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第61回
「緑や黄色のような光を放ち、それが玉の中で渦巻いているのです。しかも、ママや店員の子にはその渦巻く光が見えない。私は風邪で熱があるからだろうと思え、早々に帰宅しました」
「なるほど…。それが二番目という訳ですか」
「ええ…。しかし今までの話は、ほんの触りで、昨日の一日こそが、正に異変だったと云えるでしょう」
「と、いいますと?」
「私の取引先のお得意、これは接待を辞退した先ほどお話ししたお得意なんですが、そこが新しく発売した商品が馬鹿売れで、『団子っ娘』と云うんですが、株がどんどん上がり、関連の我が社に契約が、いっきに舞い込みまして…」
「昨日ですか?」
「はい。禿山さんは休みでしたが…」
「偉いことが持ち上がっとったんですなあ。まあ、いい話ですから、結構なことですが…」
「その得意先の外商は一手に私の課がやっておりますので、鳥殻部長にお褒めの言葉を頂戴するやら何やらで、俄かに注目を浴びることになりまして…」
「そうでしたかぁ。今のが三番目の大異変ということですかな?」
「そうなります…」
私は少々、話し疲れたので、茶を啜った。