無職が騎士に!?
不景気が続くこのご時世、なかなか安定した仕事につくことは難しい。
そう俺、東田 勇樹は、高校卒業後、大手企業に就職するため試験を受けたが合格することはなかった。高校生の時は、なんにでもなって立派な社会人になれると思っていたが…今思うとあの時の俺の考えがあまかった結果が今につながったのだろうな。あちらこちらを転々と試験と面接をしたが必要とされなかった。友人はみなそれぞれの企業に就職してるなか二十歳になっても何の仕事にもつけていない。惨めなものだ。そんな俺は居酒屋でアルコールに弱いのに生ビールを豪快に飲んでいた。
「畜生、何でどこも俺を雇ってくれないんだ。学歴がないからか、それとも就職志願先のレベルが高いからか…クソッ」
話し相手がいないのに口から愚痴がこぼれる。私はたった二杯でデロンデロンに酔いつぶれふらふらと覚束ない足で居酒屋を出て自宅に向かった。
のだが…俺はその後の記憶が無い。そして今私はこの現状に恐怖を感じている。身体のあちこちが死ぬほど痛くて身動きがとれずふかふかのベッドに寝かされている。まるでお屋敷の一室ような光景が広がっていた。高そうな家具があちらこちらに置かれている。自分の知り合いにこんな所に住んでるような人の心当たりがないのでたの状況は居心地悪く恐ろしい。どうなってんだ。頭のなかが謎と恐怖で一杯に膨らんで頭痛してきた。心拍数も増すしどうなるんだ。
コン、コン、
扉を叩くノック音が響いた。
誰か入ってくる。誰なんだ俺をここに連れてきたのは…
扉はゆっくりと開かれた。扉から出てきたのは綺麗なドレスを身にまとった小柄な少女だった。
その少女は近づき顔を俺の顔真っ正面に寄せた。
「よかった。目を覚ましてくれた。結構ひどい出血だったから死ぬんじゃないか心配だったんですよ。私の治癒魔法がなかったら死んでましたよ。」
彼女は嬉しそうな顔をして俺を見つめている。その笑顔を見て俺は不思議な事に恐怖がどっか飛んでいった。
まてよ、今彼女は最後妙な事を言ってなかったか。まあそんな事はどうでもいい。まずは状況を把握するべきだよな。
「ここはどこでお前は誰なんだ?」
少女は笑顔で答えた。
「ここは北西の王国ナディリア、私はこの国の王女ラニア。森の散歩中に貴方が血を大量に流して倒れていたのを見つけて付き添い人に頼んで私の屋敷まで連れてこの客室に治療して寝かしたのだけど。余計なお世話でしたか?」
かなり信じれない話で俺は沈黙した。異世界なんて漫画や小説などのたぐいでの話しだろ。異世界が存在するなら行ってはみたかったが。
俺は傷だらけの身体をベッドからお越し窓越しから外を覗いた。
ラニアが言っていることは嘘偽りのない事実だと理解した。
「この国…この世界について詳しく教えてくれないか。」
俺は興奮して少女に問う。
「変な事を言う浪人ですね。…いいですよ、今この世界で何が起きてどうなっているのかを教えてあげましょう。」
ラニアは教えてくれた。この世界が魔王軍の攻撃により幾つもの国が滅び支配されて世界が終焉を迎えている事を。
「それでなんだけどなにも目的がないのであればこの国の騎士になって貰えませんか?若い男手が足りなくて困ってて…どうかな?」
俺はこのお願いにどう答えればいいか少し悩んだが答えは出た。
「な…いきなりだな。まあ特にすることもないし騎士になってやるよ。っで騎士は基本何すりゃあいいんだ?」
騎士になるか…なんかわくわくしてきたぞ。
俺はこの世界で無職から騎士という仕事につくこととなった。
だがこの後、騎士になった事を後悔することになる。
「基本この国の騎士の勤めは魔王軍との闘いの被害でボロボロになってる建物などの修理。そして国を敵襲から防衛すること。まあ、この国について詳しくないようですし。我が国優秀のメイド長に街を案内するよう命じるから…空いてる物置部屋があるからメイド長がくるまでくつろいでて。私は王女の仕事がたくさんあるのでこの辺で。」
王女は急ぎ足で仕事に向かい、すぐに姿が見えなくなった。
さてと物置部屋で言われたとうりに待機するか。っと思ったが今更自分が重要な事を聞き忘れていたことに気付き顔が真っ青になった。
「物置部屋の場所聞き忘れて締まった…どうする俺」
少し考えたが大きな屋敷内から一室を見つけるのはかなり困難だ。回りに使用任が一人も見当たらないので、ひたすら全ての扉を開いて物置部屋を探すことにした。
「よしこの大きな扉はきっと物置部屋だ。うん絶対そうだ。」
俺は勢いよく扉を開いた。
「ミッションコンプリート~……あっ…ナイススタイ」
目の前に緑髪で短い髪の女性が純白の下着を身につけているのを目にするや、俺は即効殴り飛ばされて意識を失った。
うっ…
「やっと目を冷ましたか。この変態、不審者、犯罪者がっ…王女の命令さえ下ればその首をはねてやったのに。今首と身体が繋がってる状態で目を冷ますことができたことに感謝しなさい。」
彼女は冷たい目をして俺を睨み付けている。
「あれは事故なんだよ、まあ俺は色欲のない紳士ではないが。それでも俺は純白の下着を身につけているエンジェルを拝めた事に感謝しつつわざと見たわけではないことを神に誓おう。…変態、不審者、犯罪者!?善良な俺に失礼だろ。」
彼女は溜め息をつくと右手を強く握りしめた。
「善良だと…鼻血を流して興奮してるお前がか!?笑わせるな。今すぐ処刑してやる。遺言があるのなら聞いてはやるぞ塵くず」
俺はすぐさま反論した。
「ちょい待てっ、この鼻血はさっきお前に殴られたから出てるんだ。ナイススタイルだったが巨乳でないお前に鼻血を流すほど興奮しねーよ。」
このあと彼女の拳が再び顔面にクリティカルヒットするのだった。
彼女は腰にに身につけていた刀を鞘から引き抜くと首もとに刃先を向けられた。
おいおいそれは洒落にならんぞ。
俺は僅かな意識を持ってその場から逃げ去ろうと試みたが。
身体は全く言うことを聞かなかった。
ああ、死亡フラグ立っちまった。俺は異世界にきて即効死んでしまうモブキャラだったのか。
俺は死ぬ事を覚悟した。
「死ねっ!!」
彼女のやいばが降り下ろされそうになったその時
「待ちなさい騎士サリス」
「この愚か者の始末をさせてください、命じてください王女ラニア様」
王女ラニアは不思議そうな顔をした。