移民船団
地球からの移民船団が出発したのは今から400年ほど前のことであった。環境破壊、大気汚染、資源枯渇、そして昆虫の大量発生などの理由から人類は地球を捨て、宇宙の大海原へと船を漕ぎ出した。約300隻建造された大型移民船は東京23区ほどの大きさがあり、中には海と森、様々な動植物、そしてその人口は1000万人ほどであったが昆虫で持ち込まれたのはミツバチだけである。地球から観測して水があり、酸素濃度が30%前後ある惑星が候補として60ほど上げられ、そのそれぞれに大型移民船5隻で船団を組み移民しようという計画である。第27移民船団が目指すのは地球からおよそ5光年離れたレミ恒星系第4惑星シルラナで、そこまで移動するのに用いる時間は800年の試算であった。人口冬眠装置を使用するという案もあったが、長期の使用は記憶障害を起こす実害があったため見送られ、800年を24から27世代を掛けて移動する方針になった。そして丁度地球とシルラナの中間地点に差し掛かったかという1年ほど前、通信士が前方にまっすぐこちらに向かってくる機影を発見した。同じような大型船5隻からなる船団である。
初めての地球外知的生物の発見ー。それは船団内に大きな期待と混乱を巻き起こした。ある者は声高に例えシルラナへの到着が100年遅れたとしても迂回して回避することを提唱し、またある者はこちらに無い技術、文化を持っている可能性が高いので絶対に接触すべきと主張した。それは向こうの船団も同じだったようで、何度か相互に送りあった0と1の簡易画像データにて話し合いがされた。簡易画像データと言っても子供の落書き程度のものである。お互いの技術が違いすぎるので音声データはおろか映像データも送りあうことは出来なかった。船団がすれ違うおよそ3ヶ月前に、代表者が中間地点にて先に高速艇で接触するのはどうであろうか?この様な提案が双方からほぼ同時に送信された。
直接会って音声データをコンピューターに掛ければすぐに翻訳が出来るであろうし、もし相手に敵意があったならすぐ船団に知らせ回避行動を取ればいい。お互いにそう考えてのことであった。すぐに船長以下代表者5名が選抜され、高速艇が射出されたのが半年前のことである。それから3ヵ月後、ついに人類は未知との遭遇を果たした。
相手側の高速艇は巨大で、地球の移民船程度の大きさがあり、地球側の高速艇が乗り込むような形での接触となった。入り口と思われる穴が開いていく。そこに吸い込まれるように地球側の高速艇が入っていき貨物室と見られる広大な空間に着陸させる。高速艇から降り立った地球側代表者5名は、腕に備え付けられた計器を見て酸素濃度が30%あるのを見るとヘルメットを外した。しばらくすると巨大なドアが開き、地球側の高速艇よりも大きな人影が5名ほど入ってきた。彼らは同じように宇宙服に身を包み腕の計器を操作するとヘルメットを脱いだ。
昆虫型巨大宇宙人。そう表現していいであろうその容姿はあまりにも地球人とは違いすぎた。トンボの様な目、触覚、尖った口器。そして何よりその大きさは人間のゆうに50倍はあるであろう。お互いに戸惑ってはいたが身振り手振りで説明しなんとか自分の翻訳機を相手に取り付ける。地球側の翻訳機は指に取り付けるタイプだったのを強引に体毛に。相手側の翻訳機は腕に取り付けるタイプであっただろうがそれに乗り込むような形で。ほどなく昆虫型巨大宇宙人が話し出した。
「私たちはレミ恒星系第4惑星「しるらな」から来ました。環境破壊、大気汚染、資源枯渇、そして「ニンゲン」の大量発生などの理由から太陽系第3惑星「ちきゅう」への移住を目指して現在航行中です。おたくはどちらまで?」
それから3ヶ月ー。現在、地球人の第27船団とシルラナ人の超巨大船団はお互いの母星の中間地点にて交差中である。お互いの母星を目指して。