よそはよそ内は内ってよく言うけど、そのわりによその子と比べるよね
「・・・っという事情で櫛神君は今日から愁閃の生徒です。みんな仲良くするように。」
『は~い。』
先生の説明も一通り終わると、クラスの娘たちは納得のいったような、いってないような微妙な顔をしていたが、なんとか受け入れてくれたようだ。・・・一人を除いて・・・。
「私は納得できません!。」
机をバンッ!と大きな音を立てて叩きながら立ち上がり、クラス中に響き渡る大きな声をあげた娘が一人いた。
茶色のストレートで腰あたりまである長い髪の、ザ・優等生みたいなその娘は、俺をとてつもなく鋭い目で睨んできた。どうも俺はこの娘に嫌われてるらしい・・・。残念。可愛い娘なのになぁ~。
「たしかに最近オタクが力をつけてきて状況が良くないことは知っています。でも、だからってどうして男の人なんですか!?ここは女子高ですよ!私は絶対認めません!。」
なかなか筋が通ってるだけに反論できないな。
「水上。気持ちは分かるが、学園長が決めたことだ。意見があるなら、学園長に言え。」
気持ちが分かっちゃうのかぁ~。否定してくれよ先生。
「うっ!、学園長が?」
「そうだ。学園長の決定だ。分かったら座れ。」
学園長の名前が出たとたん静かになるなんて、あのちびっ子がそんなにスゴイとは思えん!
「すまんな櫛神。とりあえず席についてくれ。えっと櫛神の席は・・・っと。」
決めとけよ。
「先生。私のとなり空いてます。」
そう言ったのは、さっきの青い目の娘だった。とてもか細くて儚げな声だった。なんか守ってあげたくなる系?萌え!
「おぉそうか。櫛神、あそこの席に座れ。」
「あっ、はい。」
とりあえず席に向かうが、視線が痛い。
一部敵意が混ざってる視線から逃れ、自分の席に座ると、俺はさっきの娘に話しかけた。
「俺、櫛神琥珀。」
「知ってる。」
「あはは。だよね。」
なに言ってんだ俺。
「えっと・・・。君の名前は?」
「黒兎鏡子。」
黒兎・・・。変わった名前だなぁ。
「これからよろしくね。黒兎さん。」
「よろしく。」
なんだか無口な娘だなぁ。それとも男の俺が苦手で話しづらいのかな?
「そういえば、さっき目が合わなかった?」
「そう?」
リアクションを見る限り俺の気のせいだったのだろうか。
「違ったならごめん。気にしないで。」
「そう。」
黒兎さんとの会話はここまでで、それから俺は先生の話を聞いていた。
キーンコーンカーンコーン!一時限目の始まりを知らせるベルが鳴り響く。
「よぉし!さっそく1時限目の授業・・・といきたいところだが、今日は櫛神がいるんだ。みんなも質問とかしたいだろうし、1時限目は自習!。みんな、今のうちに櫛神にいろいろ聞いとけよぉ。」
でたよ。転校生が来ると先生がよく使う自習。「生徒のため」みたいに見えるが、ただ単に先生はサボってるだけだろ。
まぁ、俺としては嬉しい時間だけど。さぁて、どんな質問が来るのかなぁ?やっぱり、彼女いる?かなぁ・・・。それとも、好きなタイプの娘は?とか?ムフフフ。
「ねぇ、櫛神君ってさぁ・・・」
おっ、さっそく来たか。さぁ、どんな質問でもどんと来ーい!
しかしその質問は俺にとってあまり嬉しくない質問だった。
「もしかして、あの櫛神美禮さんの親戚とかだったりしない?ほら、櫛神ってあんまりない名字でしょ。だから・・・。」
その名前が出たとき、教室中の空気が変わった。
はぁ、でもこの学院だから聞かれるとは思ってたけど、まさかこれが最初とはなぁ・・・。
「あぁ、櫛神美禮は俺の母だけど。」
「やっぱり!」
「なになに?櫛神君って、あの美禮さんの息子なの?キャー!羨ましい!。」
いつの間にやら俺の周りにはクラスのほとんどの娘が集まっていて質問の嵐だった。
でも、
「ねぇねぇ、お母さんどんな人?やっぱりスゴイ美人さん?」
「やっぱり、お母さんの影響でこの学院に?」
「お母さんって、今何歳?」
俺への質問はゼロ。すべて母に関することだ。
これだからこの質問はいやなんだ!。
みんな俺を櫛神美禮の息子としか見ない。誰も俺のことを櫛神琥珀として見てくれない。
櫛神美禮。俺の母にして、第一世代のオタハンであり、歴代最強とまで言われ、生きる伝説として引退から長い年月がたった今も語り継がれる伝説のオタハンである。
今回は少し短めでしたがどうでしたか?
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