表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/317

第41回

「って、満君が富豪になるってことですか?」

 遠いボックスに座る早希ちゃんが声を投げた。

「えっ? あっ、はい。そういうことも含みますね」

 早希ちゃんを見遣り、沼澤氏は返した。そしてまた、マティーニをチビリと、ひと口やった。この沼澤氏がチビリとカクテルグラスを傾ける仕草が、老齢の枯れた風貌に実によく馴染んでいるように私には思えた。

「私、満君のお嫁さんにして貰おっかなあ~。どぉ~、満君?」

「悪い冗談はよせよ。本気にするぜ」

 マジで云っているようには思えなかったが、私としては悪い気はしない。こんな中年男に、二十はたちそこいらの娘がなびくとは思えないが、そうとも限らないぞ…という微妙な可能性を否定しつつも信じている節があった。

「いいお得意様のようだから大事にしないといけないわね。ホホホ…」

 ママも本気で云っているとは思えなかったが、べんちゃらを繰り出しながら笑った。

「沼澤さんが偉いことを云ってくれたお蔭で、今夜は二人にいじめられるなあ…」

 私は冗談混じりで愚痴った。

「いえ、本当のことをお告げしたまでです…」

 沼澤氏は終始、冷静さを保ち続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ