表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/317

第9回

「分かった、分かった。そう怒るなよ。今日は偉く機嫌が悪いな。…じゃあ、焼飯チャーハンにする」

「はいはい…。別に怒ってる訳じゃないんだから」

 不満顔で早希ちゃんは焼飯を調理し始めた。二人の遣り取りが面白いのか、ママはクスクス笑いながら最後のコップを布巾で拭き終えた。

 焼飯は中華飯店でよく食べていたが、みかんでは初めてだった。味はどうかな…と、少し不安気だったが、案に相違して割合と美味く、中華飯店のものと比べても遜色はなかった。いつもなら世辞のひとつも云うのだが、この日は憎まれ口を叩かれたのが影響したのか、無言に終始して食べ終えた。

 みかんを出たのは午後十時過ぎだった。いつもなら、お得意の接待と云うことで気楽な物云いも出来ず、閉店の十二時近くまで店に籠ってカラオケ三昧なのだが、今夜のように一人だと案外、手持無沙汰になるんだ…と気づかされる。ママと早希ちゃんに、また一人で来るから、その時に話の顛末てんまつを聞かせて貰うと云って店を出た。二人は店の外まで送り出してくれた。こういう小さなサービスは嬉しいものだ。外は店に入る前の時雨空が嘘のようで、澄み渡った漆黒の空に、満天の星が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ