表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/317

第6回

「この前さあ、不思議なお客様がいらしてね…。一見いちげんさんなんだけど…」

 私がグラスの酒をひと口飲んだ時、それを見ながらママが訴えるように語りだした。

「そう、あの客、少しおかしいんじゃないって、お店を閉める時、云ってたんですよね」

「ほう…、何が怪しかったんだ?」

「それがさ、丁度、満君の座ってる席に座ってたんだけどね、その紳士。手持ちの鞄から紫の布切れに包んだ水晶玉を取り出してさ、カウンターへ置くのよ」

「んっ、それで?」

 私は奇妙な話は高い確率で割合と信じる方なので、早希ちゃんの話に耳をそばだてた。

「で、さあ。カクテルをひと口美味そうに飲んでね、布切れをゆっくりと開けると、玉を覗き込んだの」

「この店に近く、幸運が訪れます。それがどういう形で起こるのか、今は云えません。この次、お寄りした時、お話の続きをしましょう、ってね。なんか意味深でさあ、イカサマにしちゃ真実味もあるし、気味悪くなってさ」

「それ、いつの話なの? ママ」

「つい最近よ。早希ちゃん、いつだったかしら?」

「確か…、えーっとね…。木曜…じゃなかった、水曜。そう、水曜の筈です、ママ」

「今日が火曜だから、一週間前か…」

「すぐ近くが交番だからさあ。まあ、余り恐くはなかったんだけどね」

「別の意味で怖かったんですよね」

「ええ…」

 ママの陽気な顔が幾らか曇ったように見えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ