支配
近年相次ぐ地球温暖化により、世界中にスギの木が日本を中心に大繁殖し、たちまち全世界に広がった。
また、環境悪化により、スギの木は変質し毒性を強めた花粉を常に発するようになってしまった。
スギ花粉が人間の粘膜に触れてしまった時点で、 花粉症発生率100% によりアレルギーを引き起こしてしまう。
初期の頃は、花粉アレルギーに対して市販の薬でも症状を抑えることができていたが、スギ花粉が毒性を強めていくにつれ薬は一切効果がなくなり、花粉症になってしまえば死ぬこと以外では花粉の脅威から解放されることがなくなってしまった。
花粉症の症状と言えば、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみが一般的だが、それ以外にも喉の痛みや頭痛などの症状もある。それらは治らなくなったとしても我慢さえできれば死ぬようなことではない。
だが、スギ花粉が毒性を強めることに各症状が深刻化が進み、ついには失明してしまったり、鼻水や鼻詰まりで窒息死もしくは、鼻水により毒性の強い花粉が体内に入り込み喉や内臓が炎症を侵してしまい内部から破壊されてしまう等、花粉により人々は次々に死滅していった。
さらに花粉によって死んでしまった人間を養分にしスギの木はさらに発生、花粉により死んでしまった脳を支配し、人型のスギの木として稼動し始めるのであった。
人型スギは、人間のみを襲い噛み付いたり、傷つけた箇所から花粉を体内に送り込みたちまちに花粉症にしてしまった。
気がつけば、世界中がスギの木によって支配されてしまっていた。
人類の文明は終わったかのように思われたが、わずかに生き残った人類は日の光が届かずスギの木が生育しない地下へと逃げ込んでいた。
人々は、花粉症に対して医療技術や科学技術を駆使することによって、空気中に漂う花粉のみだが、影響を受けなくなっていった。ただし、人型スギによる直接感染に対しては、一切対応できなかったため、人類は地下からできることは出来はしなかった。
またこの状態を維持するためには科学者や医者などの技術者が必要不可欠になり、この地下世界では一部の技術者が権力を所持し、技術者による支配が完成してしまっていた。
人型スギを死滅させる方法もあることにはある。人型スギの体内にあるスギ花粉をすべて死滅させれば活動停止する。しかし、スギ花粉は体中すべてに侵食してしまっているため、早い話は塵ひとつ残さず消せと言っているようなものなのである。そのため、初期の頃には大規模な放火による掃討作戦が行わた。
人々は、戦う術があると知り技術者の支配から脱しようと抗う者達も出てきたのである。だが、抗う者達はすぐに力を失っていった。
しかし、スギ花粉はそれ以上に人類に抗う進化を遂げてしまっていた。
大量の人型スギを掃討することが出来たが、スギ花粉はそれに対して即対応するために即進化してしまい、火は一切効かなくなってしまった。それならばと、凍らせたり溶かしてみたりと色々と対策を講じてみたが、その度に即進化しありとあらゆる攻撃を無効化していってしまった。
そして、人類はついには最大の禁忌である核兵器を使用してしまったのである。核の破壊力は絶大で日本全土を焦土と化しスギを死滅させることに成功した。
しかし、時は既に遅くスギの木は世界を支配してしまっているのである。海外から花粉が飛んでくるとたちまち核に即対応し即進化により、日本の大地に降り注ぎたちまちにスギの木で覆ってしまったのである。地下へ逃げ遅れた人間達はたちまち人型スギになってしまい、元よりも深刻な状態になってしまった。
そしてさらなる技術者による支配が深刻化していったのである。
この時期は花粉症がつらいです。老後は花粉症になやまされない所ですみたいです。