強に対してこんなに苦労して、頑張ろうとしている自分がいる。自分、ちょっとかっこいいんじゃないか。


 さて、問題を解こうと裏返された解答用紙と問題用紙を表にした。あれだけやってみたんだ。もしかしたら、いつもと同じような点が取れるかもしれない。

しかし、そんな希望は一瞬で打ち砕かれた。驚いた。そこに何が書いてあるのかよくわからなかった。

 頭の中は真っ白に……。


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