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第39回
「さて、どうなさいます? あなたは」
お鉢が私のところへ回ってきた。
「ええ、もちろん。私も半分方は疑っておりますが…」
私は嘘を云うのが不得手な性分だから、正直な気持を沼澤氏に伝えた。
「ははは…、実直なお方ですなあ。…では」
「あのう…私は動かなくてもいいんですか?」
「ええ、結構なんです。玉がそう申しておりますので…」
「えっ? どういうことでしょう?」
「何と申せばいいですかな。話せば長くなりますから、掻い摘んで申します」
「はい…」
「ママさんとあちらにお座りの女店員さんの場合、まあ、こんなことを申しちゃなんですが、普通のお方と見えまして、玉もそれは分かっておりました。こういう場合には正面にお立ち戴かなくてはなりません。その場合でも、ママさんと女店員さんのように玉の判断は異なります。玉はその判断結果を霊力で私に送るのです」
「なるほど…。で、私の場合は?」
「ですから、あなたの場合は普通のお方とは違う、何と申しますかな…そう! 特別なあなたのオーラを玉が感じ取った…とでも云っておきましょうか」