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第74回

それに、私の目の錯覚なのかも知れないが、この前と同じように異様な光を発して渦巻く水晶玉と時を同じくして出たチューハイと烏賊いかさしのけ…。これはいったい何を物語っているのだろう。いや、今回も恐らくママには見えていないに違いない。その証拠に、ママの態度はいつもと、ちっとも変っていなかった。私は、深く考えないでおこう…と、ママが出してくれたチューハイをグビッと流し込んだ。

「あらっ、ごめんなさい! お手元が出てなかったわねえ…」

 言葉は女性そのもので、姿もなかなかの美形なのだが、声が今一、思わせないのが惜しまれた。それに、時折りある剃り残し…、これも戴けなかったが、ママはママなりに、なりきっているつもりなんだろう…と思えた。陶器製の箸置きが出て、そこへ塗り箸が添えて出された。じかに小皿の上へ箸を乗せない小さな和風の気配りが嬉しかった。ツマミを頬張り、チューハイを流し込むと、これはもう絶妙の極みである。私は、すっかり玉の光ったことなど忘れていた。丁度その頃、ボックス席で賑やかに繰り広げられていたカラオケショーが終演を迎えようとていた。三人はすっかり浮かれ果て、テンションはマックスまで高まっていた。対するこちらは、相変わらずのお通夜なカウンターだった。

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