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黒歴史を思い出すと死にたくなる

「早く入って。ほかの()にバレちゃうと大変でしょ!」

意外な形で再会した俺達はとりあえず外にいると見つかる可能性があるので、愁閃学院女子寮の茉莉奈の部屋へ行くことにした。

愁閃学院には生徒用の寮があり、広さは高級ホテルのツインぐらいある。なんというか、さすが愁閃。

寮は基本ルームメイトとの二人部屋なのだが、ラッキーなことに人数の関係上、茉莉奈は一人部屋だった。

茉莉奈の部屋は俺が想像していたよりも綺麗に整っていて、ベットの周りや部屋中にぬいぐるみがあるの以外は普通の部屋だった。

「お前、まだぬいぐるみ集めやってんのか?」

いじわるっぽく俺が言う。

「いいでしょ別に!それより、なんでアンタが愁閃(ここ)にいんのよ?まさか、のぞきとかじゃないでしょうね!?」

そんなに信用がないのか俺?

「んなわけあるか!ちゃんと理由があって来たんだよ。」

「理由って…こんな時間に女子高に来るってことは、さぞスゴイ理由なんでしょうね?」

「フフフ…聞いて驚くが言い!!」

俺は時代劇の悪代官のような笑い方をすると、茉莉奈にこう言い放った。

「今日から俺は愁閃(ここ)の生徒なのだ!!! どうだ?びっくりしただろ?」

ふふふ、そりゃ驚くだろうなんたって女子高に男の俺が入学するんだからな。茉莉奈の驚いた顔とリアクションが目に浮かぶぜ。

しかし、そうはならなかった。

「アンタ・・・嘘つくならもう少しマシな嘘つきなさいよ。さすがの私でもそんな嘘くらいスグ見破れるわよ。今のアンタのを信じるくらいなら、ミジンコが喋ったって話の方が信じられるわね。さぁ、正直に本当のことを話しなさい!」

どうやら、彼女の俺に対する信用はミジンコ並みの小ささのようだ。

「いや、ほんとだって。じゃなきゃこんなとこまでわざわざ来ねーよ!あっ、さてはお前、俺がわざわざお前に会いに来たとでも思ったんか?んな訳あるかよ。ぷぷぷ。」

こうやって、ちょっとおちょくってみる。

「なっ!誰がそんなこと!!大体アンタが言ってることがホントだって言う証拠はあるの?証拠は!」

俺はすかさずカバンの中から入学案内と、それと一緒に届いた学生書を茉莉奈の目の前に突きつけてやった。

「お望みの証拠でしたら、こちらに。」

茉莉奈は一瞬驚いたような顔をしたがスグに元の顔にもどると、俺の手から証拠物を奪いとると、隅から隅まで確認し始めた。

3分ほど俺の学生書を確認すると、また驚いた顔をして、

「スゴイ。これほんとにうちの学生書じゃない!アンタ、これどうやって手に入れたのよ!」

こいつは話を聞く耳を持ち合わせていないらしい。

「だから、さっきも説明したけど、俺は今日から愁閃(ここ)の生徒なの!」

「にわかには信じられない話ね。」

こいつはここまでの証拠があってもまだ否定するか。

俺はこれ以上はムダだと判断しそれ以上肯定するのをやめた。と、言うかぶっちゃけ相手をするのが面倒になったのだった。

「っま、いいわ。信じてあげる。」

最初からそうしろ!

「でも、なんでアンタなのよ?アンタよりいい人材なんてこの世には腐るほどいるのに。」

この女、さらっと酷いこと言いやがる。

「もうちょい言い方があるだろ!」

「だってホントのことだもん」

するどそうな八重歯を見せながら茉莉奈がいじわるそうに笑う。さっきの仕返しのつもりか?。

「ったく。俺がこの学院にスカウトされた理由はな…」

それから俺は、入学までの経緯を茉莉奈に話した。

「へぇ~。アンタが日本一のアニオタねぇ~・・・。そんなスゴい(?)やつには見えないけどねぇ~。」

そう言いながら茉莉奈は疑り深い目で俺をぐるりと見回した。

そんな茉莉奈はほっといて、俺はもう一度茉莉奈の部屋を見回した。

そういや、茉莉奈の部屋という部屋に入るのは久しぶりだな。小学校高学年になってからはあんまし、こいつの家に遊びに行かなかったからな…。

「そういや久しぶりだね、アンタが私の部屋に入るの。6年ぶりくらいかな?」

向こうも俺と同じことを考えていたようだ。

「そういや、もぅそんなに経つんだな・・・。」

俺はそう言いながら時の流れの速さを実感していた。もぅ6年も経ったのか…。

「ねぇ、覚えてる?私とアンタが初めて会った時のこと。」

いきなりだったので俺は若干戸惑ったが、スグに冷静を取り戻した。

「忘れるわけねーだろ。ちゃんと覚えてるよ。」

それを聞くと茉莉奈はうれしそうに、

「そう?そりゃ良かった。忘れてたらコークスクリューだったよ。」

また、こいつは危険なことをさらっと…。覚えててよかった。マジで。

「いや、忘れろって方が難しいだろ。あんだけのことがありゃ、忘れたくても忘れられねーよ!」

冗談などではなくホントに衝撃的すぎて忘れようにも忘れられなかったのだ。

 

そぅ、あれは俺達の幼稚園の入園式の日だった・・・

桜が満開の春、俺は地域でも有名な進学の幼稚園に入園した。

入園式の途中、退屈になった俺は式を抜け出し、一人で校庭を散歩していた。

「つまんない。」

俺はあまりにも退屈だったので、もう家に帰ろうと思い門の方に向かった。

俺が門をくぐるまであと30mというところで、門の向こうから何かが猛スピードで突っ込んできた。

「ち~こ~く~だぁ~!!」

そんな叫び声を上げながらそれはこっちに向かってどんどん近づいてきた。両腕を大きく横に広げながら。

俺はいきなりのことに驚いてその場を動けなくなっていた。しかし、それでもそれは止まることなくぐんぐん近づいてくる。

「ど~い~てぇ~!ぶ~つ~か~る~!!」

俺に気づいたのか、それは俺に忠告をしながらもスピードをゆるめることなく突っ込んでくる。

俺は叫び声に気づき逃げようと思ったものの時すでに遅く、それは俺に両腕を広げた状態で衝突した。

「クリティカル!!」

俺はそんな叫び声をあげながらラリアットをもろに喰らい、2転3転し20mほど吹っ飛ばされた。

「あわわ。だ、だいじょうぶ?ねぇ、ねぇってば!しっかりして!」

朦朧とする意識の中女の子の声だけが聞こえていた。

琥珀はこの時、知らないおじさんに川を渡れと言われていたという。危ない!

目が覚めると、俺はベットの上だった。

「よかったぁ~。気がついたんだね。」

どうやらここは幼稚園の保健室のようだ。大方、こいつが誰か大人を呼んで気を失った俺をここまで運んでもらったのだろう。

「いやぁ~、さっきはごめんね。寝坊しちゃって急いで来たんだけど、まさかあんな所に人がいるとは思わなくて。やっぱり人は急には止まれないんだね・・・うん。」

「別にいいよ。たいした怪我もないみたいだし。」

実はそれは嘘で頭を強く打ったせいか頭痛がひどい。でも、変に言うと騒ぎそうだから黙っていることにした。

「そう?ならよかった。わたし姫野茉莉奈。よろしくね!えっと・・・。」

「櫛神琥珀。」

「琥珀くんかぁ~・・・。よろしくね琥珀くん!!」

これが俺と茉莉奈の出会いである。


「そうそう。そんな感じだったわね。懐かしいなぁ~・・・。」

「懐かしいなぁ~・・・って、俺は生命の危機を感じたがな!」

本気で死ぬと思った。

「しょうがないでしょ!あれは事故よ。じ・こ。」

「なにが事故だ。思いっきりラリアット決めたくせに・・・っと。」

ここで俺はもう1つのことを思い出した。

「そういや、お前がさっき歌ってた曲。あれって・・・。」

「うん・・・。先生が作ってくれた、あれだよ。」

茉莉奈の声が重くなる。

先生。俺達の幼稚園の先生で、いつも俺達に歌を教えてくれていた先生。でも、その先生はもう・・・。

「先生か・・・。」

二人の間に重い空気が流れる。

ピピピピピピ!

目覚まし時計の音が沈黙を破ってくれた。気づけばもぅ7時だ。かなり長く話し込んでたみたいだ。

「あっ、いけない。もぅこんな時間。早く準備しなきゃ。アンタも行かなくていいの?早くしないと他の娘が起きてきちゃうよ。」

おっと、いけね。完全に忘れていた。

「そうだな、早いこと出て行くとするよ。それじゃ、また後でな。」

「うん!また後で。」

「そんじゃな。」

俺は茉莉奈に軽く挨拶をすると茉莉奈の部屋を後にし、今度こそ本当に職員室へ向かうのだった。

次話から学園編が本格的にスタート・・・の予定(汗


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