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第55回

 こうなれば、私の会社における立場もかなりよくなる。それは当然の成り行きで、多毛たげ本舗の契約や外商、接待は全てが私の課に委ねられていたからだ。曲がりなりにも、その課の長を拝命している私には、誠に喜ばしい出来事だった。営業部には四課が設けられているのだが、その中の第二課が私の担当課で二係、約六十名を擁していた。鳥殻とりがら多味助営業部長は私の直属上司で、この鳥殻部長が至極、機嫌のよい笑顔で私の課内へ入ってきた。

「おいっ、塩山君! ジャンジャン鳴っとるじゃないか。君もやるねぇ~。私も執行役員達に鼻高々だよ、ワッハッハハハ…」

 笑いが止まらんとは、正にこのことだ、と云いたいところを、部長は豪快な笑いに変えた。

「いやあ、児島係長も云ってたんですが、これは本当に予想外でして…」

「なぁ~に、謙遜することなどいらんのだよ、君。全てが結果だ。結果オーライなら、プロセスなど、どうだっていいんだ」

 鳥殻部長は持論を展開した。

「はあ…、うけたまわっておきます」

「まあ、忙しくなるだろうが、頑張ってくれたまえ。そのうち、常務や専務、いや社長辺りからもお呼びがかかるかも知れんぞ」

「はいっ! 光栄なことでございます…」

 私は終始、鳥殻部長の燃え上がった炎の鎮火に努めた。

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